北の国で少女は
歌を集めて翼を織った
旅してゆきたかった
生ぬるいかげろうの季節に
歌はそこら一面で摘まれ
籠のなかでちいさく鳴いた
迷子になったひよこたち
草原を季節風が ....
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言(コトバ)が
剥がされている
という状況
あり方
それに対する思い
惜別ではなく
決別ではなく
哀悼ではなく
非難でもなく ....
とりとめもない映像を眺めながら
皮を剥き縦に切った細長い人参を
齧る
何もつけずに齧る
美味しいかと尋ねられれば
ちょっと柿みたいで美味しいかなと言う
実際は齧る行為に動物的な快感 ....
『狂おしいほど』
『気が触れそうなほど』
どんな言葉を費やしても
陳腐にしか聞こえない
早くなる鼓動
貴方以外に向ける意識なんてもったいない
ただただ呼吸困難なの
全神経 ....
洗面所の鏡の中で
つぅーっと 涙がひとつ
落ちました
なんの理由もないけれど
いいの
そんな日もあるの
携帯のメールを開けたら
どこかの会社から
オメデトウのメー ....
わだかまりの小石を
ランゲルハンス島の砂浜に
捨てたところで
塩辛いもやもやは
寄せては返す
しがらみから逃れようと
前頭連合野の深い森を
彷徨ったところで
粘っこいもやもやは ....
突然工場が爆発したり
突然歩行者に車が突っ込んできたり
時限爆弾のようなものでも
ぼくらの周りにはあるのだろうか
太陽の磁極が5月
四重になるのだという
こんな ....
窓際に座って
外を眺めたら
風に揺られる花たちに見とれて
思わず窓を開けた
風に乗せてふわりと花のいい香りがして
生きている意味を
久しぶりに思い出しました
深く負っ ....
風は飛んでいた
どこまでも飛んでいけた
そんな自分が誇らしかった
風は飛んでいた
飛ぶことしかできなかった
その運命に涙を流して
嵐を作った
風は飛んでいた
嵐を作るの ....
【命の島】
瀬戸内の生温かい風の中
虫篭を編む
白いビニール製のストローを器用に組み立てて
円錐状の虫篭を編む
昔は 葦だので編んだらしい
ストローの語源は ワラだと言う ....
抱かれては詩に変わってく雪崩たち
両親をなんども殺す春の夢
エイプリルフールで私捕まった
渦潮が竜巻呼んでガチ相撲
渦潮の底で待ってる海坊主
苗木市 火遁木遁術比べ
....
永久(とわ)に続く幸せを
いつしか求めていた青い鳥
夜明け前に ふと気づく
限りあることを
やがて羽ばたく
血を受けた我が子に
やさしいキスをして
今一度(ひとたび)の夢を見よう
....
ひとりに
ひとつ
影があるって
知ったのは
いつだったろうか
夕暮れの公園で
誰かの影を踏む
本体は
笑っていても
影は
笑わない
いつだって
静かに
かなしんでいる ....
ときどきは会いたいね
ところで思うんだけど
藍色の自分がいて
それは愛にもなれるし
遇いもつかめる
2音素のaiという母音は
子音を携えて色を変えてゆく
それがあなた
....
大好きだった君だから…
聞いて欲しい
愛する人とね
一緒に居たいなら…
「良い」」「悪い」の
評価を外して相手を
受け入れて欲しい
あるがままの相手を
受け入れると
心が豊か ....
雨の匂いがする
川沿いを下る道すがら
梅も桜も木蓮もまだ閉店中
一度に咲こうとしめし合わせているのだ
雨の匂いがする
....
デイリーテレグラフ
空の下
ナマズは沼の生活に不満をかこつ
淀水に護られる生態をかえりみず
ナマズは
デイリーミラー
窓そとを眺めては焦がれ騒ぐ
ミラー部屋で暮らすM ....
かすみゆく
昭和という名の喫茶店
中には常連のサラリーマンと
マスターらしき初老の男
私はなぜか吸い寄せられるようにその喫茶店に入ってきたわけだが
本棚に詰まってる室生犀星 ....
夢でもし会えたら
とても素敵なことで、
そのために眠りに落ちるのも悪くない
昼間に会ったところで
思いのままにはならないし
一緒の気持ちになるにはとても時がかかる
春にあなたに ....
空を見上げる君は
とても無防備だ
尖った顎先から
なだらかなカーヴを描いて
道が現れる
これから
戦いに出向くにしては
哀しいくらいに
無防備だ
それは
最後まで手放なせずにいた
....
うとうとしながらうったメールは
夢の中のわたしに届く
夢の中のわたしは自信に満ち溢れ
非の打ち所がない
夢の中のわたしはとてももどかしそうに
寝ているわたしにメールを返す
目覚 ....
月に腰かけ 太陽を{ルビ的=まと}にして
流星のダーツを投げる
唯の退屈しのぎだが すこしばかり はた迷惑な気晴らしかも
俺のエゴはでっかくなりすぎて 地球の中には納まりきらなくなってしまった
....
メダカは気弱な小魚だって
それが定義だと
それが憐れだと
勝手な思い込みが押し並べて
それがあまりにも{ルビ酷=むご}いと
両手で包み込もうとする
君の余計な優しさが
彼等の胸まで押 ....
夕暮れの山の喫茶に立寄りてぜんざい食す妻と二人で
山桜あちこちに咲き空青くくもただよえど晴れぬ心に
低気温さむくはない山の喫茶は木つくりで谷間に在り
向い風が吹き荒れて
わたしを白線へ押し戻す
もがけばもがくほど
重くなったコートは
身体から熱を奪っていく
向い風いつの日か
そよ風に変わるだろうか
向い風が容赦なく
わたしを地 ....
当然のように
瞼を閉じれば
まつげの先から
スカートの中まで
そこはまっくらな
宇宙と一緒で
わたしのスカートの中には
宇宙
冥王星も
氷の山も
そびえたって
太陽を恐れている
....
刹那花ひらり乱れる春の風 脳裏かすめる君の幻影
週末は桜吹雪になるのかな君の簪姿を見たい
桜散る頃に逝ければ葬式に付き合う子らも寒くなかろう
満開の桜の下に捨てられる悪い ....
会社をたたむと決心して以来
もののたたみ方に注意するようになった
これまで自分でたたまなかった布団を
たたんでみたりするようになった
いつもはそこら辺に放り投げている
パンツや靴下もたた ....
帰宅中の電車に揺られて
辺りをキョロキョロした
ハッと我にかえり
自分が何故
キョロキョロしたのかを
考えてたら
懐かしい香りで
無意識のウチに
君を探していたんだ
お香 ....
ベランダにするりと入り込んできた花びらは
物干し竿の隅っこにぺったりとくっついたままで
当の木はもう半分以上が緑色なのに
無機質なアルミをほんのりと密やかに
しっとりとささやかに染め上げている ....
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