象が一匹いなくなった。いつも母象に寄り添
っていた子象がいなくなった。祖父の魂を斎
場から河原へと運びに行っているうちに、行
方が知れなくなった。魂の流れに誘われたの
だろうか。母象は何もなか ....
土に帰らぬ朽ち葉を一枚、
あてどなく水面に浮かべた細流の
畔に立った子らに見送られては
水の音も爽やかにせせらぎ
淡くまぼろしのように霞み
遥か幽景の連なる墨絵のごとき山々
それで ....
ローテイトする空気
ツンとした金属
それが君
つい触れてしまいたくなる
そびえる金属の塔
不可思議
早巻きでみる植物のように
私は蔓を伸ばし試みる
君への動脈
ツンとした金属
....
うす青く空にひらいたドアの隙間から
輝く雲が覗いている
今も遠くはなれて君をおもう
見えない手のひらで
君をそっと抱き寄せる
(いつの日もよすがを探している)
(途方に暮れて)
あるいは ....
{引用=上滑りした会話が
水槽の中で泡を吐いた
外は
しみこむような雨
果実を一つ
大きな手が絞ったような
雨
呼吸困難で
死にそうだと
酸素が足りないのだと
嘆く声が聞こえる ....
足手まといなら、そう言ってくれてかまわない
貴方の自虐的なジョークを
笑ってもいいのか分からない
社会勉強を鋭角から睨み付けた1ヶ月前から
次から気をつけます、を連呼している
泥濘を ....
それはネオン街の影
砂に犯された風が吹きつく夜だった
あたしはナイフを握っている
突き立てることも
振りかざすことも出来ず
光る先は柔らかい皮肉
自転車のサドルに砂が積もる
星の粒子がこ ....
いつかは消える。記憶も、言葉も。
記憶は深い霧の中へ。言葉は風に飛ばされて。
手を伸ばしても届かない。
どれだけ走っても追いつけない。
そしていつかは、消えたことも忘れてしまう。
必 ....
あと10日で
あたしの生まれた日が
来る
もう
嬉しくもない年だが
1年に一度
この日は
母に 感謝の電話を入れる日に
している
なぜなら
遠いこの日
あたしは産まれ ....
ここは迷いの森で
進んでいるのか
遠のいているのか
それさえもわからないような
途方もない夜に包まれているんだ
君とつないでいた手なんて
簡単にほどけた。
それでも行くしかないんだろ
両の手に余る ....
おいらが
君の
記憶や
残像の中に
いる
必要性は
もうないようで
寂しくも
虚しくも
悔しくも
あり
君の
声を
聞きたくなる
夜の
心も
悲しくも
....
想像していたより早く目が覚めてしまったから
思い切って起きてみた。
いつもの半分も寝ていないけど
髪型がいつものようにボンバーヘッドしているだけで
それ以外に変わったことなんて。
いえば ....
駅のホームで手を洗う洗う顔も
しがみつくという感覚は燃した
俺は幸福すぎる一人のパパだよ
コンビニの弁当はもういやなの
小さな庭が欲しい朝顔ジョウロ
つるの巻き付く行 ....
重い雨が降っている
重い水が降っている
土くれになるはずの肉塊を
池に沈めれば
浮かんでくるのは
感覚のない 時の澱
「君ばかりが悩む必要はないんだよ」
背負い込んでいるのは ....
あんなに焦がれた貴女との花解き
たったの一度ことなるならば
一度だけが故それがこんなに苦しいならば
なければ良かった
そんなに恋しい訳ではなかったが
たった一度の花解き
男は忘れる ....
厳格な直線と
流麗な曲線で構成された
コンクリートは
お好きですか?
清潔な時間と
快適な空間が約束された
コンクリートは
お好きですか?
過剰な郷愁と
曖昧な体温を排除する
コンクリートは
お ....
あたしは
きょうも あなたの
匂いのする
あたたかいぬるま湯のような
ベッドの中で
ウトウトと眠った
下腹にくらった
鈍いキミのパンチは
じわじわときいてきて
気がそぞろにな ....
青空を
見ていると
心が落ち着いてくる
青空を
見ていると
何故だか
心が和やかになる
生きていく
力がわいてくる
青空は
広くて
大きい
何故だか
空を
....
{引用=
夢の続きは暫時、暫定的、予定調和、そして見知らぬ方向で行われる
我々の染色体は鋭いが
あまり役には立つまい
断続的、緩やかに、そして急速に行われる
それは我々の知りえぬものの望むと ....
知られずに死んでいった
ひとたちのことや
恐れずに失った
ひとたちのこと
果たせずに手放した
ひとたちのことや
踏み出せず諦めた
ひとたちのこと
ひとことに
....
これを愛などと呼ばないで欲しいね
セックスは白痴の時間だよ
会話にもならないこんな行為、誰とでもできる
双方、
己が器官の快楽を追求しているだけだ
ああ、69ね アラビア数字はエロいよね ....
雨の生糸で編んだ夜
街の灯りのビーズ揺れ
傘の上では獣の足音
軽やかに
六月の匂い
たてがみやしっぽに乗って
運ばれる
鈴蘭を揺らす雨粒は
小粒のおいしいドロップス
だどもあの ....
季節風にはためく
夫のシャツを抑え
ベランダで
腰に手を置く
幸せに色があるなら
白かもしれない
ぼんやりと
シミの落ちない白を
眺める
ジョギングする人とすれ違った
ネクタイをゆるめた長身の男の腕をつかみ
バランスをとりながら女が自転車をこいでいた
こんな夜中にこんなところを男女で歩いているとは
ふたりはどれだけ寂しかったのだ ....
忘れてしまった
君の声は
天使の羽根になって
触れたはずの
君の髪は
星空をすうと流れて
あの頃の時間は
ガラスの破片となって
静かに波の音だけが聞こ ....
牛です私決めました出産ですお立ち会いのもと牛です私牛です出産です決めましたお立ち会いのもと出産します牛ました私です決めました私牛を出産します。
産まれました
白と黒の牛は仔牛と呼ば ....
噛み付いた歯の先から、刺激
微笑みの国タイランド
とにかくひどく蒸し暑くて
立っているだけで背中を汗がつたう
ホテルの側で借りた自転車には
鹿児島県の防犯登録証が張り付いていた
....
この悲しみはひとにやさしくなれる
いちど別れた女となんねんかぶりに会った
肌をふれあわせる以外のことを夜通しした
この女は最愛だったが
ふたりで制度のなかにくるまれることはなか ....
楽しい声が歌となる
悲しい声が歌となる。
淋しい言葉が歌となる。
うれしい言葉が歌となる。
歌は言葉を引き連れて
言葉は歌に溶け込んで
人との間を漂って
人との間を翔び ....
哀しみという名の街で
二人 出会ったの
涙雨の降る街角
空も泣いていた午後
さびしがりやの恋人たち
ガラス細工の傘をさして
色褪せた通りを歩いていたの
心の傷跡なぞるように
冷 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596