すべてのおすすめ
窓にかげろうがいた。

触覚を揺らして男を見ていた。

余命が短い男は振動に揺れながら

弱った細胞が虫に同情して泣けと責めた。

あの、かげろうも泣くだろうか、

親が泣くだろう ....
その汚いものに触れたときに

少女は腕に黒い水玉が無数に散らばったのを想像した。

破裂した水道管に横たわる猫。

輪切りにした水羊羹に指が詰まっていた。

症状は進行し、先端から落ち ....
北方の風で洗面台の雌蜘蛛が咳をして死んだ頃、

南方で濡れた子を抱いて女は震えていた。

ただ、たどりついた波が水平線の先に

戻る子の影を見つめてた。

雨が止む頃、

親と同じ ....
一年後に老衰する夫婦が踊る夜の公園。電灯の下。

寝る間に溶けた蝋は熱く、髪を焦がした。

壁に貼られたいかがわしい広告。消えた電話番号。

指先の振動は鍵盤を甘く動かし、ぼやけた声は耳の ....
駅舎。

指名手配犯の絵図を三人の子供が見ていた。

koroshitaruと冷たい手で顔を覆い笑う。

指差して後ろの老婆は体を斜めに涙を流していた。

影がかかったコンクリート。雨 ....
川はそのまま塊を引きずるように流れ、

糸は母と子を零度の息に落とし。

(しばし沈黙のあと)

椅子の脚を引きずる音が鼓膜を満たす。

それは悲鳴に似、烏は屑の中で生まれ、

糸 ....
それはまぎれもなく、悪夢であった。

置時計は3時を指していた。

接吻で女は孕んだ。接吻の相手は鏡に映った自
分自身だというのに。

本棚の中で一番高価な辞書で「妊娠」を調べる。

 ....
耳につけた装飾品の数だけ

傷ついた私がいて、血を見

慣れた過去が過ぎ去れば、

強くなるだろうと信じてい

ました。装飾品が私に代わ

って私を語ろうとし始めた

とき、私 ....
衰弱する息をひたと止めて

女は唇を背に置いた。

通夜

息をするように嘘をついた日

やわらかな地獄に落ちていた。


《劣の足掻きより:http://mi-ni-ma-li ....
隣家の騒がしい犬も眠る夜、どこぞと知らぬ方から赤子の甲高い
鳴き声が聞こえて、消灯した部屋で体を固めながら耳を塞いだ。
模範のような鳴き声になぜか、祝福されない子のように孤独を打
ち消したいがた ....
ただのみきやさんの宇野康平さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「バスにて」- 宇野康平自由詩214-9-6
「あの、気持ち悪さ」- 宇野康平自由詩314-9-1
「堕る子」- 宇野康平自由詩114-8-27
「しまらない」- 宇野康平自由詩214-4-24
「影がかかったコンクリート」- 宇野康平自由詩214-4-8
「肉体から出でて、呼吸の跡」- 宇野康平自由詩214-1-18
「時として、中絶のように」- 宇野康平自由詩214-1-7
「透明な女」- 宇野康平自由詩113-12-14
「通夜」- 宇野康平自由詩213-12-12
「披露土」- 宇野康平自由詩413-11-7

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する