帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
心のどこかで
青い空をうらんでいた
涼やかな風をにくんでいた
小鳥のさえずりがうとましく
夏の陽射しはまぶしすぎて
顔を上げることもできなかった
心のどこかで
ささくれは ....
「数ある不自由と戦わずして
自由は手に入れられない」
僕はこの言葉が好きだ
誰が言った言葉か忘れたが
もしかしたら
僕は同棲という名の鎖に縛られているのかもしれない
事務的な ....
天上天下唯我独尊!
麗乱堕天使唯今光臨!
***
ギンガムチェックのパンツを七分までまくしあげ
薄いTシャツを着てネクタイとプカシェルを装着
衝動買いした細身のジャケットを着込んで出 ....
ボール紙で出来た
四角いお菓子の箱
砂に塗れて
埋もれていた
ガムテープで止められた
蓋をこじ開けようとして
恐怖に手がすくむ
この中には
赤ちゃんが入ってる
たぶん
....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}
夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
人は誰もが
{ルビ完=まった}きできそこないであり
どこへ行っても人の輪へ入れば
金曜の夜の飲み屋では
ぶーすか ぶーすか {ルビ愚痴=ぐち}っており
海の向こうでは今もなお
....
静かすぎるよって
背泳ぎをしながら呟いてみると
空には立派な
夏らしい雲
陽に焼けた
男と女の睦み合う
そのすぐ横を泳ぎ去るとき
波立つ水から
微かではあるが
女の性愛の匂いがして
....
軽自動車に乗って
旅に出ちゃった人がいて
その後の消息も不明だから
湿っぽい布団に寝転がりながら
その人のつもりになってみた
始まりは単純だった
ここには居たくない それだけ
友 ....
知らないホテルの片隅で、
丸くくるまって君の寝顔を見てる。
ひとりでは眠れないというから、
毎晩、君が寝付くまで色んな事を話す。
あの鮮やかな初夏の想い出を、君 ....
心のどこを探しても、
怒りも憎しみも憎悪もない。
それとは正反対の感情が、
海の様に広がって、凪を打っている。
愛情と愛しみと友情。
そして変わらぬ大切さ。
....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。
その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
お遅うございます。
夜ですね。
昼行性の私達は眠る時間です。
今日も一日しっかりと体を弛緩させてください。
データをバラバラにして整理してください。
自分の事をずいぶんシンプルと思っていまし ....
いままで
夏が来ても興味のなかった
スイカが
無性に食べたい
ありふれた
緑と黒のアーミーな柄の
中は
あけてびっくりな
紅い色の
夏といえば
....
{引用=あなたへの
熱い思いは届いてるはずなのに
あなたはいつも
涼しそうな顔をしていますね……}
扇風機は、現実を見たくないのでしょう
首をぶんぶん振ってます。
朝一番の水を飲んだらさぁ
燐寸を擦って煙草に火をつけてよ
そして右足でブルースを蹴飛ばそう?
ブルージーになんかなってられないよ
今日もクソったれた一日が始まったんだ
ブルージーになんかなっ ....
僕ら、離れ離れになった時には
お互いに精一杯
精一杯手を伸ばして
手がとどいたら
パッとつかんで引き寄せる
絶妙のタイミングが必要だ
手がとどけば
すぐに安心できるからね
君はあら ....
お嬢の小唄を
宙に放れば
おてんと様が照らしてくれる
小僧の小唄を
地に撞けば
根っこの隅々しらべてくれる
手毬唄、ひとつ
この手に優しい
中身かどうか
優しくこの手に帰 ....
約束の時間から3時間も過ぎても サユリは現れない
ぼんやりと待っていても仕方がないので
とりあえず先に出発することにした
目的地は とある湖で
そのほとりに 以前来たときにはなかった小屋が ....
透明な障壁に守られた
箱庭の世界で
自由は素晴らしいと君は言う
なんて悲しいんだ
僕等の享受するエントロピーは
全部借り物なのに
感覚は両親から譲られた血肉
思惟は神様の従僕の言 ....
欲望に勝てるほど強くない
残念ながら
あなたを悲しませることを知っていて
ざぶーん
プールは気持ちいいよ
オトナであることが
条件です
あなたもオトナなら
会員になって
....
知り合いのレストランのオーナーシェフから聞いた話。
そのレストランの常連の客に、貿易関係の会社を経営するBさんという人がいた。Bさんには、もうじき小学校に入学する香奈ちゃんという娘さんがあり ....
縁側に近い場所に
房スグリ
隣に
コデマリ
庭を囲むように
南天
ドウダンツツジ
都忘れの花と
なぜか
マーガレットを植え込んで
お花
お花
お花がたくさん
春の匂い
夏の ....
脳みそが
君にとっぷりと浸かってしまって
手がつけられない
引きずり上げても 引きずり上げても
ひたひた滴る君の残像が
後を絶たず 伝って落ちる
もはや私は 君で形成されている
....
実家から、何の脈絡もなくメロンが届く。どうもよくわからない。ま、自分の行動も脈絡がないので、おそらく血筋なんだろう。
最近のメロンは、取説付きだ。通販の組み立て家具みたい。メロンの歴史。匂いの秘 ....
どうしましょう
幸せなのです
幸せでたまらんのです
涙も出ます
あ
それは煙草の煙のせいかな
とにかくとてつもなく幸せなのです
不思議な気分です
ほしいものがありません
必要なも ....
寄ってきた子供達に
お菓子をふるまってた 米兵に
自爆テロがつっこみ
多数の子供と兵士が
亡くなられたという
手をだす子らは
わざと 足止めしたわけではないにせよ
いつもそう ....
「樹になっていたのは、英知の実か、生まれたての赤子の眼か?」
と思っている ねまき姿の女が、砂浜の段丘に坐り
紅いリンゴを齧っていた。夜だった。海面には
たくさんの耳が浮いている。なかには
....
ねえ 凜
前にも話したかもしれないけれど
きみが生まれる前に
きみのために考えていた名前が
ほんとうは ふたつあったんだよ
どちらかといえば
ぼくはもうひとつの方が
ほんの少しばかり ....
偶然に
通りがかったチャットでは
まさに
ログが消されるところ
削除
とあなたがキーを打つ
誰かが
削除とキーを打つ
あなたの
意志でキーを打つ
あなたの
意志で ....
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