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玄関を出ると黒い靴ひもがほどけて
夕暮れの空が広がった
垂れ落ちた靴ひもの先に
老婆がつかまっていた
ぼくはほどけたひもを結び終えて
伸びをする
高く 大きく

今日の夕焼けの売れ行き ....
冬の終わりです
雪です

女を埋もらせています
深さ九十センチ
春ともなると
シャベルがやってきて
雪を掻いたり
女を掻いたり
シャベルも
女も
シャベルも
女も

みんな ....
春からのぼくの目標
字を丁寧に書くこと
給食で野菜を食べること
それから
静かに絵を描くこと

暖房の音が
途切れず部屋を回っている
のを聞くこと
窓に雪の粉が
冷たく張り付いて ....
水をお飲みなさい

彼女は言った
黄昏の重い扉の手前に立って
指先をしっかり伸ばして
振り返りながら

水をお飲みなさい
と 彼女は言った
この町は
たっぷりの水が流れていく町だ ....
わたしのかわいい人
眠っているのか
死んでいるのか
肩だけで息して
しわを数えて

わたしのかわいい人
雨空はきらいだって
雨空が切れて
切り口に青空が光るから
それだけでぼくは雨 ....
丸々眠る母の腹から
黒々丸い烏賊の目が
こちらを見ていた。
ここに
この収まり方はどうだと言わんばかりに
長々
見ていた。

 ありがとう
 お前も帰ったの?
 お母さんも帰りだか ....
窓のカーテンが膨らんだ
だれもいない図書室の
午後四時

窓の桟のすぐそばに
白い紙きれを落とした
午後四時

憎まれたことのない私の
憎まれてしまった十月
何も知らず 何も気付か ....
家の裏に立つ一本の樹は
その背に
深い森を持つ

家の裏に立つ一本の樹は
その後ろに
もう一本の樹と
もう一本の樹を持つ
家の後ろに立つ一本の樹は
その背中に
もう一本の樹と
も ....
ひとりぼっちの女の子
机に前髪が落ちそうだ
あともう少し
針先ほどで届かないあなたの言葉のように
寂しさが髪の先に
しずくをつくっている

秋の薄日が 山の稜線にも
乗り捨てられた車の ....
穏やかな秋の一日
その暮れ方 テレビ越しに眼を凝らして
日の丸に敬礼
しようとしたときに 虫が
灰色の繊毛の生えた虫が 少女のお下げの髪に虫が
這っている こんなこともあるものか
それを払 ....
長く患っていた父が死にました
お通夜の部屋に潔い木の香りが流れました
父は長く一人だけの眠りを眠り
お線香はくるくると回っていました

わたしたちはチョコレートを
食べました 金色の銀紙を ....
疾駆する車の前を
白磁の蝶がひるがえる
蝶は
そそり立つ眉を持つ

白く焼けた小石から小石を
羽黒とんぼが渡る
ゆらゆら揺れる
かすかな悲鳴

夏の熱が山脈をかすませる
盛り上が ....
る の形の漏斗へと滑り落ちていくように
ぼくは明るい駅へと吸い込まれる
窓に青蛙が張り付く
濡れた松葉が張り付く
滲むいくつかの家の灯りが
黒い木立に十字を掛けて
すいと横に流れたかと見る ....
【アカマきつね】

そのお社は
今は大きなスーパーの駐車場になっていて
たくさんの乗用車が窮屈に並んでは
ふうふう息をついています

(アカマきつねです)

蝉の声が木々に焼き付く田 ....
コツコツ堅い青空の上に
力こぶのように積み重なる入道雲
場違いな黒雲が二つ
空の低い位置を漂流する
小さくスキップして踊るピアノの音
きれいに言葉を剥がす車たち
音声もミュートされる歩行者 ....
疲れ果ててしまった初老の男と
似たように疲れた女の
話を聞いてみることにした
それはとても
たわいのない話で
海苔せんべいをかじる間に
忘れてしまってもいい話である
それを
聞いてみた ....
顔の右が緑で
顔の左が赤い
それからリズミックで
跳ねるように歌ってる
カリビヨンっていう
カリビヨン? 特に知りたくもないんだが
それから
そうしているうちに
歌はどんどん続いていく ....
地面の上で
濡れているパンの耳を拾った
食べたりはしなかった
隣に 湿った草が生えていただけで

木立の隙間に見え隠れする山なみが
雨を伝って雲の香りを運んでくる
したしたと滴る 路地の ....
「ぶっとび市」というのがあって
白地に赤の幟旗が何本も
雪の壁に並んでいる
二〇一一年二月十一日
町は風が吹いて
人は四方にかしいで
青空が小さな冬の森を翳らせている
何がいやと言って  ....
桜の枝に盛られた雪の間から
青空が広がった
青空が

