わたしの海を
二艘の舟が進んで行く
その行き先を知らず
遠く岸から眺むれば
白波の軌跡だけが
刻の経過を物語る
少し空に近い場所から
海と舟とを見下ろして
航路の果 ....
体がね
変化し始める時だから
心が落ち着かないのよ
心がね
変化し始めてるから
体が落ち着かないの ....
手に入れる。などという言葉を使うの?
手に入れた。という確証は何?
手の内のものはそれでぬくぬくしているの?
手に入れる。を始点にして
君が望む永遠は
得られるものなの?
永遠 ....
あなたが卒業して
もう半年
今も
クロスシートは
太陽でいっぱい
あなたの影すら
みつかりやしない
ふたりきり
今年最後のビアガーデン
なのに
いまは ひとりきり
ケータイなんて
隠せばよかった
さくら かんざし
あかねの 鼻緒
ねむりの いわおに
腰かけ
仰ぐ
ちり ち り りん
金魚の尾ひれが
風鈴を蹴る
ちり ち り りん
黄色の帯と
左手
....
午後11時55分の川面に浮かぶ 昨日行きの船は
今日の悲しみを乗せて 海の彼方へ
満ち潮には 増減があるのだと
思い巡らす 詩人の夕暮れる刻
紅葉した太陽が 海へと流れ行く
....
桜降る あの 朱色に染まる門前で
逝き 生きと 別れたというのに
あなたは 私の夢の中で
「君の傍にいるよ」とか
「守ってあげるよ」とか 言うのです。
幸せだった一日の終わりに
....
明日は翼が折れて
二度と飛べなくなったとしても
今日の青いこの空を
飛ぶことはやめない
飛び立つときの
地を蹴る勇気
畏れを抱いて
憧れ抱いて
まだ見ぬ明日の
自分を探し ....
駅前にホテルが二つ デパート三つ
それから 増えている風俗店
以前は
国道十六号線とJR中央線の交わる狭い一帯に
軒をつらねてひしめき合っていたのに
裏の遊技場を隔てた
暗黙の境界 ....
街の中で
伝説の少女は
鴎と一緒に銅像となって
海を見つめている
その光景は
通り過ぎた夢のようにも見えた
今度同じ夢に会ったら
きちんと名前を付けて
....
川縁の草いきれの中を
ひた走った記憶は
あるいは夢かもしれず
はじめは
ひとすじの流れにすぎなかった
けれど運命は
生まれる前から決められていた
旅を重ねるごとに
強さを身 ....
せっかくのスカートが、なんて
君は
ふくれた顔で
片手にサンダル
フナムシも
フジツボも知らない
君は
おびえた顔で
片手にサンダル
ここは
たまたまの国道沿い
....
奇跡は待つものじゃない
起こすものだ
先輩はいつもそう叫びながら
改札を出るといつも
マニエルの打球のように
球場にむかいましたね
でもね先輩
僕は待ってしまったんです
大切な ....
全てのいろが
変わっていく
はざまで、ふたり
確かな、ぬくもり
感じながら
割れた爪は
治ってしまった
雨を待つことも
やめてしまった
この想いは
忘れてしまおう
思い出すことを
やめてしまおう
美しい夢だと
思うことに決めた
また自分で決められなかった
自分で決めたふりをして
抹消した
抹消したつもりが
消えていなかった
失敗ばかりが目立つ現実を
なんでもない事なんだと
笑って誤魔化す
いったい
....
湿った風が吹く朝に
君は薄い火を灯した幹から両手を離す
種の保存の掟は果たせたのだろうか
君の生き方は純粋で幸せだったのだろうか
最後は雲の切れ目から青空が見えたのだろうか
....
もくもくの白さを
蒼い空に貼付けていた夏は ミ〜
ろうそくの灯火なのか ン ミ
最後の悪足掻き ン ミ
ン ミ
....
今日はラッキーデイなんだ
どのくらいかといえば十二番目に運が良いってことさ
人に優しくしておくと忘れた頃にそれが返ってくるんだって
なるほど、うん、ラッキーだ。
忘れた頃にそれ ....
むらさきいろの透明グラスは
この指に
繊細な重みを
そっと教えており
うさぎのかたちの水色細工は
ちらり、と微笑み
おやすみのふり
壁一面には
ランプの群れがお花のか ....
すきとおる泪が
青い洞門をすべり落ちる
あなたほど自然に私をさとすものはない
美しく象形した蚕の吐糸がやさしく肌を包む
あなたは私を裸にせず裸にする
新しい息吹は真珠となり
このく ....
夕空は・・・
醒めてしまった想いを
包んで少し染めてみて
赤々と・・・
君へほんの気持ちです
青空は・・・
飛べなくなった気持ちを
軽々抱えて風に乗せ
青々と・・・ ....
影が隙間から
抜けてくるように
薄い木綿のシーツを
引っぱってきて
路上でなびかせてから
敷いて昼下がりのお茶を飲む
時を隔てたような
杭州のぬるい息づかいが
湿ったまま身体に{ ....
空からまっすぐ垂れた
雨の糸
大地に織られ
数多の模様を描きます
木
縒り合わさって森となり
川
縒り合わさって海となり
人
縒り合わさって国となり
土に染み渡るまで
浮 ....
「薬を飲み忘れたわ!帰らないと」
マンボウを見に
水族館へ行こうと
誘ったのは彼女の方だったのに
家を出てすぐ言った
「どこが悪いの?」
「知らないわ、生まれてからずっと飲んで ....
もう
鋭いところまで、
来てしまっている。
人々は、
気付いているのであろうか。
虚空は、
妖しく、うねりながら明滅している。
あさっての老人は、
{ルビ落葉=おちば}に手を合わせ ....
バイオリンの響きみたいに繊細なのに
その糸は引き攣るような悲鳴を奏でていて
夜のノイズに勝つ事が出来ない
ネオン街の片隅で
歌を歌ってみても
からっぽのバイオリンケースには
1ドル ....
あわただしい昼間をのりこえて眠りにつく
自由の丘に駆け出して みつけた一輪の花
美しく輝くその花は 僕の苦しみを癒してくれた
重なり合う喜びの連鎖
子供の汚れてい ....
嵐の夜を
一人で過ごすのは心細いので
傘を持って出かけた
何度持ち直しても
背中に張り付いてしまう
風が強すぎるみたい
服も髪も
私にぴったり張り付いてくる
雨も強すぎるみたい ....
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