願いは叶えられない
もう口付けを交わす事はない
遠い場所で言い訳を並べようと

誰に届くというのだろう
私の言い訳はまるで

雨は蟻の様に行列をなし
私の残り少ない純粋さを
蝕んでい ....
その広い丘にはドアがあって
朽ちかけたドアだけが、ひとつ、あって
その横で佇んでいる、家族だった影が
心を裏返すほどにゆるしたかったものは
自分たちだけ
だった

 ドアを開けると道が広 ....
最近、「消えた年金」問題ってのが、話題になっとるやろ??

じつは

あの年金 消したん ワシやねん
朝埼京線の中で
学生の頃好きだった人を見かけたよ
もう十年になるんだね
なんだかやっぱり素敵だね
青臭かった僕の見る目でも
間違ってなかったね

化粧が薄くて色が白くて
どこか悲しそう ....
さっきから訳もなくティースプーンでカップの中を掻き混ぜてしまう
そんなにしたら紅茶が冷めてしまうのがわかっているのに
渦を巻く琥珀色の液体をじっと見つめる


「黙っていたらわからないじゃな ....
暗い空から吊り下げられている
いくつもの虹色の絶望のシャンデリア
時にそれが奇妙なほど
美しく煌いて見えてしまう

灰色の道は沈黙のように続いていて
その上を歩いている
黒いハットと黒い ....
ちいさな ちいさな
そらを見つけたのは
近所の公園で遊んでいた
三歳くらいのおんなのこの
瞳の中
よちよち
浮かんでいるようでした

おおきな おおきな
うみを見たのは
田舎の天文 ....
 いつも
 今の気持ちに素直でいたい
 こんなに孤独なのに
 励ますような
 この晴天
 悲しみもやわらぐ

 漕ぎ出そう
 水色の世界へ
 零れ落ちた涙は
 いずれ
 大海 ....
唾を飲む。
ごくり、と耳に響いてく。

目を閉じる。
あの日の空が見えてくる。

聞こえてる。
君の歌声今もなお。

声をだす。
浮かんだ言葉をひたすらに。

泣いてみる。 ....
願いが時に邪魔して
ループして
あの頃の想いを
捨てきれないでいます

また今度の今夜
ずっと待ってていただけますか?

返事は色褪せた手紙でいいので
次は忘れないで下さいね ....
焚き火をじっと見ていた
三日月が荒れた海の上に濡れて
俺達は二十人ぐらいで
世界の果てで

最後の夜で
世界の果てで
焚き火を囲んで
女たちはずっと歌って
男たち ....
  宇治橋

夕霧にかすみつ渡る面影に
露けき花の色が重なる―――

  観月橋

しめやかに
欠け満たされぬ夕月の
心を以ってなぞる君の名

   ....
ピアノの調律を数式化した教室で
黒板に書かれた文字を
僕たちは理解しようとしない

故郷の水不足を報じる朝日
此方では雨が降るけれど
牛の鞄ではダムにはならなくて
蛍に逢いたいと
彼女 ....
眠れない夜は、本当に、孤独を誘う。
世界に、自分ひとりしかいないのではないか、
あるいは、
世界から、自分ひとり見捨てられたのではないか、
と、錯覚させるから。

だけど、この寂しさひとつ ....
大地が 少し 揺れた

ここはパリなので
それは夢だと分かった

モノクロのカーテンの幕が
ゆっくりあがるように
日を目覚めさせる そういう揺れだ


意識の向こうに
黒く流れる ....
曲げないように

曲がらないように

曲げられないように


ぐる ぐるぐる

  ぐるぐる ぐる



まっすぐに

迷わず

ただ、まっすぐに


固定する



腕も


思想も
転ぶのは歩いているから。
痛いのは生きているから。
悩むのは前に進みたいから。
逃げ出したいのは闘っているから。



生きているから、辛いことも悲しいこともあるんです。
けれど ....
それは波状的に 
ワタシに繰り返し降ってきて


そのたびにワタシは
戸惑い 恐れ
そして
喜び 酔いしれた


歓喜の雨は
最初は小さな透き間から
だんだんと浸透して

 ....
´
生まれたての
ダッシュされない
耳の美しいカアブ
描いて

´
(何か音)
聞いたこともない
さわれない
見る
ことも

青空に
シャープ
黒鍵に落ちる
細い指
 ....
透き通るガラスの惑い指でなぞり
    雨をみていた心おちいて


白い足走り去る朝つかのまの
    雨をみていた虹を待つまま


紫陽花の肌の静けさこぼれゆく
    雨をみてい ....
 荒浪に飲み込まれて
 傷つき
 疲れて
 乾いた涙
 視界は狭まり
 小さな世界

 行き先を失った俺は 
 迷い人
 誤解を解く術も知らず
 ただ生存するのみ

 埋めた気 ....
いいことなんか ひとつもなかった
この町でも わたしは

今日も


歌をくりかえし くりかえす


『会いたいときに あなたはいない

 空よ せめて 笑ってほしい
 そうじ ....
父とケンカしてから
もう 2ヶ月近く 口をきいていない

2ヶ月前は母に
「今年の"父の日"と"父の誕生日"は なんもせーへんからな!」
と言っていたのに


あるケーキ店のホームページで
たまたま見 ....
しとしととヒエイ霞てつゆの雨

青田には頼もしげなるつゆの雨

梅雨の雨降りくる中を歩みゆく
シオリちゃんは わたしを見つけるといつも
はじめまして、と言う
わたしも はじめまして、と言う

たくさんいっしょに遊んでも
次の日には わたしのことを覚えていない
でもシオリち ....
懐かしい音楽
懐かしい想出
懐かしい時間
懐かしい会話

パイプオルガンの音
チョコレート
グレープジュース
ハム

時間の塔を抜けて、今
空洞の時間
時間の動きが遅くなった。 ....
指先だけで、そっと
窓を開いてみる
隔てていた向こう側には
空の海があり
 
紙飛行機を飛ばす
誰宛てとかではなく
紙飛行機を飛ばす
そこに、意味なんてない
 
 
ここは海だろ ....
会社をやめて独立したという古い友人と
ひさしぶりに私のアパートの部屋で飲んだ
これが意外に儲かるんだよ
と言う友人は、自動販売機になっていた
胸には常にテレビのようなものを映している

あ ....
  万華鏡の街にヒビが入って
  あっけなく砕け散るのは僕の視界だ
  その後に残るのも世界かい?



  公園のベンチにエイリアンが座っている
  その口は動いているのに閉じ ....
舌がある
それで君を舐めようか
冷えた舌先が触れるとき
君の肌で
どんな音がするか
固まった
ちいさな
ちいいさな結晶が
溶ける音がするか
こんなすこし暑い季節なら
しゅと
音が ....
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