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風がくるくると回る
枯れ葉が子犬を誘っている
ぴょんぴょん、と
切り揃えられた紫陽花の前を
子犬と幼子が走り回る
息が白い
頬が赤い

春は青く
夏は紫に
この子らを見守った紫陽花 ....
「くもがねてるから、しーっ」

沈んだ空は暗くて
何にもないけど
何でもある
小声でお話をしよう
キャベツくん
いもむしれっしゃ
おたすけこびと
そんなものを抱いて

「あめがふ ....
拾った缶詰に
「宇宙」とラベルが貼られてて
持って帰って
缶切りでキコキコ開けた

空っぽだった

別にがっかりはしなかった
きっと誰かが
いつかの宇宙を
閉じ込めておきたかっただ ....
大根の葉についた青虫を
箸でつまんで地面に捨て
それを踏み潰す
青虫を見つけては
箸でつまんで地面に捨て
それを踏み潰す
そして小さな畑を一周する

朝の仕事を終え
しばし畑を見つめ ....
ある時は弟になりました
川に流された弟の
お姉ちゃんとお父さんを励ましました
お母さんはいなかったので
お父さんは一人で子どもたちを育てました
お姉ちゃんはお嫁さんになって
 ....
なんにもないから
そらはくもをあつめた
じぶんを青くぬった
そしたらみあげる人がいた
そらは青いって
詩をかく人がいた
そらはいった
おいでよ、おいで
でも、その詩 ....
田に水を張ると
一面が鏡になる

田植え前の一瞬
薄い空を映して

今年はどんな年かと
思案している

今年はどんな稲にしようかと
話し合っている

近くの葉桜が
 ....
きみの定位置
母さんのあぐらの上
(名付けて母さん座椅子)
父ちゃんが帰ってくれば
父ちゃんの腹の上
(名付けて父ちゃんベッド)
ばあちゃんちに行けば
ばあちゃんの後ろ
(名付けてばあ ....
子供の前で大人のふりをした

洗濯物の前で大人のふりをした

鏡の前で大人のふりをした

悲しみの前で大人のふりをした

ママ友の前で大人のふりをした

雪の前で大人のふりをした
 ....
新しい家が建つ
白い壁の真新しい
まだ誰のにおいも
染み付いていない
新しい家が建つ

そこに小鳥が住むとして
わたしは祝いに何を贈るだろう

わたしは熱い熱い珈琲を飲む
冷えた体 ....
本を破り捨てたことなんて初めてだった
そんな自分に驚いた
それほどまでにわたしは疲れていたのだ
それほどまでにわたしは一生懸命だったのだ

一歳四ヶ月の息子はまだ歩かない
育児本なんてクソ ....
夜中に
なき声が聞こえた気がして
目が覚めた

流れ星がいま落ちた

祈りの声が
夏の夜の
そこかしこから
聞こえた気がした
寝息を立てる
わが子に思う
一生、そのまま
かわいい赤ちゃんのまま
わたしのそばを離れず
わたしを一番ひつようとし
憎まれ口もたたかず
ただ、ひたすらに
一生懸命たべ
一生懸命あそび ....
涙を練って
甘くしたみたいに
空から温かい匂いがする

涙を流せない
木が
風に触れて話す

ぴよぴよと
黄色い花が
鳴いている

どこかに涙を隠している
だから、こんなにも ....
梅雨でわたしは列車に乗った
外はすごい雨で
だけどわたしは
傘を差さずに駅まで来た
わたしの顔から
涙が綺麗に消されていた

夏で蝉が乗ってきた
六年間ずっとホームで
この列車に乗れ ....
子育ては子どもの頃の復習だ

幼い我が子に
昔の自分を重ねる

ああだったこうだった
言いながら
あの頃見えなかったものが
少しずつ見えてくる

あの頃見えていたものが
少しずつ ....
書こうとしたことを忘れてしまって
空をノックした
誰も出てきてはくれなかった

書こうとしたことを忘れてしまって
目を擦った
視界がさらにぼやけて
手からしょっぱい匂いがした

書こ ....
おしゃべりな君の愛してるは
雲みたいに飛んでいってしまうから
掴めない
だから
君がいくら愛してると言っても
雨のように触れられない
遠い雲を掴むみたいに
虚しい

