生と死のあわいにあるような
手のひらの温度 くちびるの温度
境界を崩す行為はしめやかなる葬儀
(葬儀?…それは誰の…?)
白い白い手の甲に歯を立てて
暗澹たる闇に向けてひとしずく ....
地下につくられた大きく広い駅
地上に出るまでの小さく細い通路
急ぎ足ではないと
後ろとぶつかってしまう
機械から出される熱い風を
暑いと錯覚する
めまぐるしくファッションと経済が
身 ....
{引用=あなたは歌うような
あしぶみで
まぶしくかすむ
曖昧な 八月十五日、は
さいわい
のびやかな放物線をえがいて止まる
おともなく
あたしは
きょう
部屋 ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい
大切に飼っていた金魚を
....
夢月がゴハンをくれてから
結構時間が経ちました
私はその間
ゆらゆら泳ぎ続けていました
『夢月・・・・・』
ボン!
身体中が真っ赤になったようでした
私は石の上に座ると
ゆ ....
飛ぼう
思い信じることが大事
目を閉じれば私は大空を自由に飛んでいる
風に吹かれ
青い空に抱かれて
自然に包まれ穏やかな心地
そういつだって飛べるのだ
思ってさえいれば
ぼくが
せいいっぱい
こつこつと
いきてゆくこと
は
きっと
きのうまで
こつこつと
いきたひとの
ねがいをかなえること
きっと
あしたに
うまれて
こつこつと
い ....
うふふふふ。
いいもんだ。
もう引き返さなくて良いのは。
良かったじゃないか。
僕なんかの思い通りに
ならなくって。
すべてうっちゃらかして、ぶらぶら。
ご近所の真っ昼間 ....
夕やけを食べたいという君のため買い物かご手に西日へダッシュ
ハミングでハンバーグ焼くママを見てままごとセットで真似するムスメ
お日さまに愛でられコロナより赤いトマトを煮こんで子の皿 ....
なにげない言葉がこの胸に突き刺さる
悪気はないんだろうけど
明日への扉を閉じられた気分
なにもする気になれず
時の流れを傍観する
僕は逃げない
この苦しみをかみし ....
東京は尖がり帽子が良く似合う
灰色のビルが地上を闇に染める
蛍光灯がなければ新聞も読むことも出来ない
一軒家に暮らす老夫妻はそう言った
彼らの声は誰の耳にも入らず
その生涯を終え気 ....
ひっそりとした山の中に
一筋の銀色の水が
きらきらと輝きを放ちながら
そばに開く大きな葉に
花を咲かせるように
静かに脈をうつ
時折り光が流れの中で止まり
うたかたとともに消えてゆく ....
蚊取り線香の匂いは嫌じゃない
赤い先からあがる白っぽい糸
もうここには無い白髪頭を思い出させる
分厚い本はなんでも友達だった
謎解きを私にさせて
ご褒美のアイスはいつも私のためにあった
....
ぱちんっ
私は目を覚ましました
一瞬お店に戻ったと思いました
でも周りに兵隊はおらず
穴の開いた石や
緑色の草が
代わりに沢山いました
私は地面に座ると
浴衣を着なおし
涙を ....
透明な空にそっとストローを差し込んで
ちうっと吸ってみたらば
なんとも言えず暖かな味がして
僕は悲しくなった
空よお前はそんなにも
人恋しいのか
なんて思って
優しくなんてしてみ ....
生活という枠組みをいつも
穏やかさと野蛮さでもって
埋めてしまいたいと思っている
ただ一人の人を想う事さえ
億劫になるほどの
気持ちのよい自分のテンポで
強かに踊れるって
素敵で ....
滔々と光の溢れる朝に
絶望を絡げて目覚めても
枯れた肉をしがんで生きてきた
霖々と世界を流す雨に
激情を預けてしまっても
慈愛を秘めて抜けてきた
後に気高い花となる
野生の血 ....
蝉時雨も止んだというのに
真昼の喧騒が
じりりと
耳に焼き付いたのを
両手で塞いだ
鳥の群れが西をめざし
灯火色した空に
消えていくのを
門口に焚いた火とともに
静かに見ている
....
祖父は
海軍士官学校の先生だった
手を合わせる横顔に
平和を祈っているのかと訊ねたら
そうではないと小さく呟いた
悔やんでいるのだと
小さく呟いて、そして
祈りは何も変えないのだと
....
突然なんだ
それがおそってくるのは
深夜に一人でいると訪れる
孤独虫
たまらず街頭灯る街角に
救いの天使を求めて歩く
暗がりのなかでは
すれ違う人の人生が薄 ....
白く湧き出る夜霧が彩色の光度を埋める、
途切れた余白だけが、
寂しく横たわり、わたしを乗せている。
染め急ぐ硬いみちが流れるなかで、
滑るように乳白の色をやわらかく溶かして、
わたしは、あた ....
君の 言葉に 触れるその 一瞬が。
僕には 永遠のように 永く長く感じられて
大地を潤す 清い水のように
僕の中に落ちて 真っ直ぐな光となる
僕の中にある
まだ壊れていない部分を 君 ....
ゆらゆら 水が揺れてます
私の赤い浴衣は
ひらひら 水に浮かびます
私はこの店のお姫様
簡単には摑まりません
今日もきらきら泳ぎます
周りの小さな兵隊は
赤色黒色 ....
幸せが判らない
楽しい事ってどこにあるの
見えない眼で涙を流して
誰かに救いを求めてはみるものの
そうだった
僕を誰からも必要とされていないんだった
見つからない
悲しみの紺碧に沈め ....
以前に映画化された 大誘拐 (創元推理文庫)、ご存知だろうか?
紀州の富豪家を誘拐して、5千万をせしめようとした若者たちに、
当の誘拐された本人が、100億の身代金の請求を要求する、という話。 ....
平和は考える前に
願うことから始まる
一人一人の願いが集まり
それが社会となることを
みんなが願う
歴史はその願いを
裏切ってきたのかもしれない
けれども
これからの未来には
....
灼熱の太陽
歩く道はアスファルトに反射して
額から汗がにじみでる
今日も汗をハンカチで拭いながら
宇治川のほとりを歩いた
思い通りに行かない人生
クーラーの効いた部屋の中で
....
ロマンティシズムの盾
センチメンタリズムの剣
キューピットの矢を弾き飛ばす
乙女の強固な防衛心
ねえ、臆病な娘さん
あなたの夢見る想像力の翼が
その純粋な心を覆い隠しているから
生々 ....
炎天下の路上に
{ルビ蝉=せみ}はひっくり返っていた
近づいて身をかがめると
巨人のぼくにおどろいて
目覚めた蝉は飛んでった
僕の頭上の、遥かな空へ
瀕死の蝉も、飛んだん ....
明かり消えていく街角の電灯
軋む踊るその心のマーチ
空が夕に染まる街の中心
駆け抜ける僕の未来の形
不安で泣いた夜も
深く突き刺さるトゲも
早くぬきとっ ....
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