かけ布団
佐々木妖精

二週目の太陽に
準備中の札をかける
気ままな獣を蹴飛ばす

殺気立った喉をくすぐり
布団でまどろむ
豊かな溝を覗く
あまがみ あまがみ
犬歯による抱擁
つま先に空いた穴
カフェインもニコチンも
震えを止めてくれない
ノンカロリーゼリーを与えられた
クワガタかカブトだ

アスファルトで
横転する
私の布団で
まどろんでいるのは
虫籠かケージだ
艶のある化石を崩さぬよう
焼けゆく床ずれを隠し
送る言葉をささやく


目張りの奥から
明日の朝刊を残し
彼は極めて高いビルから移動した
最速でかけてきた
その日陰がほしかった


自由詩 かけ布団 Copyright 佐々木妖精 2008-11-12 20:41:18
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