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君のことを描くたびに
ひとつずつ言葉を失っていった
すっかり軽くなった水彩箱には
たったひとつの「ありがとう」が
隅にこびりついて震えている

―――ありがとう。

それだけで ....
ビルは氷柱(つらら)のようであって
交差点に、滴る微笑の鋭角が
夜はひときわ映える

空は無限の海にはあらず
月のマンホールに、僕らは吐き捨てる
ばらけた感情語

それを生 ....
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ



机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
静脈を流れていった
幾度かの夏がありまして
網膜に棲みついた
((ただそれだけの))海があります

無人の駅舎―――ああ、思い返せば
入り口でした この仕掛け絵本の


 ....
あの、ね

  君の語りの中にはいつも海があって
  壊れた砂時計が海岸線を塗りつぶしている
  波はいつの間にか言葉になって
  こだまする、喉の奥

赤いうさぎを抱いた少 ....
あなたはいま、幸せですか?

君の単純な問いかけに
イエスともノーとも言えなかった僕は
不断桜の幹に身体をあずけ
枝先の小さな葉を気にしていた

こいつも光合成してるんだなあ
陽ざ ....
探していた
おだやかな光を
逢いたかった
カンヴァスを破って

手を、そっと
輪郭のない夜だから
影もなくて
震えを数えていないと
ここがサヨナラになる気がした

風の硝子越しに ....
悲しまないでください
たとえ私がひととき
希望を見失ったとしても
それは今年初めて触れた雪が
てのひらで消えるまで
きっとそれほどのときですから


私の瞳に映せる空は
決し ....
ただいま調整中 プール前の花壇に
コスモスを見つけて喜んでいた そのくせ
君は、緑色のため池に沈んだ季節を
あまりに切なげに指す
わかってる 
君も、僕と同じ色が好きなんだろう
空のいろ、でもなく ....
切符を握った手が濡れてきたから
てのひらを上に向けて解放してやった
そうしたら切符は川になって
行き先はすっかり見えなくなっていた

川は
僕だけが感じる速度で流れ
薬指、から滝 ....
   かそけき風の香音(かのん)を連れて
   秋宵の橋を渡る
   あふれる水の数を
   わたしはしらない


   契る言葉の薄紙
   序(ついで)を忘れた指先で鶴を折る ....
闇、叫び、月、銀、狼、爪の痕ほとばしる血は昴の花弁


月を噛むアカイ目眩に舞いくるう鴉揚羽の鳴り止まぬ翅音(はね)


雷(イカヅチ)の刺さる。蒼きは明星の息遣い。眠れぬ ....
月の瞳に
海が映るのか
海の鏡に
月が潤むのか

旅立ちはいつだって
こんな夜の、ブルー

マストを背にした
ひとつひとつの心に
青はなにを
語りかけるのだろう



 ....
  「コンクリート・リゾート」


最後に僕がここに立った日
それはきっと、セピアンブルーの日
変わったものといえば
角のコンビニエンスストアの名前くらいで
もしかしたら ....
眠れない朝にあなたを思う


夜を通り抜けて
窓越しに出逢うあさやけは
そこはかとなくかなしい


あなたを抱きしめるだけの日々に
空で時を知ろうとしなかったから
この ....
「さざなぐ海へ」

Runaku Masaki* Zakuroishi* Fujko*Rin Kazanagi


蒼低く岸辺に寄せる夜想曲(ノクターン)傷みをけして、染める ....
標識は海それだけを手がかりにギアはトップで{ルビ夏風疾走=サマーラナウェイ}

かざなぎでアクアスカイに叫ぶとき見えていたんだ白きクラック

無人駅いつから来ない夢列車ココナツの浜 ....
アイタイキモチを結句に
歌えるようになったとき
恋が始まるのだと誰が言ったのだろう
2002年5月8日


あなたは今、幸せですか
リフレインしてやまない君の問いかけに
若 ....
楽しいときほど
思い出してしまうのは
あなたと過ごした夏が、きっと
あまりにも輝きすぎていたから
あいたい、と
そんなき持ちに自分の笑い声で気がついた
だって二年前、あ ....
汚れた雨が蹂躙する街角で
傷をかばいあうために手を繋ぐ
傘を持たない日だけ、どうしようもなく
君の手があたたかくて
切れた指先が痛みを増した

僕の手は
どんな温度で君に ....
あやめ草あやに恋しき君なれば
  夢も染むらむ花むらさきは



名にし負はば紫野辺の夕やみや
  見せようつつに千代の面影



ときじくの花にはあらで露の花
  ただ ....
短冊の白まぶしくて愛の字を書けないままに無地で結んだ


黄色がいい君が選んだ一枚は願いじゃなくて歌をつづろう


霧雨に耐える紙縒(こより)が話さない青の祈りは「海にあいたい」
 ....
また会えるからサヨナラと言った
雪の残る街
いつものように見送った僕を
覚えていますか

赤いコートの裾が揺れ
乾いた風に凛と鳴る
あしたもきっと青空だね
ふたり信じていた
 ....
君は咲くシャインシャワーを跳ね返しこの瞳(め)に映る空を抜き取る


トリップは三秒前にも戻れないホワイトアウトに踏み外す足


陽炎のウラ見え隠れする噴水は見慣れたはずの街の ....
「一番星はどこに」


風薫る陽だまりの中少女跳ね触れようとする新しい夏

どこへでも吹くなら吹けと夏風に弾む心と手に入れた恋

この海はいつかあなたと出逢う海一番 ....
  宇治橋

夕霧にかすみつ渡る面影に
露けき花の色が重なる―――

  観月橋

しめやかに
欠け満たされぬ夕月の
心を以ってなぞる君の名

   ....
{ルビ静寂=しじま}からもの憂き雨が貫けど
  破れる夢もない熱帯夜



曼珠沙華かさなる闇に{ルビ咲乱=さくらん}す
  狂おしいまま抱く情に似て



熱き夜に悶える ....
  一 「ミッシング・ピース」

手渡されたたった一枚の
欠けた切符のように
行き先でもなく
日付でもなく
空白のはずなのに
それ以上に大切なものを
どこかに忘れたまま
 ....
  「アリュール」

{ルビ汚=けが}れならば五月雨川に流せりと誘ふその手は{ルビ梔子=くちなし}に似て


  「ブラック」

黒髪に触れし指先奏づるは重なる肌のあつき旋律
 ....
恋月 ぴのさんのRin Kさんおすすめリスト(74)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
セルリアン- Rin K自由詩2708-12-10
さかさまの都会- Rin K自由詩3608-9-28
環情線- Rin K自由詩37*08-7-20
仕掛絵本- Rin K自由詩33*08-6-27
あの、ね- Rin K自由詩38*08-4-26
leaf-Rain- Rin K自由詩24*08-3-30
雪彩画- Rin K自由詩30*08-1-24
「二度目の雪」- Rin K自由詩26*08-1-4
CA・STAR〜ヴァニラ・スノー〜- Rin K自由詩23*07-11-8
クオリア- Rin K自由詩29*07-10-3
夕立の語源- Rin K自由詩29*07-9-17
せせらぎ- Rin K自由詩24*07-9-11
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「フロンティア・ブルー」- Rin K自由詩29*07-9-1
スクイグル交錯点(こうさてん)*コンクリートリゾート- Rin K自由詩40*07-8-17
眠れない朝に_- Rin K自由詩39*07-8-5
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伝えるすべなんてないから- Rin K自由詩33*07-7-20
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ごしきの短冊- Rin K短歌31*07-7-8
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パッセンジャーズ- Rin K自由詩43*07-6-15
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