狭苦しい世界から
こぼれ落ちてしまいそうに
鳥は横切っていく
この胸をしめつける病なのか
握った手のひらを湿らせるだけで
つたうものぬぐいもせず
鳥よ、名も知らぬ猛禽よ
あいつの ....
遊べない砂場
潰れている蜂
幼いブルーに
染まって
ほら
子どもらしく
出来ない場所では
人間の形の
分子にもなれない
先生が親が
良い子になれといった
部屋と窓をあとにして
空に家出する ....
忙しく行き交う電車
その車窓から見る景色は
瑞々しい緑に栄えているのに
僕の瞳には虚ろに映るのは何故だろう
行き先案内のない我が行路
人々はただの虚像にしか写らなくて
....
大きな湖に
沈んでいく夕陽を追って
ガリレオってすごくない?
これで
地動説なんて
思いつかんよ絶対
ぶつぶつと
つぶやきながら
コウちゃんは
デジカメを構えてる
その ....
歯がしくしく痛む夜にミントを、
初夏の風と小さな葉っぱを
コップの水に
くるくる溶かして
蛍光灯の下で、うがいする
クールグリーンの麻酔をかけられて
小骨のように引っかかっている、 ....
囀るひばりに誘われて
五月の原っぱ
やわらかな緑が
裸の足にくすぐったくて
昨日はふり向きもしない
ぺんぺん草がかわいらしい
青い空に
浮かんだ雲を
目で追いかけて
眩しい形 ....
川縁の土手に根を生やした蒲公英たちは
うららかな春の陽射しを浴びて
いっせいに背を伸ばす
夏になったら向日葵になるの
ダンデリオンが通りかかると
みんなで声をそろえて問い ....
君と
君の子供と
駝鳥牧場に卵を買いに行く
大きな鳥に
君も
君の子供もはしゃいで
{ルビ接写=マクロ}切り忘れて
携帯で駝鳥と撮った写真は
すべてがぼやけて
僕らの風景 ....
眠れない夜
眠らない夜
想いの行方は
彼方
銀の先は
星を射す
いくつの言葉を
集めても
満たなくて
繋げた言葉は
形を描けず
流れる星になる
めぐる
めぐる ....
少し痛いめにあわないとわからない
どうやってまちがえたのか思い出せない
どうやってここまで来たのか思い出せない
見えるのは ただ透き通った骨の足
見たいのは わたしとあなたの小さな隙間 ....
名前はやはり記号なのでしょう
存在を証明する 一番純粋な記号
大人に近づくにつれて
何となく 自分の名前さえ空ろになって
記号なのだと 証明なのだと、
眠る前に言い聞かすのです
そうし ....
閃光を浴びる波打つ腕を貫く
静脈の彼方から、疲弊した虹彩がため息を吐く。
朦朧とした街は、たえず銑鉄を溶かして
都会の人々の苦悩の鋳型を作り続けている。
すべての窓には、水がなみなみと注がれて ....
つまらない時を過ごして
つまらないものを食べて
つまらない家族と
つまらないパック旅行
つまらない景色を見せられて
つまらないを連発する
そんな旅をしてみたいものと
つまらないの原料を作 ....
ご先祖様の温もりが
土に宿っているから
日本は大丈夫なん
命の糸がそこらじゅうにめぐらされてるん
太陽の恵みには そうしたもんがこめられてるん
そう言ったおばあちゃんが
交差点のま ....
空の眼が開いた
夕焼けが なく
はけで塗られた台本の上の
削り取られた 穴が
船だというから
のぞけない
除かれた場所から
消えるのなら
責める理由
思い浮かばぬうちに ....
記憶の奥に忘れられた記憶が
ひっそりと泣いていた
色あせしていた僕が君を書いた
似顔絵は何も言わずこっちを見て
ほほえみかけている
君が一生懸命育てた花は
枯れてい ....
羽をたたんで天使が降り立った
悩み事 弱音を語っても
天使はニコニコしている
なんだか悩むのもバカらしくなった
いずれすべての人は一つになる
まばゆい光に ....
追いかけてきたものは、何であったか
追いかけるべきものは、何であったか
あの蒼々 あの爽々
届くはずもないと{ルビ諫=いさ}められても
羽ばたく自由まで
奪われたわけじゃない
....
神戸のモザイク広場には
一隻の船が飾られている
かつて世界一周を果たした船を、復元した船が
けれどその船は、航海してここまでやってきた
海を渡ってきたのだ
だが、いまは
陸に固定され、帆が ....
湿気ばかり多くて
気温が上がらない夜は虫なんかの
季節を送る歌など気にせずに
眠ってしまえばいい
閉じた瞼の裏が
奇妙な色に透けるのはまだ生きている
証だと思えるのなら
眠ってしまえ ....
希望は風に細切れて
愛は化石に埋もれた
思い出は酒の波間に漂って
一口飲めば目から零れた
世界の終わりに宝石はなく
ただ涙だけが幾重にも輝いて
三つの絃が語る未来と
孤独が朗 ....
目が覚めても何かと手を繋いでる感覚があった、確かにあの頃は。
拾い集めて繋げた
羽根で決して明日に
辿りつかなかったのは
少し汚れていたせいじゃない
「ひみつ」という言葉 ....
混沌とした世の中
自然はしゃべらなくとも
何かを語っている
人の心にオニが宿る
人の心に天使が宿る
長く寒く暗いトンネルを抜けると
しばしの楽園
安らぎの季節
....
眠りの中で思い出すのは思い出となった未来の景色
波は雲に砕け水面は空に満ち風の駆ける水底で君は微笑む
陽炎は光の衣をまとい
過去に残された思いは忘れ去られた今を抱き留める
透明な波音 ....
気持ちのいい場所で
気持ちのいい格好で
吹かれていたい
風に
ただ、風に
寄りかかった柱の
きずあとを指でなぞる
地面すれすれまで
しおたれた こいの
恨めしげな ギョロ目
ソヨともなびかず
すみきった あおは
....
なまえなんか
どうだっていいのだと
その人は言った
なんと呼ばれたって
腹の中は見えている
なまえなんか
どう言われたって
かまわない
佃煮色の髪をなびかせた
神の化身と呼ばれた ....
薄曇りの空がからだを湿らせるだけの
ちっぽけな夜だから追いかけてみる
西の地平に月
最後に沈んだ
星の名を知らない、と
静かに胸に沈めた備忘録
この体は赤道儀だ
....
老舗の焼き鳥屋には気の強い妻と
やたらに人のよさそうな爺さんが目尻を下げて
火鉢の上に並ぶ焼き鳥を丹念にまわしている
妻は若く 爺さんは見たとおり年老いて見えるが
本当は逆で 爺さんが若く ....
アスファルトから突きだして
咲いていたタンポポが
とてもちからずよく見えた
僕らが作る未来は
僕らにまかされている
僕たち次第で未来は変わる
心はそうつなが ....
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