繋いだ手の感触を
消してしまえずに
たとえば、今
この空のあの雲
と 私の指が示しても
あの人にはもう
届かないでしょう
尾とひれのついた
魚の形の 群れが
泳いでい ....
顔をさす空気のつめたさに 一瞬ひるみそうになる
空は明るくなりかけても
まだ僕ときみの空気はあたたまらない
かじかむ手指に持たされるのは
どうしようもないほどの透明な煌めきと焦燥感
....
したり顔その方がいい不倫なら
移り紅どうどうとすりゃ良い余興
指輪する男に惚れる症候群
爪立てぬ癖持つ女に要注意
香水をつけぬ女に策士有り
倫ならぬ恋はどちらか合い知れず
いつのまにか外灯に照らされている
ぼくの孤独を際立たせるスポットライト
ふと見上げた空には夜の雲がゆっくり動き
何気なくその行く末見つめていた
バスを待つ 何故バスを待つ?
今更ながら自 ....
事実上の 音楽が
私の 頭痛に対する
時間を
稼ぐのだ
らせん状の 邦楽が
盲目の ピアニスト
私の 頭髪に 就く
ために
私は 事実の上での
作曲を しなくては
ならない ....
目がさめると
世界は半透明だった
そうか、ゆうべ
基地をつくったのだ
求めていた体温に
ほどちかいぬるさと
液体でも固体でもない感覚の
その場所で
眠ることは
ひどく ここ ....
大切なコトってなんですか?
と聞かれたら
あたしは自分が満足する事かな
と答える
ベタで、性善説に寄りかかった
あまちゃんな考えだけど
やっぱり
自分 ....
振り向いてはなりません
疑問を持ってはなりません
殺せるのなら殺しなさい
失くしたいなら捨てなさい
戻れないなら行きなさい
白い息がのぼる朝
氷の指の冷たさよ
紅の蕾も頑なに
視線のゆく先は
開くあしたと
散るあした
花であるなら
開けと願い
花であるから
終りも知る
....
キミは 何を考え 毎日を過ごしているの?
時に 怒り
時に 甘え
気まぐれにしか見えないキミ
だけど キミの存在 キミが居るだけで 私たちは 救われている。
時々 じっと ....
猫がタンゴを踊るよりも軽やかに
君は詩う
蛍光灯の下で途切れながらも
僕は笑う
賑やかなブレーカーを落として
睫毛に漏れる灯りだけで手繰れるのならいいんだろう
けれどどちらにし ....
女
愛しいあなたを抱きたくて
透明から青
青から碧へ
変色する
この静かな淀みの池で
禊(ミソギ) する
今夜の月は丸いから
お前、美しい女になるのでしょう ....
世の風に流され
秘め事を{ルビ懐=ふところ}に隠し
灰色のコートを羽織った背中を丸めた男の後姿が独り
世の風に{ルビ抗=あらが}い
闇の向こうに見える光へと澄んだ瞳を向け
空色のシャツを ....
シャワーを浴びた君の
髪の毛の先に雫がひとつ
君のつま先にぽたりと落ちるまで
君の体といっしょに眺めている
どこかに雫はないのかな
君のつま先から君の髪の毛に視線を戻すと
なめ ....
ひとり立ち姿
死んでいるように
つぶやく灰の後ろに映る
星の塔が旋回してから
七色のアーチをくぐり
一瞬する視界の腐蝕する太陽へと身を焦がす
失えるものなら失ってみなさいな
零の ....
のど笛を噛み切ると
人は
ひゅう、と啼くのだそうだ
だから
のど笛
無防備ということは
だから
セーターを脱ぐことじゃ
なく
それを
あなたにゆだねてしまう
....
外ってなんだ?物理的外界か?心理的外界か??
自分の外ってなんだろう
光が強ければ 影が濃くなる
ものを考えすぎれば動きが取れぬ 考えなければ生き残れない
言葉で人は救われもしない しかし ....
私の中味なんて
ほんのちょっぴりだわ
昨日も少し減ったし
また出ていくんだわ
明日まとまった金が入るけど
あの男がまた持っていくのよ
しかも利子が小さいとか
ぶつぶつ言いながらね
....
賭けのために娘ひとりに声をかけたのも
その娘が遊びつかれていて
しかもひどく傷心だったことも
雨がちょうど降ってきたのも
折りたたみ傘を広げて中に入れたことも
アンクレットの些細 ....
あたしはまちの人気者
運動会には引っ張りだこで
野良達の羨望のまなざしに囲まれる
気のいい、やおやのおいちゃんや
魚屋のあんちゃんから余り物の貢ぎ物
喰いっぱぐれる心配は無い
オリンピ ....
薄荷煙草の火も消さぬうちに
十二月が階段を上ってきた
(マフラーの準備をしなければ冬は来ない)
身勝手な先送りを
誰か聞き届けるはずもなく
暦の挿し絵は 赤 緑 白
聖 ....
顔のない 男
惨めな 排便
垂れ流しながら
走り去る
九州から 北陸まで
官能の穴の中には
傲慢さが 隠れているのに
それでも
顔のない 男は
惨めな 放尿を
辺りに 散ら ....
僕がしっかり支えるから
信じてくれるね
ちょっと頼りない腕だけど
咲き残る
幾重もの紅き花片は
誰人かに
散ることを留め置かれた
木枯らしに晒されて
「私はもう疲れたの」と
通りすがる男達に
哀しい微笑を投げかける
キラキラしているものがスキ
身近なもので言えば やっぱり宝石は 素敵
ひとつ 身に着けるだけで 何だか 自信に繋がるような
大切な人から もらえたら どんなに しあわせだろう
....
鈍色の空にマーブル状の模様をひと通り描いてご機嫌な様子
今度は地上へ下りてきて 銀杏の葉の降る方へと螺旋を描く
相変わらずの悪戯を繰り返し空の中ほどで口笛を吹いている
おしまいに鈍色の空に光の通る道を ....
「世間」と言う濾過器を使うと
見えてくるのは 他人が知る「自分」
「日常」と言う濾過器を使うと
見えてくるのは 自分が知る「自分」
「不可知」なる濾過器を使えば
そこにいるのは 本当 ....
列車の時間がせまっても
気にとめようともしなかった
はかなげに咲いた沈丁花
まぶしい夕日に照らされて
風になびく その花びら
とても愛しくて
遠くで汽笛が聞こえても
気にとめ ....
あれは遠い夢で見た海岸。
あの波の碧さ、あの浜の眩しさは
今もたもたれているのであろうか。
焼けたガレージの隅にあったシャワー。
広い玄関には浮き輪やボートがあった。
はす向かいの、セブ ....
こぼれる 刃
渡った眼 閉じる
光の ぬかるみに
紡いで 望む両手
つかえる やぐら
踏み 登りつめ
土鬼の から腹
澄んだ 眩暈
刈り取られる風
香り
塞いだ灯の
....
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