その青銅
北井戸 あや子

風ががなりたてて
俺の顔に針をばら撒いて逃げていく
夜の奥底で
妊婦の腹の中を撫で回して
気狂いが舌を垂らす
側溝を鉛と血が混ざっては
冷たく流れていく
俺はそこに花を落とす
煙草で焼いた白い花
苔むしの地蔵に供えられた
項垂れる、白い花を


自由詩 その青銅 Copyright 北井戸 あや子 2014-12-17 16:16:13
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