好きだから、近づけなくなる。
好きだから、見れなくなる。
好きだから、好きすぎて
好きだから、もう会わない。
....
ほら、行ってらっしゃいと言う
微笑みを置き去りにし
ガムシャラに生きてきた気がする
コチコチと時を刻む音に苛まれて
うちには時計がない
ただいまの声に
....
警察官の股の間から
黄色いプラスティック板の
赤い数字を盗み見るのが毎朝の日課
0に胸を撫で下ろし
1に涙腺が緩む
慢性化した殺人劇が
ガードレールを挟んだ先で上演されている
観客を ....
あなたはいつも
わたしを傷だらけにした
気がつくと
傷だらけになっていた
痛いからやめてって言うのに
あまり気にしてくれなかった
お風呂に入るたび体中にお湯が沁みる
だか ....
ベランダは東向きだから
朝はとても眩しいよ
彼ね
厳しい審査の結果
高得点で合格しないと見せないよ
足の親指を齧ったあとの
くりん、とキャット半回転
もう ....
母が癌で去って六日目に父が倒れた。
病名は白血病だった。
父は門限や勉強に、容赦しなかったので一時確執のような物も
生まれた事も有り頑固で頭の固い父だと思っていた。
その父が入院したの ....
僕が以前働いていた特養で十三年生活していた
身寄りのない K {ルビ婆=ばあ}ちゃんの告別式が老人ホームで行われた日の夜
他施設との懇親会が行われ、
僕は「はじめまして」とテーブルについて
「 ....
演じるのにはどうしても
ナイフとフォークが必要なのであった
手づかみで食べた赤いカルネの味
女優は決して忘れない
目をつぶれば鼻を突らぬく
沈黙の香り
その ....
庭の落ち葉を掃き集める
足元に猫が、頭を摺り寄せ
日溜りに寝そべった
病室の窓から
川向こうの桜を眺め
花見のようだと
喜ぶ父さん
帰るはずの家は遠く
山向こう空は ....
「笑顔」に
角や棘がとれ心は温かくなる
言葉で笑顔になれたら
言葉で笑顔を伝えられたら
言葉で笑顔をあげられたら
人生はもっと肌触り良くなるのだろう
甘かったり
苦かったり
スベスベしていたり
ザラザラしていたり
神だか悪魔だか姿無きモノが
無垢で裸で天も地も無く浮かんでいるモノへ
与えた果実
赤くズシリと腑に落 ....
魂の器は日々を重ね
否応なしに朽ちていく
魂の中身は日々を重ね
想いを練り上げている
温かい時冷たい時
風雨にさらされる時
外も内も変化に富む日々だけれど
器が崩れ始め ....
銀の星降る 御伽草子
満天のコンペイ糖 蹴散らして
疾走するペガサスの宅急便
トントントン
ミルク色の夢 お届けします
{引用=名も知らぬ
草の花時夢見ては
ひとり朽ちゆく
徒花か}
いつしか
君を待っているのか
死を待っているのか
わからなくなった
届きはしない
小さ ....
飽きられるのって悲しいね 淋しいね
いつか自分も
飽きるのだろうし
飽きられるのかもしれないけれど
一人でいるのも悲しいし 寂しいね
けっきょく人は寂しくて 悲しいね
寂しい ....
太陽が落ちていく頃に みんなは何をしているんだろう
元気な子供たちは 家に帰り 夕飯をたのしみにしている
恋人達は 今からが楽しい時間
僕は あの人を 想い切なくなる
鼻歌の一 ....
きわめて無機質なショウケースは
その中が厳重な保護下に置かれていることを物語り
光の粒が華やぐ中に一際大きな輝きが鎮座していた
限りなく透明なラウンドブリリアントカットは
冷ややかな気 ....
じいちゃんが火葬された
あっけなかった
歪んだ炎の真っ赤な色や
煙がひたすら立ち上るところを
なんだかわからないけど想像していた
けれど実際は
でっかい鉄筋の建物の中で
僕が親戚 ....
明日逢える?
明後日逢える?
冬になったら逢える?
さくらが咲いたら逢える?
次のひまわりが咲いたら逢える? ....
雲ひとつなく秋晴れの空
父の運転で越えていた峠も
いまならば
自分の運転で越えられる
アクセルの踏み加減でスピードを調節
ブレーキなんか踏まない
でも
思いの外カーブは厳しい ....
明日
彼女のピアノを初めて聴くことになる
夢にひたすら向かっていった彼女の
今の思いを聴くことになるのだろう
ほしいから、頑張ったんだ。
届くかもしれないから、のばしたんだ、
手を ....
東京の夜空は明るい
坂口安吾の描いた
戦後の静謐など嘘みたい
昼と夜を履き違えた植物は
花を咲かすことを忘れてしまった
人は偉大なる太陽を忘れてしまった
見て
人工の星がきらきらと瞬いて ....
氷壁は確保すら危うい
三点支持
命綱は細い電波のように
とぎれとぎれ
辿った記憶だけが教えてくれる
過ぎ去った轍を踏み
体温も
灯りも
声すら
霧の彼方に常に失われ
....
天気予報の通りに 雨
今の季節は しょうがない
手首と 喉元に 水が
少しでも 沁み込まないように
タオルと 手差しを 巻き
雨合羽を 着込む
六尺のはしごが 私には 調度いい
....
すべての組織が生まれ変わるこの体
わたしはわたしであってわたしではない
思い出を亡くしてしまえば失ってしまえば
生き物であったとしても わたしにはあらず
体から零れていく思い出の欠片たちを ....
みんな、おいらたちを忘れてるだろ〜
でも、律義な性格だからバッチリエナジー送るよ!
保存はWindows:右クリックして保存 Mac:コントロールキー+クリックだ!
浮遊するのは 短い 手である
切り取られている それらは
いなくなった 僧侶であり
僧侶の 泥の数珠である
浮かび上がるのは 指先である
アスファルトの 教義に
道徳の 邪 ....
日本には四季それぞれの味わいがある。
ぽかぽか 陽だまりの春が好きな人
太陽ギラギラ 花火が綺麗な夏が好きな人
紅葉に心洗われる秋が好きな人
白銀の頬の冷たくなるような寒さの冬 ....
3歳の夏にわたしは赤ちゃんを産んだのだった
やわらかい栗毛を愛おしいと思った
乳母車はわたしの筋力のなさをあざ笑ったが
幸せな光はいつもわたしの頭上で放たれていた
母親になる幸せを誰に ....
星々の明るさが際立ちます
夜気がひんやりと
澄み渡るらしく
星々の明るさが際立ちます
されど
星々はつねに燃えているのであって
なんの労苦もなく輝くものなど
在りはしないのであって
....
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