明日の花
藤鈴呼



久し振り
雨粒 一つ 一つが
ゆっくりと 煌めいて
わたくしに
挨拶をして くれているかの ような

錯覚
それでも
嬉しくて

幾つもの 笑顔が
惑いながら
揺れた 午後

頭を垂れた 花びらが
楚々とした 表情で
縮こまる

雨に打たれた パーマネントが
焼きそば模様に 染まるよう

縮こまったのは
昔 大きかった筈の
心か 夢か

大手を振って歩いた 大通りが
こんなにも 小さく
惨めで

シャッター街に 愕然として
立ち止まった 瞬間をも
思い出す

ハンドルを 握るのは 誰?

曲水の隙間に浮かべた
蓮の葉に
雨粒が 絡み付く

今日 一日の 夢模様
明日には 消えて しまうから
そう 名づけよう

そう 唱えよう

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自由詩 明日の花 Copyright 藤鈴呼 2015-10-02 21:10:46
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