流れていくのは
いつも昔のもので
西でギラリと
湾を満たすものは
せめて夕日に
清らかに染まろうとする
夜の寒さなど
思うこともなくながめていた
港を出て行く
貨物船の短いマス ....
雨をつなぐ
今日の空と明日の地を結ぶ
季節が駆け足で巡ろうとしているから
雨をつないで季節をとどめる
一粒一粒
雨をつなぐ
想いとは裏腹に
光の粒を散りばめた朝が訪れ
梅雨は明ける ....
あの日から
月は止まり
太陽が語りかけ
僕だけの星が生まれた
未だに雨と病院の匂いだけは
好きになれない
人生が楽しかったとは限らないが
彼女に見放されない為に必死だった
....
最近どうにも足が疲れて疲れて仕方が無いので病院に行くと
一応疲れていますねと診断された
一応と言う言葉にむっとしたが
いやそれは最初から分かっているのですが
原因が分からんから調べて欲しいので ....
「一番星はどこに」
風薫る陽だまりの中少女跳ね触れようとする新しい夏
どこへでも吹くなら吹けと夏風に弾む心と手に入れた恋
この海はいつかあなたと出逢う海一番 ....
鱗が一枚一枚
剥がれ落ちるように
今はまた
別な種類の魚になって
あなたを飼うことに
とても忙しい
引き出しを開けると
テーブルと水草がないので
ホームセンターへ買いに行く ....
アクセルを踏み込む足は
わずかな躊躇を阻み
回転数をあげていく
ミラーを横目に
流れる景色を客観視しては
座りこんだ目に
命を預けてみる
緩める事に躊躇いを感じ
加速させたままの風
カーブに鳴くタ ....
湖の上
淡く、輝く光が
ちらちらと
飛び交っている、その横で
私は息を潜めて
空を
じっと、眺めている
儚く光る
空の、瞬きと
目の前を飛ぶものが
重なる
....
だぼはぜようけい釣って二匹食う
仕事なくパンを売る大阪風流
ビールの酔いロマンチックこわれそう
みつけたかった、のに
上手くはいかなくて
でも、
たまたまの風が
心地よかったりするもので
選ぶことのたやすさは
果てないそらを
みずいろに
ひろがる
しあわ ....
海のない町で
静かに月の海をみあげる
溺れることのないそこは
僕の心を沈めて
耳に木霊するあの声は
よせてはかえし
ゆらゆらと僕の心を
手繰り寄せる
つながる月
つながる夜
....
降り止まない豪雨
微かに水を切る車の音
窓伝いに零れる涙の雫
渇いた歌声
整えられた髪飾り
銀の指輪が錆びて
嘗ては、歌姫と持て囃された自分自身
今は廃れた自分自身 ....
入梅に映えるはな
雨の雫を身籠って
まぁるく結実して
空の蒼さをうつす
泣きじゃくって深く深く眠るように沈む夢の淵。白い光あふれるのはいつもの台所。規則的に響く包丁のリズム。静かに終わる洗い物の水音。印画紙に写しきれなかった想いが酷く幽かな音で泣いているみたい。写真を ....
くろに燻ったぼくのいかりと、きのうのゆめが
ちらかったなつのよる、小さなさんぶんをぬりつぶします。
くれよんとかえんぴつをなめて、蛍のうみをえがこう。
あじさいのはなびらが、 ....
毒薬のような願望を散りばめた、
陰茎の夕暮れが、
いちじく色の電灯のなかで燃え尽きると、
ようやく、わたしの夜が訪れる。
静寂をうたう障子は、わたしのふるえる呼気で、
固く閉ざしてある。 ....
さようなら
なんて
言わないはずだったのに
さようなら
ふたりで作った
桜のしおりは
あの日以来 挟んだまま
日記には
もう あなたのことを
書 ....
好きなあの子が
綺麗になった。
嬉しかった。
悲しかった。
好きなあの子が
体調不良で
会社休んでいる
悲しかった。
好きなあの子が
勇気をくれた
いったい誰が
好きなん ....
おもてに映るのは
笑って
泣いて
嘘を吐いて
うらでは何を
映しているの?
遠い空しか
見てないの、ね
仰向けに眠る癖は
やっぱり
私なんか
あなたのどこにも
....
あの時
「ごめんなさい」と言えなくて
けれどもその後
勇気を出して言いにいったけど
君はもう帰ってしまった
あの時
「ありがとう」と言えなくて
けれどもその後
がんばって言おうとし ....
あなたと 命を分かち合う 夏だ
二人で出そうとした 文芸誌
この夏の熱気に溶けてしまった
文化祭のため夏休みを燃焼させた 八ミリ映画
これが あなたの遺影
あなたのスナップ写真
こ ....
コップに水を満たす
ごくり
夜のなかにひろがる
水域
遠い水を飲みこんでは吐き出す
夢のそとへ
背泳ぎで渡る
水が満ちる
遠くまで水が満ちる
とう ....
波打ち際にふたり立っていた
足元の砂を波が洗う
掬われるような流れに
チリチリと歯がゆい思いで
―カモメのように
飛べたらええな
とおまえは言う けれど
鳥はいつで ....
馴れ合い
もたれ合い
舐め合い
わたしとあなた
インスタント
安く
手早く
浅く
あなたとわたし
インスタント
好都合
その場しのぎ
元どおり
ふたり
....
ここから先には
いったい何があるのだろう
手にした意志は
どこに向かおうと言うのだろう
顔をお上げ
その目を奪ってあげよう
声をお出し
意味も無く笑ってあげよう
心をお見せ
黒く塗り ....
朝になって
公園の湿った土の上に突っ伏していたんじゃないか
雨が上がってむかえる朝のにおいは
ひやりとした黒い土のうえ
収斂していく類のもので
奥に深く潜っていく
噎せ返る速度ににて
....
あなたが切り離そうとしてるもの
悩むくらいなら
私が愛してあげます
思い出に罪は無いと
信じていたいじゃないですか
いつか私を
そのように切り離したりしないで
そっと信号を発して ....
今年最初の
小さな風船
去年の種が
こぼれて伸びて
またふわふわと
揺れている
月を眺めた。
ら、きみの顔がそっと浮かんだ。
きみとの繋がりがまだ欲しくて、一方的に電話をかけた。
途中でつい「月が、きれいだよ。」
なんて
言ってしまった。
きみは相変わらず ....
ときどき浮かび上がる記憶の断片
もっとよく見ようと手を伸ばすと
するすると溶けるように消えてしまって
あとにはもどかしさばかりが残って
鮮明に思い出そうとすればするほど
ぼんや ....
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