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寄り添う水辺に浸る足
、に滴る息の音は
夏を告げながら秋に向かう
しぃんと耳をつんざく
その水達は
形成されることを恐れて
最後まで泳ぎ続ける、けれど
蛇口を捻れば、汚染され ....
あなたのホッチキスになりたい
私のこの棘であなたを突き刺したい
あなたは少し血を吐くだろうけど
私は構わず刺し続けたい
あなたのあふれる悲しみも、痛みも
苦しみも、あらゆる不幸も ....
折り目をつけて伸ばした四肢の
やわらかな月日を
わたしは今、眺めている
*
この街にきてから買ったIKEAの羽毛布団は
君を隠すにはあまりに大きく、窒息しかねないから
わたしは毎晩 ....
もうだめなんです
詩は書けないんです
なんて
誰も聞いちゃいないよ
そもそもなぜ
期待を前提に発言すること自体間違っている
あなたの詩は
誰も期待していない
だから胸を張って
....
心と会話すると浮かび上がる物事は
それはそれは小さな声で疼いている
回顧する、メリーゴーランドに乗りながら
指先を伸ばしては触れようとする
けれど
どうしても、すり抜けてしまう
....
都会は公園が狭い
そこらかしこに人々が置き去りにした言葉がころがっている
威力のない不発弾ばかりだ
今は放射能だかセシウムだかで
こだまのように響いていた子供たちの声もあまり聞こえなくなっ ....
血管まみれのアパートに愛は血はあるのかい
囁けば、
コンクリが軋む
.
今日は蝉の死骸を三個みっけた
昨日は四個
おとついはニ個
夏が終わるよ、
蝉がなく
羽をむ ....
・
うちのトイレにはアインシュタインが住んでいる
排泄する度べろべろと舌を垂らしながら
私を蔑んでいる
.
私が眠りにつく前に
息子の顔に二、三度キスをするのだけれど
息子の ....
私はもう、おんなでいたくないのです
*
夜中になる前に、
私がまずすることは
夜の空気に右腕を入れること
ぐるぐると掻き混ぜると私と化学反応をおこすので、そこでゲル状にな ....
高萩の本家の近くの墓場はいつもナビから外れた場所に存在していた
だからかどうかわからないけれど
父親の一周忌も三回忌も墓参りに行くことはなかった
父親の納骨以来の墓参りは
奇しくも母親 ....
>夜がわたしに降り注いだ。
それは思念として漂うわたしを取り巻き、大きな渦になったかと思いきや
急速に血肉をつけ、むくむくと膨らんでいった。
くるり、ころがる。ころがれば、すべてが曖昧に都合 ....
音のする方へ
感覚を伝わせて
光の曲線を描きながら
死んでゆく触媒
優しさを色で現すのなら
あかみどりを推奨する訳は
血液と瞳の
色だから
空気が凍りつく夜に
童話のよう ....
夜は記憶の始まりから来たのだと
慰めるように紡いでいた物語を
君が聞くことをやめてから
どれだけ経ったのだろう
昨日から
世界にひびが入りはじめている
そこからあふれる酸素 ....
指で作ったDNAの数列は肩までの髪の毛によく似ていた
鮮烈な色を持った花が語りかけた唄はナイフのようで
ただ渇いていく毛むくじゃらの丸い、丸い、空砲に
包まれたあの子は新しい ....
新しい世界を見せてあげるとあの子は鳴いた
カモシカのような片足を震わせながら歌った子守唄
揺さぶられる、現実から見放した濁りすぎた瞳に
映る幾千の輝きはいのち
生命力が溢れ出し ....
・落下女
その両手を手放した瞬間から私の落下は開始していた
たまに香る金木犀は私を拒絶した時のまま咲き誇っていたから
もう望むことを忘れた脳内では
いくつもの事柄が変換されては生えて、 ....
落ちて行く日だまりの言葉を書留ようと伸ばした指先に触れていた昔の私の頭皮
とてもさらさらとしていて、若草の香りが気高く流れていたから私は意識を手放さずに済んでいた
太陽が月にかじりつく ....
伸びきった髪の毛を
掻き混ぜる掌の
温もりの中に
まどろんだ
あなたの瞳を
感じていた
シクラメン揺れる
窓辺に潜む
いびつな死神が
盲目を笑っては
光に溶けている
私は ....
一人暮らしを始めてからまだ一年位なのに
だいぶ大きく逞しくなったと思う
濃くなった今時のメイクで貼付けた防波堤の中に
小麦色の残像が見えかくれするけれど
***
一人 ....
じゅくじゅくとした
痛みを 分け与えながら
血まみれの軌跡を眺めている
(いつだって、第三者きどりで、傍観を決め込む、よっぱらい)
言葉は鋭く
胸をえぐっては 腐るまで所有する
ど ....
呼吸がしたい
本当の呼吸がしたい
本当の呼吸って何だ?
腹式呼吸ができてる状態のことだろうか
それとも公衆を気にせずにふがふがと至近距離で呼吸することだろうか
わからない
わからな ....
その両手に零れている
内臓の薫りは
私の生まれた日に死んでしまった
柔らかいこころだった
水滴が肌を湿らせるように
じんわりと温もりが呼吸する
世界になったんだ、私
色彩が視界を埋め ....
終わらない悠久、時を止めて
人類琥珀計画
僕を見て僕に触って僕に気づいて
ブラウン管越しの気配
胎児が無重力になる時間
区切りの定義が分からないんだ
るう、るる、るうう
水音が歌 ....
夕暮れが、食らっている
鬼ごっこをする、子供たちの皮膚や、瞳や、臓器を
おいしい、といいながら、食らっている
静かに、厳かに、侵食する その赤い赤い発光体は
未発達なぐちょぐちょを固めてい ....
臨界点に到達する前に
呼吸を荒げた影が囲う
優しい箱庭に
わたし 今日もだまされながら
小銭を投げ入れ続けている
あまりに夜の香りがするの
目をつむりながらログオフする
そのシャツの ....
1
明け方近くに咲く花をキスマークと名づけた
女の子の秘密を隠す紐は痕を残す。なまめかしく。
2
お酒を飲んだ赤ん坊が含んだ母親のたらちね
鈴の音が鳴り止まないのは赤ん坊の口内から脱 ....
目が覚める瞬間の耽美、すなわちそれは曖昧な伏線を凝縮した線路図のようなもの
一連の流れは稚児の指先が母親の元に辿り着く前に行われ、
そのことによって絡めとられた誰かの睫毛は
昨日へ帰るように促し ....
明日を30回数えた午後
空からたくさんのきのこがふってきました
私はそれをとてもきれいだとおもいました
きのこは
隣に住んでいたハイカラなおじさんを連れて行きました
私はおじさんはもう見 ....
わたしがひねくれたようにナツの腕を引いても、
なんの音沙汰もなしに日常が会話するので、
ほんの少しだけでも触れてほしくて、
わたしは罪深い唇をカッターで、すこしだけ切り落とします
それは、最近 ....
誰かが世界に対して何かを叫んで忘れている
片っ端から記憶が消えていくのはあらかた嘘だろうけれど、その場には忘却の二文字が
確かに、確かに、
脈々と 存在していた
嘘のように
本当 ....
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