滝の駐車場前ひょこひょこと
破れ傘にジャージ姿
相模のかっぱが、現れる
器用に操る軽自動車から
爺が降りるが 相模のかっぱ
先の見えないトンネルを
越えると足下に ....
小谷城訪問の旅
そよ風の朝の坂本後にして白き雲ある道走りゆく
青い空身を清くしていそしみし神の道にも希望をこめて
かすむ山湖の彼方にひろごりて藍色の水うみを望むよ
青き空そよ風 ....
{引用=
壊れてしまった
停留所で
細々と
息を潜めていた
寒さで
空気が張り詰めていた
吐く息が
白くなって
白くなった
僕らが想像していたよりも早く
バスは出てしまっ ....
高崎線に乗り換えると
電車の調子が悪いのか
モーター音がいつもより大きい
回転数の上昇に合わせて甲高くなり
惰行から力行に入れるとまた悲鳴をあげる
あぁ懐かしい
吊り掛け駆動だ
....
紺碧の黄昏に
ごぽ、ごぽ。ごぽごぽ。
溺れる、わたし。
気持ちいいの。
落ちてく感じが、気持ちいいの。
優しく粘つくような夕刻に
ゆっくり引きずり込まれる
揺らぐ瞳の前で ....
日陰に咲く木蓮の種子
春に咲かせた花は過ぎて
朱色の珠がもたれている
白い月が 青い空にかすむ頃
がさがさと荒く 深緑の大きな葉に
一羽の鴉が忍ぶ
落とされた さやの朝露ごと
く ....
そのバルコニーにあなたが現れ
優しい瞳を投げかける
夕映えよりも美しく
遠い神よりも崇高だ
頭のしびれが限界に達する時
私の魂に忍び込み
そっと静かにさすってくれる
欲しいもの
手に入れられず
泣きじゃくる
子供のような
私の回路
この想い
ないものねだりと
わかっててもなお
きみ想う
初夏の雨降り
相合い傘
公園の子供に
草笛 ....
とりとめのない物思いに
舞い降りた芳しい栞
見上げた梢から零れる
オレンジ色のはにかみ
とりとめもなく高い空を
自由飛行したがる意識
ゆるやかに誘うような
オレンジ色のためいき
眉間に堰き止めて ....
覚えていますか
あのぬいぐるみのこと
楽しく遊んだときも
喧嘩をして帰ったときも
眠くてぐずったときも
いつも一緒にいたぬいぐるみ
ふわふわしてた
笑ってくれた
話してくれた
....
顎のところで
きっちりと
切りそろえた
ショート・ボブは
髪ゴムで結わける
までに
伸びていた
そろそろ
美容室へ行く
サイクルだ
なのに
何故か
髪を切るのが ....
目を握り
手をつむる
足をかしげ
首をまえに進ます
でたらめな直進性が
ぼくを日常に導いてくれている
ぼくはカノジョにダイブする
家電屋からでんわ
....
「骨音」
その森の中のまぶたは
たいへんうつくしい
背骨を失った世界よりずっと
まぶたに広がる昼下がり
湖のほとりで
老人は 骨を拾う
露の輝く草を分け
....
冬*
パチパチパチと雪が降って
コーラの缶を蹴ったら 少し上ではしけて
犬も猫も焼き鳥も みんな掘りごたつの中
人々のささめきだけが
しんと石ころになって 沈んだ
....
多くのスクウェアな図柄に囲まれて
負債を踏み倒しに行く
老獪な白熊一頭
笑顔には愛嬌
獲物を貪り喰らう凶暴さは健在
整った図柄の中央に
消えつつあるアルファベット
三 ....
指輪をはめた手でゆっくりと書類を渡しました。
君は少し微笑んだような気がしました。
これからは毎日指輪をしていきます。
その哀しげな微笑みを見たいからです。
何も感じないのならそんな顔はしない ....
フォルム
カント・フロイト・エピキュロス
それは遅れてやって来る口唇期
いや十数年を隔てて再発現する恣意的口唇期
恋人達はみなジークムント・フロイトの愛弟子
今や心理学では眉を吊り上げ ....
わたしへん
ものに執着しても
ちっともものと思っていないんです
はだかにしてとうめいにして
ギリギリの「アル」になるまで
投げて、こわして、きずつけて、ためします
それにくらべて
こ ....
目覚めの弱い朝
濃いめのブラックコーヒーと
アーモンドチョコレート
苦みで潤される喉をなぞるカカオの甘さ
寝ぼけた体が整えられていく
今日はどうやら天気が良さそうだ
もうすっかり冷 ....
カモミール
マロウブルー
手で揉んで
匂いを嗅ぐ
それでハーブティーを作って
窓辺を覆いつくしている
観葉植物に
光が射している
光
時間は
チクタクと流れる
もので ....
寝汗に三度、着替える
暑い分けでは無くむしろ肌寒い
電車内のエアコンの意味が解らない十月
寝起きに力が入らない
奥さんは今までになく早朝から働く
子供の泣き声に這いずる
消耗戦
薬を切ら ....
フルーツサンドを食べたら
急に彼に会いたくなった
キウイの色が眩しくて
もう何日も会っていない
彼の顔が見たい
会いたいよ
会いたいよ
そう思うけれど
仕事で帰りが遅く
彼の家は ....
トゥクトゥクの傍らで赤い夕日を待って
犬は
なにもしていない真昼
なにをしているのだろう、そこで
みずからの首に首輪をつけ
ひもをつないで
犬って
なにも ....
絶望的な奴って
絶望的な奴と何かを食べることは出来ない。
栄養を取る必要がないからです。
絶望的な奴と勝負事は出来ない。
失うものが何も無いからです。
絶望的な奴と酒を飲めない。 ....
空は悲しみ色に染まり
やがて激しく泣き出した
あえて僕はそれを浴びよう
僕の錆びついた鉛の心
純粋な悲しみ色で塗り替えて
きっとその方が
素直に泣けると思うから
水銀みた ....
ぼくは世界で一番暗い夜を見たかったのです
歩くこともできないほどの
真っ暗な漆黒の闇が欲しかったのです
街の灯を映した空は中途半端で
あまりも汚たなくて
たぶん星など見る人もいないのでし ....
鈍い痛みは
その日もつづいていた
昼を過ぎてから
にわかに痛みは強くなってきた
主治医に電話する
すぐ 来るように
あたしは
幼いふたりの子供と
タクシーに乗り
二駅 ....
{引用=
唐突な出張でもないのに久しぶりに
夕暮れの新神戸駅に一人
立っていた
こじ開けられたまぶたのような
雲の向こうに
夕陽がぎらり
虹は見えない
天使も見えない
救命器具を ....
私の頭蓋骨の裏側に
バターを塗り
ピンク色の
敷物で飾る
私の頭部が、路地裏の道ばたに
そのように捨てられて
私はあの子を責めて責めてこき下ろす
3つの十字架に
祈りの言葉を
....
去年はきみの
寝返りや寝顔ばかり見ていた
今年は本当に歩きだすなんて
いっしょに歩きながらも
きみの成長に追いつけない母は
つい手をつないでしまうよ
10月の日差し ....
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