ジョセフィン博士の勧めで
手紙で紹介された
アパルトマンに引っ越すことにした
もう親離れしなければと
0号室は管理人の夫婦が
1号室からは芸術家の卵たち
ここは芸術を育てる部屋
変わ ....
汽車の終点にて
夜道をゆく
同郷の者は足が早く
陰影が消える
この街路に
カラオケなど一軒もなく
酒を買い
憂いを消して
やがて畦道となり
ワンカップの瓶が転がる
春風が吹 ....
蟻が空を見上げてる
土の上から
体よりもずっと小さい目で
大きな空を見上げてる
いつもは下を向いて
せっせと動いているけれど
まぶしい光が呼んだのだろうか
蟻は立ち止まり
空を見つめて ....
一緒に生きて死のうよ、ね?
眼球から雫
白紙に転がる鉛筆
遺書でも書く心算だったの?
泣いてなんかいないよ
哀しんでいるだけ
凍てつく左手はそれでも君の愛を乞 ....
何ひとつ
うまくいかない
そんな日常の中に
見つけたもの
探して探して
暗い夜道をひとり
歩いて歩いて
やっと
出会えた
君との日々を
宝物にしたいから
....
『おはよう』と
交わす言葉に
込み上げる
今日の愛しさ
噛み締め生きる
『また明日』
あると信じて
別れてく
沸き上がりくる
寂しさ隠し
目が覚めたら朝が来ました
目が覚めても朝が来ました
昨日と同じ今日が怖いので
今日と違う明日が恐ろしいので
僕はバリアを張って僕を弾いてしまいます
僕らはオーラを発して僕らを放してし ....
我が北大路家は 代々 京都守護の仕事をしている
昔 空海が張ったとされる結界を 現在は父が張りつづけてる
私も中2の頃から仕事を手伝い始めている
結界の保守・管理などが主な業務
....
夢染める 折々の日々 同じ時 流れ流れて どこどこ憩う
日記にて 徒々なる日 綴りては 積み重なりし 笑顔と涙
ご機嫌に 口笛吹けば 飛んでくよ 茜の空に あの日の迷い
....
夫の背中には口がある。
だから夫は、
背中を向いて、
わたしにしゃべる。
夫の丸い背中はいつも白いワイシャツに包まれている。
背中は、
わたしがご飯です ....
ユラリ ユラ
波間に揉まれてたゆたって
いつのまにやら
フワリ フワ
骨抜き薄皮
海の月
目一杯からだを広げて
空の月 を
自分のお腹に映しこんで
....
突然の激しい雨に言葉切り
雨戸を閉めた君の白腕
さぁさぁと静寂の中に衣擦れと
息遣いのみ聞いている午後
まだ止まぬ長雨の中見送られ
しぐれ柳をくぐりて走る
ほとんどの人は、もう
溺れているの
誰も気づいていないだけ
澄んだ指さきが
アルカディア、と答えて
空の一角をさす
新しい風景、新しい秩序
それは
見たことのない宇宙
(行け ....
Go straight on the street.
道には何もない
蜃気楼
ジーンズ
水がない
食物がない
地平線まで
同じ風景だ
ただひたすら
歩くのみ
ここは天国
....
押してだめでも
引けないときがある
一歩でも下がれば
負けてしまうと思うときがある
失敗しちゃう事も
それなりにある
後悔する事も
けっこう頻繁にある
でも意地を張 ....
ドレス姿の君の影と
ちぎりちぎった招待状とを
蒼穹に投げ放つ
傷つけたくはないけれど
少しぐらい
傷ついていてほしい
長い長い
夜が明けてゆくよ
夜行列車で目覚める
旅先の朝だよ
寝ぼけ眼を手でこすり
車窓の外へ目をやれば
松林の向こうに
只静かな海は広がり
振り返れば
雲 ....
浅い眠りのなかに
潮の匂いと砂を踏みしめる音がして
わたしは海辺にいるらしかった
裸足に海水は冷たくはなく
貝殻の欠片を拾い上げても
その尖った先は指を刺さない
(きっと夢なの ....
朝露が
陽光を孕んで
(きらり)
輝いている
そんな六月の朝
梅雨の晴れ間
燕が低空飛行
(ぴぃぴぃ)
愛しい愛しい
雛のため
....
空っぽに 空っぽに
嫌な事って 大嫌い
朝、テレビのスイッチを入れてみます
一日の気分はそこから
餌に群がるハイエナ
裏側ってそんな感じ
外に出よう
昼、 ....
晴れた休日の朝
シャベルで宙を掻いている男に出会った
都会の街中の少しだけ開けた場所
陽光は空気中の水分に乱反射し
景色に鮮やかな色を落としていた
平和すぎる風景の中
男はシャ ....
世界が滅びて
ただ一輪そこにある花を
太陽が照らして
空虚な僕は問いかける
すべてが消えて自分だけが残り愛もない世界で
どうして君は咲いているのかと
花は答えた
あ ....
そっと でいいから
ふれてみたい
あなたの零した一雫のわけを
どこから
流れてきたのですか
まりのような白い雲が
あちこち 漂っている
空なのに
雪解け水が激しく流れる季節は
....
今日はしとしとと雨なので
天体観測は中止
傘を持ってこなかったけど
濡れて帰るのは楽しい
口々に喋る子供たち
「ヘビ座、トカゲ座、ミドリガメ座・・・」
ほこりっぽかった道は
黒々 ....
裏通りに 傾いた陽が落ちてくる頃
放課後の声たちが 初夏の帯にのって
泳いでくる
バギーの乗客を覗いて
ほんのり口角を上げて
青いランドセルが追い越してゆく
まだかたそうなランドセル
さ ....
からからからから空回り
足元には注意して
いたずらな子悪魔は
いつも隙をねらってる
この想い
言葉に直せるほど
まだ消化できないよ
鮮やかなフレーズよ
舞い散 ....
苦しいとき
なぜか
いつも上り坂があった
何でこんなときにと
腹が立ったけれど
その坂を上らなければ
目的の場所には行けないので
上るしかなかった
上り始めると
思っていたよりは ....
金魚すくいはいつも失敗する
お椀に入れるまでの間
金魚は溶けてすぐに消えてしまう
金魚すくい屋のおじさんに
コツを聞いても曖昧で
金魚と思うからいけない
としかおしえてくれなくて
金魚を ....
暗い海の底で
一匹の魚が尾ひれをゆらゆらさせている
海面は荒れても
相変わらず静かな深海で
目を閉じたとき
こんなふうに浮かぶ愛は
傷ついたっていいんだけど
ただ複雑にしたくない ....
夜を巡り
たどり着く
君の皮膚と薄皮一枚の距離
この夜を巡って
法華経を読経する
自死した 君や
見ず知らずの 霊に
夜の底で 親しく
妙に明るい 死者の森を
読経しなが ....
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