明日の花
藤鈴呼
久し振り
雨粒 一つ 一つが
ゆっくりと 煌めいて
わたくしに
挨拶をして くれているかの ような
錯覚
それでも
嬉しくて
幾つもの 笑顔が
惑いながら
揺れた 午後
頭を垂れた 花びらが
楚々とした 表情で
縮こまる
雨に打たれた パーマネントが
焼きそば模様に 染まるよう
縮こまったのは
昔 大きかった筈の
心か 夢か
大手を振って歩いた 大通りが
こんなにも 小さく
惨めで
シャッター街に 愕然として
立ち止まった 瞬間をも
思い出す
ハンドルを 握るのは 誰?
曲水の隙間に浮かべた
蓮の葉に
雨粒が 絡み付く
今日 一日の 夢模様
明日には 消えて しまうから
そう 名づけよう
そう 唱えよう
★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°