ついに、越えていかれるのですね。
拝啓、海沿い、立ち並ぶ風車に。ごろんごろんと音をかき混ぜる大きな手に、何でもないことを、挨拶のように振舞うあなたに。ここを、越えていかれるのですね。知ってい ....
深い眼差しを、
赤く朝焼けした巨木におよがして、
動きだすふたりの直きせせらぎが、
ふくよかな森の奥行きを高めて。
始まりは、乾いた無音を燻らせる、
茫々とした朝霧を追い越して、
あさ ....
二人でいるときは
想像
エデンの園
そして
失楽園落下恋
堕ちてゆく感覚に
流星を
一瞬の輝き
せめて二人でいるときは
排泄ではなく
闘争ではなく
見栄ではなく
....
しらばっくれるなよ
大型水槽のガラスにも
人息れで滲んだ世界が
ぼんやりと時を刻む
エアコンに負けて
透明になった世界には
勝つか負けるかの打算が
手段を選ばぬ精神が
ワールドサッカー ....
わたしがよく行くカレー屋の
インド人の店員さんは、とってもいい人
インドのことをいっぱい教えてくれる
コーラをサービスしてくれる
街で会ったら挨拶してくれる
「わたし、カレーが ....
冷凍室に閉じ込めて
そっと 耳を寄せたりはしない
腹を裂き眼球を抉り
死なない形を創り上げて
寂しさを 裏側に貼り付ける
夜中の静けさが
硝子玉した眼に暗い光を燈すと
怯えた幼児 ....
いつか 夢は科学と名を変える
そして 祈りは綺麗事と名を変える
人は 死ぬために生きるようになる
こんな愚痴が 真実と名を変えたりする
そんな真実が 今日も 世界を 変えていく
木々の間からこぼれ落ちる月
あぁそうだ
あの空へ僕はもう一度帰れる
たしかにあの時そう思ったんだ
乾いた風を湿らせて
どこまでも走る 秋の土を
もう二度と戻れない
月日を想い
....
河原で雲を売ることにした
商売は一にもニにも場所だよと
商売などやったことのない親父が
いつも言っていた
場所は悪くない
多摩川は人気の多いところも少ないところも
選べるし
ぼくはど ....
ここに一つの告白をしよう
俺は俗に言う、いじめられっ子だ
昼食のパシリ(は当たり前のこと)
集団私刑(あいつらはプロレスごっこという)
かつあげ(毎月1万円の献金を要求される)
上履きを ....
雨が止みはじめた頃に、
傘を差しはじめてみた。
びしょ濡れになって傘の下、
僕は何かに守られていると強く感じる。
道の向こう側から、
少年が歩いてくる。
あの懐かしい長靴の黄色が、
僕の ....
日記帳に日々を組み込む
折れた紫陽花の花々が朝露に香る
雄弁に人々の虚ろな影を語る気がして
気が付けば真夜中
退屈が織り成す誰にも見えない戦闘服で
エアガンを撃ち鳴らす少年
飛び立つ鳥 ....
吼えたくなるような夜
神経がギラギラ研ぎ澄まされて
目が光る
癒しの静かな夜
絆は曖昧で
不確かな明日に怯える
弱肉強食の人生の迷い道
時折訪れる温度の下がる
....
つるかわ
つり革の下には
振動する幽霊の手が
ぶらぶらしているよと
嫁のもらい手がないよと
節だらけの拳を振る
明治生まれの大伯母に
呼ばれたような気がして
リノリウムの床を
....
睡魔の中で詩を書いている
まだ見ぬ1行を探して
視界は夢の中へと入っていき
詩を書いている
明るい緑色の柑橘系アルコールに酔い
体は蒸気する
暑さの中で目が覚める
ペンを握る
....
基本的に自分の事が嫌いです。
だからそんな自分が福祉の仕事に就いてていいのかとよく思う。
自分の事を汚れきった雑巾みたいに考えている人に
支援も介助もされたくはないよね。
でも人間は、 ....
真夜中には出掛けましょう
「抜け出す」後ろめたさはありません
それを叱る人もいません
昼間グランドを駆け回っていた
少年少女は今頃健全な夢の中
グランドが闇に染まったら入 ....
たとえば勉強すること
勉強が大切なんじゃなくて
勉強することが大切だと思う事
たとえば人を好きになること
好きな事が大切なんじゃなくて
好きになれることが大切だと思う事
たとえば父 ....
小僧だった頃。
テレビに映っていた、
そのチームでは。
肌の黒い人も肌の白い人も、
同じぐらいうまくって、
パスの呼吸も、
ぴったり合っていて、
....
初夏の陽射しは 便りを運ぶ
宛名も消印も
差出人も
見当たらないけれど
懐かしさという
こころもとない手触りに
わたしは ゆっくり目を閉じて
紫陽花のさざなみに
いだかれる
....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。
無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
100と0
それでも足せば100だけど
アタシ一人の 100はシンドイ
ヤメちゃおう
もうヤメちゃったと言ってみる
こんなときだけ 意志が強い
なぜ
肩掛けのカバ ....
ブルーベリージャムの あまずっぱい朝に
「お早う」と言って
庭へ目をやる
すっと口許に手をそえ
ちいさな欠伸
すこし涙がじんわり
(うつむいて)
すっと小さな海をふちどる
縁側でやんわ ....
テーブルの向こうで
カエルがなくのだ
涙もろいカエルがなくのだ
悲しみの理由は
支離滅烈
取り乱したカエルの日本語は
とてもビジネス文書向きではない
だか 悲しみという命題は
....
奇術には、
タネもシカケも、
ある。
だからこそ、
再現できるのだ。
前任者のTは、
こう言った。
「わたしの教則本は、
五百ペー ....
春過ぎて夏{ルビ来=きた}る間の静けさの 次は嵐か快晴か
暖かな笑顔で迎える両親に わが心根は息も絶え絶え
静かなる机に伏してみる夢は 荒れ来る{ルビ未来=さき}の波の間に間に
過ぎ ....
世界のありったけの明かりに負けず
その人の背中越しに三日月が見えた
一瞬で長い腕がそれを遮る
活路を見出さなくてはね
しっとりした声で
それはそろりと湖底を撫でるよう ....
*翔る*
頭上の
ヘリコプターに向けて
大きく両腕を振る
「おーい」って叫んだ
何度も叫んだ
声だけが
翔けていく
*風*
自転車の
ペダルを漕ぐのも
間に合 ....
君から何かもらえるなら
私は何をほしがればいいだろう
モノでも
コトバでも
私はきっと満足できない
キミじゃなきゃ満たせない
だから特権をちょうだい
....
からみついて
はなれ ない
わたし の
あし を
て を
はな して
そら を みつめる
あ な た
きえない ゆめ
す てられ ない
きら ....
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