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薄暗き桃色の港は
始まりやらぬ無知なる港
今日に微笑む幼女のように
朝に涼しい風を聴く
天より柔らかく声が溢れ
テラスにて
紅茶の葉擦れに触覚する
なによりも繊細に
なによりもおとなし ....
先ほどから気づいているあの水の滴りは
何処から流れてくるのか
しんとした部屋にただ流れ続ける
Cの音の繰り返し
水道管のなかを流れる
貧相なうつくしい靴音
小川か、ドブか
裏町の溝か、
....
いくら分析しても分裂する
卓の花は5つの花びらから成る
新宿のビルは2千個の灯りをともして
マンハッタンに古い影を投げかける
いつまで数を数えても
人間がぐんぐん追い抜いてゆく
哀 ....
消灯した部屋の
シャンデリアの
何と死に絶えた欲望か
多湿な天井から
何度でも繰り返す声
A A A
その質量が天井を弛ませて
僕の耳元へ信号する
A A A
箱型の鼠色の機械の
艶やかな肌が
僕の超音波の恋愛とおなじだ
何度でも言 ....
ずっとずっとずっとずっと
雨を眺めている
空は骰子のように
晴れたり曇ったりするので
今日は詩聖が天の箱を揺さぶって
数えきれぬペン先を地上に刺したのだ
天空には
恐るべき数の鋭利なる矢 ....
少女の細い細い手首の糸
静脈の清流を
机の上に広がった乾燥しかかった薬品が流れる
かえるさきは循環する心臓の末端
そこはフランスとスイスの国境で
ちょうどこの鐡道の糸の終着点
窓辺には革表 ....
爆発するそら
踊る松の木
発作に狂った白い雲
透徹する骨
閃光
あけっぴろげな死体
いろいろあって
はてをみて
まばたく ゆめに
なみだして
しらぬ せかいで
すってみて
うその かがみに
よってみて
とかいの とりを
おってみて
すっかりあきも
ふかまって
....
累々と積み上げられた本の中から
のぞく黒い眼 踊りだし
蟲のように 這いまわる
文字を追うゆび
むしゃむしゃと 妖しく
漢字を アルファベトを
食べまわり
くしゃみをする
すると、
....