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いのちを挽いている
音がする
林檎を剥いたら
もういちど飛べるかもしれない

鳥は
鳥という記号に
耐えているわけではない
人は
人という記号に
耐え続け
そのため
もうながい ....
雨のあいまに
雪は三度、降る

微熱をはらむ毛布を払い
寝巻きのまま
もう一度目覚めたら
絶望に一歩近づくということ。

(雨にうたれる準備ならできている)

魚の欠片を口に運ぶ
 ....
熱に浮かされて
ひとりで居る間
私たちの上空を
留めていた骨が

  溶けだし
  また骨に
  戻るまでの
  湿度を保つ

鳴りだす私を/連れ戻す
架空のお前の声が聞えて
 ....
贋作の夜を、ハンマーで叩
いて割った
     砕け散った夜の
欠片の中に
いつ貯めたのか思い出せな
     い古めかしい十
円玉が数、枚
それを取ろうとして指を刺
した     見 ....
ガラスの表面を
汗とも涙ともつかない水が伝う

過去を鋤きかえし
クチナシを活ける

日々寄せては返す悔恨は
わたしが築いた防波堤を
かるがる越えてみせる
((( それさえも憎めない ....
隣人は透明な猫として現れる

薄明の線路の上を
囁きながら 死者を乗せて
一本の列車が発車する

台風がそこまで迫っていても
わたしたちの窓は 安全だ
有刺鉄線に蔽われた東京の空を
 ....
わたしの骨が
気づかぬうちに
新しいカルシウムに変わるように
少しずつ平和はゆがんでいき
ついに/衝突する

わたしの眼球が
くだけちって
歩行困難になり
手脚ふるえて
滲んでいく ....
私に類似した何かが増殖する
濡れそぼつ
海からあがり
意味もないのに
安ベッドの上で
獣の皮を剥いだ

砂の夢
あぶなくて
息をした
昨日の新聞を
やぶり捨て
もっとたくさ ....
毛布のなかで
太陽が 頭をのぞかせた
わたしはまだ死んでいるから
もう一度 生まれなければいけない

脇腹から肩胛骨をとりだし
きみの白い項に移植する
行き場を失った うるんだ指 ....
シンクの窓から
光が生まれている
質量はないが
手触りは淫靡だ

わたしたちは渇きやすいから
眠りの岸辺に
傷だらけの素肌をさらす
思い出せない言葉に囲まれ
猫の亡霊を見た──まひ ....
記憶の焼土に
茫漠とひろがっている
透明を佇む石が
ひととき凪いでいる

点滅にさそわれて
浜まで来ると
むせ返るほどの潮の匂いが
過去を引き連れて
私を攫った

夏が焼けつく部 ....
ラベンダー色の海に身をひたし
悲しみを咀嚼した
ガラスの隙間から
誰かのページをめくる音がきこえる

屈折して
青い血が飛び散る
卵の殻のなかではぐくまれた
そうしていつか 荒涼たる浜 ....
きみへの愛は痙攣的な近親相姦、あるいはバスの中で音読する官能小説/ジンジャーエール片手に危なげに海の背中を泳ぎきり、思いっきりジャンプする、遠くの方へ、できるかぎりの軽快さで/各駅停車の青空/二度と聴 .... どれだけの距離を従え
測ることのできない冥さが
草葉の影を濡らし
遠くで誰かのために海が鳴る
遠ざかり そのため多く夢見た
わたしたちは 健やかだった

打たれたかもしれない雨について書 ....
東京にもう雨は降らないらしい

眠らずとも
目覚めなくともよくなるまで
幾世紀を費やし
浪費するのは何も砂ばかりではない

やさしい飲みもの
歴史をごみ箱にいくら捨てても
まるで甲斐 ....
息を止めるのも
生き方のひとつと気づいて
息を止めたまま
水に飛び込んだ

晴れていても
目に見えない透明な雨が降っている
名前も知らない人とのあいだにも
透明な出会いと透明な別れが
 ....
すれ違うためのいくつもの道が用意されている
君がどの道をたどるのか知らない
そのため受け取ることのない手紙は書かれ続ける
愉快だが退屈な時間が流れる

雨が降る道を器用に選んで避けた
ふと ....
愛 と云うとき
世界がこんなにも憎しみに曇るなら
重い靴をはいて
そしてもう二度と 愛さない

それは ゆるやかなひとつの堕落
最後の刻を待てずに
底なしの憎しみの拳をふりあげたあなた
 ....
見知らぬ国土に降る雨に
静かに碇を下ろし
羽ばたき続けた海岸線に
音もなく見下ろしたあの井戸はもうない
いのちを前にして
ねむることの素朴さを語っている
おまえを愛し
おまえに欲情してい ....
私も水から生まれたひとりだから
孤りはさびしいだろう
七十年前 誰かがこぼした涙が
いま雨となって私の肩にしたたり落ちる
(人は雨でつながっているのだな)

