遠くばかりを探していたら
いつの間にか目の前に立っていた
思わず向けてしまった人差し指

音楽の授業でピアノのテスト
弾けないわたしは放課後まで練習
ミの位置にはいつも中指

教えてく ....
先週の金曜日に係員が
片っぱしから抜いてきた芥子が
車庫に運び込まれて

取りあえず焼却炉に火が入る日
まで
放置していた

 チョクシャニッコウハアタラナイシ
 カゼトオシモイイカ ....
窓ガラス滴る雫数えては不実な愛を嘆き悲しむ

雨の中傘もささずに飛び出せば君に出会えるそんな気がした

レインボウ追いかけて行くよどこまでもいつか君にたどり着くまで

紫陽花の冷たい青は君 ....
扉が
壁になった
観音開きの合わせ目には一ミリの窪みもなく
錠前も、蝶番もなく
光も、ざわめきも、向こう側の気配はなく
ひた駆けてきたあなたの
汗と、一千万秒が
消散した その静寂で
 ....
日常の底辺を二つに割って
その間を流れる河で泳ぐこと
海に出ること 叫ぶこと
朝も夜もない北へ向かって傷む
幾つもの舟は
弾性限界を突破して
大破した

塵となり
風に巻かれた星屑
 ....
ペチッと足下がなって気付く
つぶれたキャラメルポップコーンの一粒
金曜の夜に輝きだした女の子たち
指先がおよぎはじめ
どこかへいきたくなる
移動の風景
常磐自動車道
映画館が崩れ落ちてい ....
僕は今日 君に
優しくされたくて
小さな嘘をついたよ

子供のように君をからかって
僕の旋毛に落ちてきた
握られた固い拳

瞳を潤ませて
殴られたてっぺん 軽くおさえて
上目遣いに軽く睨んで

{引用 ....
夏の入り口には、


昨日の過ちの全てを飲み込んで許す程に煌めき澄んだ空の青さと、
我先にと、重なり合って湧き立つ雲に乱反射して飛び交う光の白と、
弾けた海の水面走る波の跳ねる飛沫の頂点を越えて ....
{引用=わたしの家は 田んぼの田の字の真ん中にたっていて 画家が住んでいます
誰も彼の姿をみたことはないのですが 彼は確かにいるのです
どの故郷にも どの町にも どの家にも 彼は必ずいるのです}
 ....
四十をとうに過ぎてから
韓国語を習い始めた

英語を学んでみても挫折した私が
日本語と少し似ているせいで
韓国語ならできそうな気がしたから

教えてくださる先生は
日本の男性と結 ....
浴場上がり
潤沢目尻
豊満の火照り
は、ダレのせいかしらん

まるで
森の都を彷徨するように
思案に没頭してはいたけれど
だからと言って
純に
のぼせた
事情、でもなさそうだわ
 ....
*ごうんごうん

彼は
何も口にすることはないままに
色々を咀嚼して
そのほとんどを
無かったことにしてしまう

勿論、その中には
わたしの使用済みだとか
出し忘れたテ ....
雨音に見張られて
夢に溶けることも
ままならなかった夜も
いつの間にか明けて

乳白色に霞んだ
意識の繋ぎ目に
濃い目のコーヒーを
注意深く注ぎ込んだ

雨の残り香のする
雨戸を ....
紙面に置いた言葉をアラヨッと摘み
ゴミ箱へぽいと捨てるのが仕事で
きまぐれに雄たけびを上げる「静」もあれば
偽ったままひっそりと横たわる「暴」もある。

いつのまにやら
言葉よりも映像が好 ....
例えば 夜が全てこぼれ落ちてしまって
夜の子供達がほろほろ泣いている日があるとしたら
私はなにもない空を暗く塗り潰すほどの
真っ黒な感情を持っていたい


例えば 空のプラズマの中から青だ ....
世界には



寂しい男の数だけ
寂しい女がいて




哀しみを抱く人の数だけ
それを解する人がいる



誰も信じられぬ
人の数だけ
信ずるに値する人がいて


探している人の数だけ
幸福 ....
いいえ、
私の家は小さなパン屋をやっていたの
海の近くの
海といっても砂浜はなくて
ただひたすらに工場が立ち並んで
そこから荷物を運ぶ踏切のある路地に
オレンジと黄色の屋根のついた ....
ハローハロー

起きてますか?
家の中静かになって、みんな夢の中。

私は机の前。
昨日寝てしまって取れなかった授業のノートを写しているところ。
内容は「死」について。
シビアだよね。 ....
通り過ぎる町並み もう君は埋めた

君の意識はずっとずっと深い場所
深くてあたたかくて少し暗い場所

もう、いいんだよ

無理してまで笑わなくていいよ
辛いなら泣いて泣いて泣いて
ぼ ....
おさなごの手で目隠しされたみたいに
まだ薄白くぼんやりとした月は
うろこ雲のすき間から顔を少しだけ見せる

指で四角に切り取って覗き込んでみた
ぼくたちよりうんと長く生きたこの風景は
瑞々 ....
森の奥深くさまよっていると
重なり合う枝の
青黒い梢の繁みの中から
ふと
神の視線を感じた
見上げる先に
二つの眼光炯炯として
高妙なる
大ふくろう

神でこそなかったが
 ....
 *
不意に季節が変わった気がしたのは、強い陽射しのせいなのか

ピリピリと肌に刺す光束ねた空は昨日と別人の顔つきで
僕に微笑みかけて来た
昨日迄とは違い
灼熱を僅かにこめて笑いかけて来る

風 ....
月々に少なくなりゆく 経血に
血の流れを思う

10ヶ月をかけて
血潮で形づくり
産み落とした
新しい命が育ち
初潮をみる

丸みを帯びたオンナの
形になりし
娘よ

やがて ....
雨の匂いは二人の瞳を湿らせる
閉じ込められたつもりのお遊びで
あなたは私を呼び寄せた
きっと些細な戯れで




シーツの波が
まるで逃げ惑ってるかのように見える午前五時 ....
きみが
あまりにもきみでいたがるのは
そのうつくしいこえに
みいられたからなのだろう

わたしもまた
おんなじように
そのこえにみいられているものだから

きっとわたした ....
子供の頃かいま見た大人の世界は
寝ているじぶんに聞こえてくる両親の会話と
めったに入ることもなかった職員室が印象的だ
それを引きずっているからだろうか
お客様の事務所でお客様を待っていると
 ....
今みえる未来は

いろあざやかなネオンが

きらびやかにでも誘惑するように

光輝いていた

記憶は錆び付いて歯車が

うまく噛み合っていなかった

空けていく人の体

い ....
微かに本が吐き出していた
縁の糸に絡み取られたように
また
導かれた一冊の詩集

図書館で目にすると
迷いもなく借りてきた


けれど貸し出し期間の半分が過ぎても開けず
10日が過 ....
いくつもの光の輪が揺れている
緑の{ルビ踝=くるぶし}が踊り私を誘うだろう
風は耳うちして秘密を告げた
胸うちに痛みに似た喜びが広がり
そうして唇から歌がこぼれ


ごらん
静かな火が ....
 朝の庭は

 淡い彩り

甘い匂いを

ほのかな空に

夢見る花は

 微風に揺れ

ふわり

ゆらり

 羽ばたいて

蝶よ
 ....
恋月 ぴのさんのおすすめリスト(17882)
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