言葉にするより手 ....
朝日の足跡はみんなのあくび

夕日の足跡はみんなのただいま


とことことこ


雪の足跡は清水

花の足跡は蜜

夏の足跡は実り

北風の足跡は落ち葉


ぱたぱた ....
水を掬いましょう
ただひとつの命も救えないのなら
水を掬いましょう
掬って
飲みましょう
ただひとつの命も救えないのなら
せめて
この命だけは救いましょう
なにくそと
 ....
今年のさくらは覚えていません
きみを想い
あふれる涙を隠すため
うつむいていたから

きみと出会った春でした
あまりにも嬉しくて
あまりにも情けなくて

母さんの力は
この両手だけ ....
悲しさと寂しさは
似ているようで違う
悲しさには少し
怒りの気配があり
寂しさには少し
温もりの気配がある

楽しさと嬉しさは
似ているようで違う
楽しさには少し
短さを感じ
嬉 ....
きみは
ひとばんのうちにおとなになって
かあさんは
ひらがなしかよめなくなった
もうひとばんたてば
かあさんは
きみにおんぶされる

かあさんはなくよ
かなしくて
なさけなくて
 ....
離乳食

自立の一歩

母さんのおっぱいは

少し寂しくなります

いつまでも

吸血鬼で

可愛い可愛い鬼で

いて欲しいのは

母さんのわがままです

きみは
 ....
猿山の
一番見えやすい位置に
子猿を抱えた
母猿が座っていて
まるで「うちの子可愛いでしょ?」
と言っているみたいで
親ばかは
人間だけじゃないのかもしれないと
わらった


私 ....
湖は空を映している

それは私と息子の関係に似ている

澄み切った青色の空を
湖はより澄み切った夏色で

そういう風に生きて欲しくば
そういう風に生きていこう

叶うかどうかは ....
サラダの水は純粋だ
野菜の涙かもしれない

湧き出たばかりの水は
すべてが純粋に見える

この心は
どこからきているのだろう
今日という船が
昨日という川を流れていく

川の水源には産声があり
川の果てには海がある

だから海は
あんなにも大きくて
少し悲しい

わたしのオールは細すぎて
川の流れは遅す ....
ただのみきやさんの小原あきさんおすすめリスト(28)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
枯葉紫陽花冬乃白瀬- 小原あき自由詩4*16-10-31
ゆうちゃんのみみうち(雨が降る夜)- 小原あき自由詩516-4-15
宇宙の缶詰- 小原あき自由詩6*16-1-26
呟き- 小原あき自由詩815-10-2
黒い犬の話- 小原あき自由詩16*15-8-29
そらは青い- 小原あき自由詩12*14-4-26
春の田んぼ- 小原あき自由詩5*14-4-23
ていいち- 小原あき自由詩9*14-1-24
まく- 小原あき自由詩17*14-1-20
新しい家が建つ- 小原あき自由詩8*13-12-4
育児本- 小原あき自由詩12*13-7-22
流れ星がいま落ちた- 小原あき自由詩8*13-7-5
絶対に大人にならないこと!- 小原あき自由詩16*13-7-2
はるがきた- 小原あき自由詩9*13-4-29
各駅停車で、春に向かう- 小原あき自由詩6+*13-2-9
子育て- 小原あき自由詩9*13-2-2
書こうとしたことを忘れてしまって- 小原あき自由詩21*13-1-13
I_love_you- 小原あき自由詩6*13-1-5
足跡- 小原あき自由詩11*12-12-27
すくう- 小原あき自由詩17*12-12-23
うつむいて- 小原あき自由詩6+*12-11-27
似ているようで- 小原あき自由詩11*12-11-15
かあさんのこども- 小原あき自由詩5*12-11-1
離乳食- 小原あき自由詩12*12-10-11
親ばか- 小原あき自由詩9*12-10-9
夏色の湖- 小原あき自由詩10*12-7-24
サラダ- 小原あき自由詩9*12-1-12
- 小原あき自由詩10*12-1-12

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