どうか どうか 僕の手を引いて
ここから連れ去って 下さい
最初から居なかった
そう言えるくらい
何も残さないように そっと、
此れは僕の 思い出と欠片
指で触れると 溢れ出す
それ ....
ひとり部屋
にも関わらず
感じる別の温度
わたし部屋
にも関わらず
散らかされた言葉たち
わたしが私から
出ていくことはないから
それもこれも
....
もつ煮込み屋で
黒ホッピーと
さんまを食べる
このはらわたをねえ
日本酒で食べたらおいしいんだよね
それだったら、日本酒、たのめばいいじゃないですか
そうだねえ
そうなんだけどねえ
....
一年生手を挙げるクルブシだけが覚えてるハーメルンの笛
前髪をピキンピキン切ってゆくハサミ歩き出す水たまり春
球体関節人魚のたましい夜中タマゴはつるりと剥ける ....
生まれた意味 探したけど
見つからない 君の負担
増やすだけなら なんて悲しい
その笑顔は 本心を悟られたくないから
体朽ち果てるまで 全て消え果てるまで
苦しみ続けるしかないみたい
....
気の向くまま
足の向くままの
ひとり旅
ゆらゆら揺られ
向かう旅先に
とうに気付いてたはずの
色の変化
知らされる
悲しみと平和の街
これから ....
悪魔のような形相で
怒鳴りちらされるのは
我慢できる
けど
天使の微笑みで
悪魔のようなささやき
しないでね
きみの作ってくれたお弁当
食べるの ....
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きょうもまた
独り、
みなの寝静まった寮に
幼児の瞳を輝かし、
いじけた手足を伸ばす時、
心は嵐の後の
蜘蛛の巣のように、
暗く重たいものを ....
同心円でありたいのです
それぞれの速度で広がる
無数のわっかのなかで
波紋を重ねたいと
降り始めの一滴になりたいのです
そのひとのほほで流れれば
きっと振り返るでしょう
手のひらを空 ....
猫のあくび
窓辺のコスモス
いろあせたオルゴール
金魚のあぶく
ハチミツ入りの紅茶
それから
きみ
そういうやさ ....
目を閉じて君を感じる夜の音甘く静かに時の滴る
ひたひたと君が浸透した体溺れはしない自分自身に
夜の度形を変えて現れる月も今日の私を知らない
えいえいと刺すよな寒さ丸くな ....
なだらかな曲線や
いびつな凹凸も
形通りに
そっと撫でてやると
こわばった起伏が
するん と解けて
一本のゆるんだ線になった
とたんに安心して
ぽろぽろ涙をながす
キ ....
誕生の
賛嘆には
うらがえしの
霹靂を
まなざしを持つうちに
光線に射られた
そのまばたきの擦過傷より
ひろがる後天性の
先天的疾患から
なみだと
....
「思い出すことに
何も、見いだせないまま
私は
その一端を
囲うようにして
しまったのだ(、ろうか」
踵から伸びた
私、らしきもの、の影
....
左手を絡める鎖で身を飾る誇りを嘲え白い太陽
乱気流放つ引き金緩いまま「後追い禁止」の標識を刺す
置き去りの景色を胸に滲ませたセンターラインはためらいの色
逆風 ....
月が眼の見えない日
紙の欠片が寝返りをうつと
月の手からこぼれ落ち
ゆらり、ゆらり空に泳ぐ
慈愛の翼に煽られては
喜び香る
ひとひらの
さくらの花びらとなり
情熱の翼に煽ら ....
なきたいときには なけばいい
僕たちは何かをためらうことばかり
覚えていて
ほんとうの声をなくしてしまった
声帯が震わせるものは空気
音にしかなりきれない
言葉のオブジェ
である理性 ....
鉄の玉が 転がりつづけるように
月が軌道を 描きつづけるように
慣性の法則
君への想いは
林檎が木から 落ちるように
グラスが床で 砕けるように
引力の法則
君への想 ....
いま
文字から 染み出す
春が その 重い眠りを 眠って
霞む 空 街 歩道の末に
心の動きは 流れる 水に
春は ぼんやりと浮かぶ
水面に浮き草は 流れて
時を過ぎ ....
素直な君
明るい君
元気な君
憂鬱な君
淋しげな君
怒っている君
みんな
君のものだから
心配はいらない
笑っている君も
怒っている君も
しょげている君も
君らしく ....
ホリデイ
青空にはためく白い洗濯物
私は音の出ない口笛を吹きながら
遠くに走る車のきらめきを見ていた
いつか見た潮騒のようだとふと思う
あなたはまだ帰って来ない
風が気持ちいいわ 春のよう ....
私はベルトコンベアーに乗っていた
高い天井が見える
顔を持ち上げ
ベルトコンベアーの動く先を見ると
何台もの大きな機械が一列に並んでいる
私はなす術も無く
巨大な芋虫に飲み込まれて ....
バッカスについて
ある日展覧会で奇妙な絵を見た。バッカスと題する絵である。中年過ぎの上半身だけ裸の小太りの男の絵。ダンディとか洒落とかいうところは少しもない。そして思ったこれこそバッカスだと。 ....
さて 困った
まぶたとケンカをしちまった
ヤツめ スネて開かなくなった
もう知らないっ
吐き捨てて それっきり
ウンともスンとも言わなくなった
さて 困った
もうすぐ朝になっちま ....
おだやかに今日も晴れて
廊下を しん と
わたしたちの影がのびていきます
手首を引かれて あなたは
すこし
つまさきで歩いていました
わたしはあなたよりもずいぶん せいが高いから
お ....
集められる限りの写真を集めて、アルバムにすればいい
一人部屋でページをめくり
かつてあった日々の思い出を愛せ
それらの日々をノートに刻み込め
言葉にできないことはみんな行間に遊ばせたまま
言 ....
おばあちゃんは83回目の誕生日だった
小さくて肩がしぼんでみえた
年の数だけ抱きしめたなら
笑って消え去りそうだった
琥珀みたいにさらさらと
83分の ....
約束の日が待ち遠し 指を折り 折々君への思いも募る
効率という言葉から程遠く 君待つ時はただ過ぎていく
募らせて逢う時のため凍てついた手足の固さ心に刻む
玄関に近づく足音聞きながら ....
今日も爽快
マーチングバンドの
小太鼓の音
胸を張って行くぞ!
地味がいい
派手よりも地味がいい
汗かきベソかき恥をかく
くつろぎのコーヒー
洗濯して
布団干して
掃除して ....
泣いた日
左手が動かなくなった日
ボケットに突っ込んだ手を
先生に注意され
からかわれた手と
庇われたことが恥ずかしくて
泣かされた日
泣かされた日
いつも庇ってくれてた友達が触っ ....
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