1
朝九時にニコライ堂を右手に見
下りる坂の街路樹は
銀杏のくせに輝く緑
2
靖国通が
花満開だなんて
だれが信じるものだろうか
でも事実なのだから
3
湿気の多いビル ....
そのとき
歌うのをやめていた
いっせいに
目蓋も
胸に泡立つ
つたない血球も
もう歌うのをやめていた
きみが
心をこめて笑ったとき
....
午前2時、パブ。
カウンター、酔ったマスター、酔った女、酔った男、酔った僕。
僕は誰かのタバコに火を点けて呑んだ。
グラッときた。何杯か呑んだ焼酎より回る。
タバコをやめて1年と1ヶ月 ....
プリズムの
宝石が飛び出したの
のぞいてみて こころ
晴れの日は
青空と雲よりも
退屈そうな蛙と目が合うの
きいてみて こころ
雨に打たれたても
雷鳴と鳥達の慌だたしい羽音よりも
....
祝祭をかたどる歌が
背面にひろがる
真っ黒の水面に
跳ねる
雨を待つ暗がりの眼窩から
月がふたつ
とろり、
こぼれおちて
まぐわう男女の
たかまりゆく濃度に似た
風がとても ....
雨
たくさん降ってじとじとするから
梅雨はイヤだねって
けど雨
たくさん降って
こんな時がいちばん
紫陽花がキレイ
花に見えるのは
ホントは花じゃないんだよって
そんなの ....
悲しむを一緒に感じたなら
それを足場に踏ん張れる。
その上に積む 悲しむの在り様は
枝葉末節まで合わせなくていい。
それでも
土壌になってるはずの気持ちは
一緒に探れる。
探りつつも生ま ....
昨日の今頃は
熱帯魚の水槽の底で
揺れていた
赤色と紫色と肌色の
尾びれをひしゃげて
これ見よがしに泳ぎ去る魚達
置き場所に困った
僕の視線は水泡となって
溶けかけた空が浮 ....
夜の空にかかる大きな河を
私はまだ肉眼で見たことが
ないのです
日常生活の光は
私に空を見ることなど
許してはくれない
私が疲れて眠っている間に
胸の奥から生まれてきた
誰にも ....
タイで生まれたチャンとエン
取り合い喧嘩は5つで終わり
険悪は気づまりでつまらぬし
外は様子が違うので
庇い合う事にした
14になると卵を売った
母さんと化け物遺し親父が死んで
耳目 ....
{画像=110625230338.jpg}
手を伸ばしてまさぐってみる
暖かい柔らかいものがあって
それが心地よいのだ
その中心からは光が
木洩れ日のように洩れて 揺れて
....
{引用=
ベッドの下に散らばった
投げっ放しの言葉たちが輝き始める
午前2時
灰褐色の虹彩の奥の
中心窩に囚われた屈折した光が
ざわめき始める
それが尽きてしまわぬようにと
シーツから ....
あなたの詩に抱かれていたい
僕は乾燥し切ったせんべいです
あなたの詩を抱いていたい
僕は受信感度の悪いラジオです
あなたの言葉の調べで眠りに就きたい
僕は炭酸の抜けたコーラ
....
エプロンの隙間から落ちた
桃の まだ小さな実
天気の良いうちに選った
たくさんの粒のうちの
枝から 切り離したひとつ
玄関にあがりこむと
ころころん コンクリートに転がった
桃の ....
大事なものになると
わかっていればもっと
大切にしたのに
なくなってしまうまで
気づかない
みんなそうなの?
当たり前だとおもってしまった
呼吸さえも
だれの了承もえないでいい ....
夕飯時の支度が始まる。
古新聞が敷かれる中で
温めた油に
手羽先を入れて揚げる。
バチバチいって油がはねるから
体を後ろに引き
顔だけを出して覗き込んだ。
きつね色になって揚がった手羽 ....
慣れること
あさ
お昼ご飯の準備をして
洗濯物を外に干して
夕ごはんの下準備もして
少しのんびりして
いちにのさん
車に乗り込む
安全運転して25分
そこから
教えてもらいながら働 ....
会いたいなぁ、
空で繋がってる。なんて
くさい言葉思い出して
ふと見上げてみたら
湿った夏の匂いがした。
そっか、もうすぐ
君と夏が来るんだね
ア
ワ
ブ
ク
ぷわりぽわり
ワキンの溜め息
見た目はすくいたがりの彼氏
見た目はすくわれぶりっこの彼女
ついでにすくわれた私
本 ....
河原の
やさしい石
触ったら
さらさら
河原の
ちいさい石
拾ったら
すべすべ
河原の
しろい石
包んだら
すやすや
河原の
まんまるい石
ぶつけたら
からわ ....
標高二六〇〇のティエンブー
幸せの街、幸せの国
グロスナショナルハッピネス
GNHが世界一
何が幸せの基準なのか
GDPは156番目
民主主義には程遠い
民族衣装の着用義務
何をす ....
雨の日は おうち遊び
メールを待ちわびて
ひとり遊び
鍋に牛乳を注ぎ
砂糖を適当に入れて
冷えた状態で
とりあえず木ヘラでかき混ぜる。
鍋底はザラザラし
固体の砂糖をすり潰してるようで
なんか悪い気がしてくる。
ザラザラ感が薄まって ....
頭のどこか奥のほうで
水が、
ごう、
と音をたてた
やさしく響く音楽のほとんどが
ほんとうは悲鳴に由来していることを
習いに学校へ行く
聴いているふりをしたり
聴いていないふりをし ....
私は名付けられます
飼い主が逃げるたびに
何度も何度も 私の名前が変わります
今年も名前が違います
飼い主に左右されながら
今日を生きています
今日も此処に足を運んでくれて
フラ ....
ことと
置いた所から
緑の深い村の
ひび割れた
土瀝青が広がる
夏のまひるは
黒く歪んで
両の手におさめ
土の道を
寂しくあるく
芒の夕闇
底溜まりに見て
目を細くした ....
通勤
自転車こいでせかせかと
毎朝の四十分
先日
夏の風がロングヘアーをするりと撫でました
最近
どこかで草刈りしてるにおいがします
庭師さんが長い三脚を担いでいます
どうしても
ゴ ....
いま
鏡に なにか映った
鏡に 誰か映ったよね
部屋には誰もいない
僕以外は誰もいない
なんだろう なにか
なんだろう 誰かがいる
いま
鏡に なにか映っ ....
{画像=110618182721.jpg}
ふと目を覚ますと聞えて来た
あれは風の音!?
水を跳ね飛ばし走りまわる車の音
でも遠くうねっている潮のような音だ
風にもまれる木々の音に交じっ ....
私の
脳天
ゴー
という音が
響くのです
全て
貫く
ゴー
という音が
響くのです
明日に恐怖し
昨日に焦がれ
私の
脳天
ゴー
という音 ....
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