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冬の弾き方を、だれか教えてほしい。

夏の奏で方を、だれか教えてほしい。

青空にたなびく白い五線譜は

燃え盛る黒い夜を呼ぶ

重爆撃機が描く交響曲

ぐずつく雲のはこぶ雨の匂い ....
神無月に肉を脱ぎ捨て 祖母が逝った。

思えばもっと前から祖母は半分海を渡っていたようだった

精神ここにあらずといったふうで

ときどき正気のあるときは「死にたい」とこぼしていた

 ....
踏み荒らし


老いた敗残兵の話を聞いてくれ

君よ

剣の川を泳いで渡れるか

しょせん一発の弾丸

マグネシウムのように命を燃やし

かっ と光っては消える若さよ

 ....
あたしは秒針がきらいだ。
一秒ごとに死にちかづいてく
いやみったらしく音たてて
わけ知り顔でまわってる
文字盤に数字がこびりつき
焦げついたころに、アラームが鳴る。

からだは暗やみから ....
すっかり冷たくなった手に息をふきかける

霜の降りた道路をあるいてゆく

昼間だというのにとても日は低くて

息は白く 凪いだ空へとたち昇る

凍て空を見上げてみる

ひこうき雲を ....
さやさやと雨、ふっている

地のにおい、そわそわと匂う

ふるごとに、秋、ふかまって

曼珠沙華のあとに金木犀

ああ、こんなにもすてきな季節

甘やかな死にさそう

かれおち ....
今にも泣き崩れそうな
この空の下で
砂を噛め
針を回せ
鼓動を刻め
気を吐いて進め
胸を張って
風を切って
少女よ
忘れられた旗をうち振って
心だけは自由に生きてゆけ
ある日、{ルビ自我=イド}の底に溜まった汚泥を掻きだしていた。

その泥を天日に干して固めたレンガをぶつけあう祭りがあると聞いた。

延々と風景のガンマ値が上がり続けて

まっ白になってな ....
順調に死にむかって船出する男たちが

道端の赤い花に最敬礼

彼らを見送るのは

むくんだ顔をまっ白く塗って

泣きながら笑っている道化

まっ白い顔に黒い星と涙の模様をえがいて
 ....
眉一つ動かさず殺す女神が飼っていた

眇の金魚がいる。

水銀めいて光を反射する鉢を住処に

血の河を泳ぎまわる金魚を飼っている

銀の炎ちらつかす死神めいた女

まっ黒い眼をした ....
人の世のかくも美しき

もつれ魂の上にも

雨ぞやさしく降りしきる

茨冠戴く盲のダンス

もし蛇が海ゆかば

鳴る鳴る山野の幾千里

万里の波濤をこえて南風が吹くとき

 ....
小さな小さな茨の冠を、そっと頭上に載せてあげる

わたしの小さな王女さま。

剣も盾も兵隊もいないけれど、

黒く切り取られた空が

のっぺりと広間をみたしている


{ルビ万軍 ....
薄れかけた痛みがまたリフレーンする

足を引き摺るように

黄金色にぼんやり照らされた坂を駆け上がっていく

瞳孔に白金のかけらをちりばめた少女が、

繭を、

採りにゆく。

 ....
おお、彼は心臓売り

飯屋の上のらしんばんを見よ!

可燃性の心が散り散りになって、

またきりきり舞いして墜ちてゆく

風防の横にはまだひとつも雀の絵が描かれていない。


る ....
夢のきざはしから空に向かって自由落下してゆく赤い魂

魚の子は寝相が悪い

鱗が見せる遊色効果で

虹がちらつく

昇っているのか  降っているのか

それすらわからずに

霧 ....
今宵も天蓋が咲く

高く鳴り響く単調な笛の音

星のまにまに墨は流れる

赤青黄色の死せる光が降りそそぐ

壺中にすら天がある

狭い空といえども

しかし

決して手が届 ....
名を持たない者たちに{ルビ識別コード=なまえ}を与えよ

壜のなかはくすぶった魂でいっぱいだ

すし詰めといってもいい。

あたかも{ルビ薬室=チャンバー}のように

圧力が上がってい ....
ちゃんと蓋をして

死が漏れてしまうから

雲を払わないで

詩が見えてしまうから

時間をしまった箱は青い。
干からびた海に浮かべた船でわたしは舵輪を取る

祈りの形に凍りついた手

そんな人々を見送りながら

抜錨

伝声管から

機関よろし

声がかかる

土煙を上げる

 ....
すべてが終わる

すべてが始まる

いま ここで

青い雨が降る

天使よ、どうか羽を濡らさないで

止まり木なら用意してあるから

ポプラの木の下で ありとあらゆる銀星の下で ....
{ルビ小説家=うそつき}に許された、最後の{ルビ矛=ぶき}。

ペン先からにじめ、樂園。

{ルビご武運を=グッドラック}。

{ルビ矢=ことば}は、放たれた。
{ルビ白虹=はっこう}日を貫く木曜日
燕が低く飛んだ。
古井戸のような女、ひとり
蒸し暑い道路を歩いていった。
宛名のない黒服を着て
ごく原始的な略奪にあっている

私たちの身体から今も  今も

奪われていくのは  熱

とても単純な  それでいて残酷な

侵略者の名は  寒さ

巷にあふれる簒奪者におびえ
 ....
珊瑚の海へ網を{ルビ擲=なげう}つ
珊瑚は言葉。海は人。
魚は?魚はこころ
どんなに網をなげても魚はつかまらない。
海は青く、空を反射して波打つ……
草茂る屋敷にて

双子の少女暮らして

甘い囁きをかわして

陽だまりに小鳥は囀り

鏡の前であたたかな食事をとって

いつまでも幸せな四人だったという。

この世に人は絶えて ....
ただのみきやさんの高原漣さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
四季を悟るにはどうしたら?- 高原漣自由詩1*19-8-21
渡つ海- 高原漣自由詩3*16-12-17
踏み荒らし- 高原漣自由詩3*15-12-17
含み針- 高原漣自由詩2*15-1-8
銀麗- 高原漣自由詩1*14-12-19
霜・秋・変- 高原漣自由詩4*13-10-4
放し飼いにされた死- 高原漣自由詩1*13-4-6
つるべ落とし、のような- 高原漣自由詩3*13-1-22
希望をうたう道化- 高原漣自由詩4*12-12-9
眇の金魚- 高原漣自由詩1*12-12-2
ある書簡- 高原漣自由詩2*12-10-20
誰もいない戴冠式- 高原漣自由詩1*12-9-21
空の繭- 高原漣自由詩1*12-9-13
一勝十八敗の飛行機乗り- 高原漣自由詩1*12-8-31
くりかえし何度も何度も- 高原漣自由詩2*12-8-25
空といえども- 高原漣自由詩1*12-8-20
魂への修辞- 高原漣自由詩2*12-8-3
ブルー・ボックス- 高原漣自由詩4*12-5-10
カレタスフィア- 高原漣自由詩4*12-5-9
トーポリ・M- 高原漣自由詩3*12-4-21
机上の楽園- 高原漣自由詩2*12-3-20
予兆- 高原漣自由詩3*12-3-17
体温の簒奪者- 高原漣自由詩1*12-3-13
投網- 高原漣自由詩2*12-3-6
四人家族- 高原漣自由詩2*12-3-3

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