ビールのんでぇ
黒霧のんでぇ
熱燗のんでぇ
きもちわるい
何で急にこんな
夜の恵比寿
えべっさん像が
クリスマスツリーを
真横におっ建てられて
街灯の灯りのせいかもしんないけど
....
何度この道をあなたと通っただろう
初めて一緒に歩いたときは
まだ寒くて上着を着ていた
わたしの体力がなくて
ゆっくり歩いてもらったことを覚えている
トラックの巻き起こす粉塵 ....
パテル・パトルム――
即ち、パパだ。
今日もパパは二日酔いで、
おまえたちはバレエを観に行ったけど
そんな日曜日の真昼間から
男が家にたった一人、瞑想に耽る
深潭たる無意識の下層へ ....
生ぬるい図書室での坊主めくりだった
なぜ蝉丸がいちばん人気だったのか
わからない
輪に違和感なく溶け込み
無遠慮にかがんで微笑むあなたの胸もと
気になって
腹が立って
仕方がなかった
幸運とは
偶然の産物ではない
もし アナタが
幸運に恵まれたとしたら
それは 誰かのおかげです
アナタの知らない
アナタ自身かもしれないし
周りの人かもしれない
....
+ うららかな午後 +
体温が地熱と交わる午後に
ミントチョコをくわえるケダモノは
あたためたミルクを一口飲んで
青ざめた頬をバラ色にそめる
+ キラキラの夜 +
遠くのイ ....
おなじ水が
おなじ水のほうへ
ながれてゆくように
僕らは
さかなになりました
僕らはいつしか
濡れたからだで
水辺に立ち尽くしていました
はじめて会った
気がしませんで ....
今年の初雪に白く染まった林檎畑
ついこの間 葉にしがみつき隠れていた
とんぼも地面に落ちて
死骸になってしまっただろう
あれはまだ私がずうっと若い頃
バシャバシャという音が
霜の降りた ....
今日も風が吹いているならば
君の心は少しでも
僕とのキズを思い出しているのかな?
君との出会いからいつでも二人をね、
見守る風があった
今このときが戻るのなら君にもう一度 ....
路線名どおり
東京を東西に貫く電車
地下鉄のくせに半分近くが高架線で
快速電車も走る らしくない路線
学生のころ
思いたって全線を乗り潰してみようと
中野駅から西船橋駅まで
無意味に ....
「僕」
僕が僕である認定書を落としたのは
早春のこそばゆい若葉の中
僕が君でない証明書を探していたのは
初冬の血の気の失せた枯葉の下
「君」
地方都市のヤン ....
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夜道をぼくは、ぼくよりも前へ出ようとする
影の足を踏み付けながら、駆けるようにして
歩いて来た。街も木も灯も見ずに、ただ足元
ばかりを見詰めなが ....
口笛で群青を歩いてみた
ぼくらはまるで孤独で
きみを愛しているのに
きみを大切にできない
さよならの次にぼくは
観念で0を探していた
憂顔で群青を歩いてみた
....
背負った夕陽の大きさは
この目に見えぬが
その重さは しっかりと
この身が感じて受け止める
大切なのは
目に見えるものだけじゃないんだって
心が気づいた瞬間に
黄金の光があたしを包みこむ ....
普通の夫婦が繰り広げる
かなりみだらな会話
頬を染め聞き入る女中
わたし結婚はしない
お人形の王子がいるから
王子がいれば幸せだから
でもお人形の王子との暮らしは
ちっともみだらじゃない ....
白い息を吐きながら
裸足でピンヒールをひっかけて
ポストに走った。
どうか誕生日当日に着きますように。
きみに届け。
深夜のラブレター。
今 書いたことなの ....
列車の窓が
長いネックレスのように煌き
横たわって走っている
街はもう影を落とさない夜更け
きみがほら、こころ震わす音楽を
あなたがほら、光り輝く宝箱を
見つけて、染めて、頬を ....
昔ママが僕に言った
「ママの背中には目があって
お前が悪さをした時には
すぐに わかるようになってるんだよ」
だけど僕の背中には
あいにく目なんかなくて
君が悪さをした事には
気 ....
曇り翳り 月隠れ
両の手を高く掲げ仰ぎ見る
しんとした静けさの虚ろに
刻みゆく水時計
鳩羽色に染まりし夢現は
深く 深く 沈みゆき
刻まれるリズムが ピヤノの黒鍵へと重ねられ ....
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から ....
くれないを燃やしては織る彼岸花
散りゆくあきの路にざわめく
朝を着る嘘としたしむ桔梗の日むらさきいろの欠片をかおる
銀杏というなまえに咲いた羽たちを追いかけている日記 ....
海から流れてくる雲を
ぼんやりとながめていると
失われた呪文を思い出します
焼き締めた土人形を
たたき割るときに
病んだひとの名を呟く
あの、呪文
鳥取の冬空は
ほんとうの ....
僕たちはこんなにもちっぽけで、
世界はこんなにも壮大だけれど、
この体の中にはとても小さくて、
でも地球よりも大きなものたちが詰まっていて、
一日に2000億が死に、
一日に2000億が生ま ....
君がいないと
君がいないと
僕は気の抜けたサイダーのようで
寂しくて
寂しくて
歌を忘れたカナリアのようで
真っ白な何もない部屋の中で
ただ 君の訪れを待ちわびて
君が隣に ....
つまらないわがままの後
ふいに上向いた気分と
言葉を飲み込んでしまい
二度と口をきけなくなって
ずいぶん経った
元気ですか
姿なき車に怯えていたあなたが蹲っていた場所を
久しぶりに通 ....
林の向こうに星が落ちた
遊びつかれたカラスが
西の方へ飛んで行った
あたりはワイン色になって
夕闇に沈んだ
遠くで一匹犬が鳴いた
町に人影がなくなった
青白い三日月がひとつ
水銀灯の上 ....
口に出せばそれまでで
確かに確かに残った香り
罪悪感?何ソレ喰える?
人間っておかしなものだね
人間って弱くて脆いね
でもすごくきれいだよね
人がそれを汚いと後ろ指さしても
....
僕の手のひらは
君のよりほんのすこしだけ大きい
ふたつ
おでこを重ね合わせて
つめたい ぬくもり
鳥がないてる
白いやつ そう
尾羽の先が 透明のやつさ
ふるるるる ....
すっかり日が落ちるのが早くなった冬のある日
フレックスタイムで足早に職場を後にする
駐車場から見上げた薄暗い空に浮かぶ夕陽
そんな何気ない景色を詩に書き留めよう
奇跡と呼ぶには少し大袈裟で ....
安っぽい愛など求めていない
奪われた者の負け
焦がした者のエゴ
負の作用に従ったなら
正当化すべきではなく
むしろ認めるだけの愛嬌が欲しい
高価な愛など必要ない
与えられるだけの退屈
中身の薄い虚 ....
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