私のなかで蠢く海流がある
あ ....
馴らされた日々に漂ってくる
なにげないコーヒーの匂いに
ふっと 救われるときがあるのだ
どんな舟も決して満たすことのなかった
完全な航海を ゆっくりとわたしは開始する

宇宙を辷るひとつの ....
淋しさをポケットいっぱい詰め込んで
ひとりきりの夜を歩こう
いつかわたしも永遠になれるだろうか
かつてわたしが 光の一部であったように

わたしは沈黙のほうにある
とすると
沈黙は詩のほ ....
葉が
笑うように
波うつ

五線紙のうえに
窮屈そうに
散らばる
音符と休符

人は
歌うことを
ためらっている

それでも
陽は
けなげに昇りつづけ

詩の一行が
 ....
わたしは わたしのふしくれた手で
ちっちゃな墓をつくる
アラビアじゅうの香料をふりかけても
消えない前科が わたしにはある
一篇の詩をつくるのに
殺してきたあまたの言葉
本当のことを書こう ....
コップのなかに嫉妬が黴のように胚胎する
繰り返し繰り返された僕のなかの苦しみが熱い
折り込まれた唇が放火する
どんな夏も愛さなかった水が沸騰する

土手の夕凪に
あの影は やはり現れない
 ....
僕のなかの思想が燃える
公園の中を風が吹きすさぶ
穹窿に祈りが刻印される
僕は何者かを求め靴を捨てる

沈黙が時間に色づけする
植物は焦がれている
肺の中を一本の電車が通過する
銀色の ....
不都合な夏の陽に
白い肌は 非情にも灼かれ

沈黙を借りて 何か云おうとしている
あえかな蕾 文明の摘んだ失語症

こんな不条理があっていいのだろうか
うれしさの対概念としての ありった ....
風と波とが ゆらめきながら
私を冒す
もどかしさが 私の中で爆発しそうに煮え滾る

結晶化し始めた世界で
私はおぼつかない存在になる
そこに立って 信号が青になるのを待っていた
今では私 ....
ついに鳴らされた音のために
ついに発せられなかった言葉を思うとき
街は 列車は 夕陽は 失われる

冷たい深海魚の 冷たい尾鰭
夏の日に 生き物ははかない光だ
溶けずに残っている便箋
病 ....
ただのみきやさんの伊藤 大樹さんおすすめリスト(29)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
滑車- 伊藤 大 ...自由詩418-4-19
雪景色- 伊藤 大 ...自由詩8+*18-4-7
五月には枯れる花- 伊藤 大 ...自由詩317-10-13
7.5- 伊藤 大 ...自由詩117-7-5
浸蝕- 伊藤 大 ...自由詩217-6-29
交差点- 伊藤 大 ...自由詩417-6-25
もつれる- 伊藤 大 ...自由詩117-6-23
砂の夢- 伊藤 大 ...自由詩217-5-21
蘇生- 伊藤 大 ...自由詩3*17-5-17
枳殻の花- 伊藤 大 ...自由詩7*17-4-27
記憶の焼土- 伊藤 大 ...自由詩1*17-4-1
水族館- 伊藤 大 ...自由詩6*17-3-4
ペシミストのために街は青く光る- 伊藤 大 ...自由詩216-7-19
いま、ふたたびの雨- 伊藤 大 ...自由詩316-6-6
新しい雨- 伊藤 大 ...自由詩1016-4-3
出会いと別れの雨が降っている- 伊藤 大 ...自由詩416-2-26
断絶までのびている道- 伊藤 大 ...自由詩216-2-10
良心- 伊藤 大 ...自由詩215-12-9
夏を流れている季節- 伊藤 大 ...自由詩315-10-11
雨と記憶- 伊藤 大 ...自由詩615-8-28
夜のサテライト- 伊藤 大 ...自由詩615-7-24
かつてわたしが光だったとき- 伊藤 大 ...自由詩615-7-15
わたしが誕まれた日- 伊藤 大 ...自由詩415-7-11
卵塔場- 伊藤 大 ...自由詩415-7-4
水面- 伊藤 大 ...自由詩215-6-30
僕のなかの思想が燃える- 伊藤 大 ...自由詩115-6-27
明晰夢- 伊藤 大 ...自由詩215-6-14
逃げ水- 伊藤 大 ...自由詩215-5-28
硝子の質量- 伊藤 大 ...自由詩415-5-20

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