おまえが
学校の宿題だといって
わたしの名前のゆらいはなに
と聞いたときに
ついつい懐かしさを覚えている自分が
少し嬉しい
母さんに聞いてみなさいと
僕がおまえの母にパスを出すと
....
あなたが見せたかったという
教会は
天草のひっそりした漁村に
静かに建っていた
教科書でしか知らない
隠れキリシタンの弾圧が
この地であったというのか
何ごともなかったか ....
答えだけが
求められるから
今日は太陽が沈むでしょう
そのたびに
遠ざかっていくのです
飛鳥の石舞台は夕日に
廬山寺の桔梗は夕日に
やってくる未来を信じないにしても
....
ひなになれない
わたしは
せめてもの抵抗として
日々を生まれ続け
翼はとうに
ぼろぼろ
飛べたためしなど無い
それなのに頑として
語り継ぐことを
断ち切らない
....
キラキラキラ はじける光
これは涙ですか
叶わぬ恋が残したものは
夏の名残りと痛みだけ
サラサラサラ 気まぐれな風
あれは嘘ですか
ささやいた言葉が風を伝って
まだ耳元でこだまする
....
少しずつ
明かりが点り始めた街を
歩道橋から眺める
気ままな
散歩の途中で
緩やかなカーブを描いて
線路の上を走る電車
朝に出掛けた人達も
またこの街に
戻ってくるんだ
....
白薔薇よ 白薔薇よ
僕の下で 咲いておくれ
うつ伏せで溶けていく熱い腹に
鋭い棘を突き立てて
僕の赤い
赤い懺悔を吸い取ってしまえ
ベッドサイドには 欠けた花瓶
無 ....
潮のせいでくちびるの端にこびりついた砂を噛む
違和感
そのついでに日記にも砂をかませる
八月はつめたい
指先で這った波の曲線は
私の中では体温を持たない
数 ....
沢山 沢山
愛でた花は
いつの間にか
僕の身長よりも
伸び て
初めて買った
赤いガーベラのように
僕の右眼は紅くなった
細かな艶やかさを
「綺麗 ....
1*
あなたとつきあっている
もっぱらの噂よ
そんな事実ないのにね
でも 知らないでしょう
そんな現実を求めている
私の姿を
2*
....
玄関の向こう側で
人の声がする
それは私の知らない人の声
玄関の向こう側で
行き来する自動車の声がする
それは忙しいと街が嘆いている声
玄関の向こう側で
ジェット戦闘機の声がする ....
夢現な朝露が
透明を保つ空気の中で
そっと
身体を震わせる、朝
細やかな振動は
私が眠ったままの揺りかごを
徐々に強く揺らして
目を開くことを
強要する
ああ、空に ....
おっ
きょうは
露天風呂だな
いこう
この丘をのぼったら
一面の星空みたいに、きらきら輝く町並が見下ろせるんだ
キミの手をつないでゆくよ
いこう
澄んだ夏の青は
海を宝石のように輝かせるんだ
....
真夏の陽炎の向こうから
短い編成の列車はやって来る
そのいっぱいに開かれた窓から
ショートカットの後ろ姿が見える
列車の外から
車両の様子は
ありありと伺えて
制服の脇に置かれた ....
仕事以外で涙を流すことはない。
それは家族が死んでも、
恋人が死んでも、
変わらない。
もし泣こうとすれば、
笑いが、
出る。
腹の底から弾けるような、
....
瞼を閉じると現れたあんた
いつも笑顔やなぁ
寂しい夜だから明かりは絶やさへん
厳しい人生だから思いっきり笑いたい
何度も同じ所を回る俺
間違いさえも再生されて
出てく ....
旅の合間に
僕を癒してくれたもの
それは遊園地
観覧車に乗って楽しむ
毎日車に乗って
色々な場所に行く
休む日なんてない
一人にされて不安になって
城や寺や山や湖や
毎日日替 ....
森の妖精が
風にのり 便りを届け‥
鈍感な風は 便りに
気ずかず
一年たち
花びらな便箋に
鼓動をならしながら
開く風
怖がりな風が
扉あけ 出会った友
泣く ....
言葉よりも不確かなものを
信じてみようと
努力なんてしなかったけれど
それはあるのだと
人づてに聞いた事があるの
だけど眼に見えないものを
その語感だけで捉えようとしても
は ....
お金持ちのという程でなくても
普通に生活ができて
少し裕福な家庭に育った
そんな奴らが僕は嫌いだ
いや妬ましいのか
羨ましいのか
そんな話を兄貴としていた
どうやら兄貴も
思うところが ....
こんな夜は
星なんかいらない
いろんな自分が壊れて
風の吹き抜ける地下通路を
歩くのはひとりだけど
橋の向こうをめざしていく
笑いながら
どこで夢見たのだったか、きみ ....
それは孤独な死であった
ハエが卵を産みつけ、蛆がわき、そいつらがまた蝿になって卵を産みつけた
それでもまだ、躯には肉が残っていた
それは孤独な死であった
妻を娶らず、子を成さず、誰も殺さな ....
お香の煙が立ち昇る
傾き揺れる炎の指さき
すうっとのびて
天をさす
*
{ルビ蝋燭=ろうそく}は
人と似ている
明かりを灯し
身を溶かし
や ....
球体を愛せよ 宇宙を敬えよ その外の世界を敬信せよ
神の側に立って万物の蠢きを見据えよ 後は果てしない彼方を眺めて感慨に耽よ
洗剤の匂いに満ちた朝の空気を胸一杯に吸い 清められた思考で詩作に励め
....
使い古した心にナイフ突きつけ立て籠もる
ためらい傷を掲げる罪を問う
限りない調和を求める安穏とした世界で
憎しみをいだく罪
万能の神すら恨まれる
聖人君子よ
ひとは憎み
....
高い空から照りつける
強い陽射しがじりじりと
焦がれた土は風の手に
夏の匂いと蜃気楼
細い川から流れ出す
静かな音でさらさらと
潤う水は風の手に
夏の匂いと糸トンボ
小さな店に ....
いつまで経っても動くことのない
「もう一度」
を求めながら
僕は夢遊病者のように歩くよ
てとてと、と踏んだ畳には
陽にやけた跡が真新しく
そこにあったある物を思い出させた
....
ご機嫌斜めの横隔膜と 瞼の重そうな君を横に
見上げる夜空は格別で でも素直になれなくて
まだ ちゃんと 見つめられないでいる
幸せになる方法 愛の確かめ方
平和への方程式 煩悩の消しかた
....
昨日の夜
君と見た花火が
めっちゃくちゃ綺麗で
花火に照らされた君の顔も
めっちゃくちゃかっこよくて
浴衣に身を包んだあたしは
真っ赤になりっぱなしやった
....
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