憎む人の指先をかわしながら
ささくれる胸の先に
息も潰れてしまうとき

桜を彩る雪の温度に額を向けて
小さく ごく小さく
泣く ....
今日も
一筋の煙が空に立ち上る

さち子さん
崖の上から張り出した
痩せた木の枝に腰掛けて
いくつものブーツやハンカチや
涙やさよならなんかを
見ている

窓の裏の田んぼの中で
 ....
だれかぼくに
長い手紙をくれまいか

すっぽり暗いすり鉢の空の底
吹雪のあけた だだっぴろい広場に
まんべんなく雪は敷き詰められて
だれかが夕暮れの紅いろうそくを吹き消す
すると
取り ....
さびしく光をめくる
冬の公園の夜
うろうろと
街を進んだ

車のバンパーに
暗い電球を乗せて
叫んだ

雪に埋もれた公園の池で
闇の飛沫が激しく踊り
 死ね
街灯は
小道の向 ....
ぼくが生まれた日
今年のように
雪が物憂く降っていた
崩れかけた柱の根
巻き上げる夢の枝先

曇った窓に頬杖つくと
埋もれる氷の柱が
幾本も並んでいた
ぼくは泣かなかったけれど
指 ....
わかささん
鋼色に丈を伸ばす坂道を外れて
側溝を三十メートル
車ごと転げていく
わかささん
弾んで 落ちて
そのとき少しずつ
速いスピードで 窓から
青空片が 舞い込んでくる

雪 ....
ばあちゃんを乗せて
じいちゃんを見舞いに行く

ゆく道の傍らに
塀越しの柿の実が鈴生りだ
ひとつぶずつに
千年と千日の
日差しがはね返る

 小太りの猫が座ってたじゃないか
 毛の ....
愛されていないから
悪ぶっているのだ
などとは
二股の枝が裂けてもいえないな
悪だから
ワルなんだよ

立ったままなのに
寝転んでいるような気がする
耳の奥で冬間近の電線が
風切る ....
ドアをこじ開けて
落ち葉の溜まりに足を下ろし
腰を下ろした
すべては自分の
過ちだった
薄いワイシャツを羽織りながら
私は息を吐いた

明け方
左手に風が沈黙を守り
右手に信号の無 ....
ゆがんだ
細長い背もたれのいすに座って
ぼくたちは半日を
大きな絵のように過ごした

首筋を汗が
降りていく牧場で

太陽が庇の縁をなぞって
ゆっくりと半円を描き
ぼくたちは昏い絵 ....
濡れた藪の陰には
ヤスコちゃんがもう膝を抱えている
色の変わった大きな樽の中は
トシユキの指定席だ
横木の折れた狭い入り口に
クモの巣は長くぶら下がって
すでにだれかが小さな手足の跡を
 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夕暮れ_へ- オイタル自由詩5*12-8-8
春近く- オイタル自由詩7*12-3-11
春からの- オイタル自由詩7*12-3-3
水の町の女にさようならを言われる- オイタル自由詩1411-12-27
わたしのかわいい人- オイタル自由詩611-11-20
烏賊の目- オイタル自由詩3*11-11-12
午後四時- オイタル自由詩6*11-11-4
一本の樹- オイタル自由詩7*11-10-25
ひとりぼっちの女の子- オイタル自由詩8*11-10-15
日の丸に敬礼- オイタル自由詩5*11-10-8
つや- オイタル自由詩6*11-9-17
- オイタル自由詩3*11-9-7
お帰りの少年- オイタル自由詩4*11-9-3
きつね_二題- オイタル自由詩6*11-8-9
入道雲- オイタル自由詩4*11-8-8
それは詩か- オイタル自由詩6+*11-7-16
右が緑で- オイタル自由詩2*11-6-11
春おばさんに- オイタル自由詩3*11-6-4
ぶっとび市- オイタル自由詩511-3-26
救世- オイタル自由詩2*11-3-20
さち子さんに- オイタル自由詩5*11-2-27
ぼくに手紙を- オイタル自由詩11*11-2-10
冬の謝罪- オイタル自由詩6*11-1-15
ぼくの生まれた日- オイタル自由詩12*10-12-31
青空の侵入- オイタル自由詩5*10-12-26
ばあちゃんを乗せて- オイタル自由詩5*10-12-4
十一月の窓- オイタル自由詩4*10-11-18
私は何もわかっていなかった- オイタル自由詩2*10-11-14
休日- オイタル自由詩9*10-7-24
かくれんぼ- オイタル自由詩6*10-7-18

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