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土の匂いがした
草の匂いがした
木の匂いがした
日陰ばかり歩いていたら
人間も虫になった
鳴くこともできず
飛ぶこともできず
交尾の仕方もわからず
それでも人間は
虫になれた ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
コップの中に
朝が残った
醒めきらないままの
水を分けあって
ぼくらはターンする
魚のかたちをして
水がうごく
きらめき降りそそぐ
夏のはじまり
ゆっくり水際を
泳いでゆく ....
魚を丸ごと
皮も内臓もぜんぶ食べた
それは
ゆうべのことだ
目覚めると
私の骨が泳いでいる
なんたるこった
私を食べてしまったのは私だろうか
どこをどうやって
....
電車の好きな少年だった
窓のそとを
いつも景色を走らせていた
乗客はいなかった
やがて彼は
景色のなかを走った
走りつづけた
いくつかの景色をつなぐと
電車にな ....
夏は
山がすこし高くなる
祖父は麦藁帽子をとって頭をかいた
わしには何もないきに
あん山ば
おまえにやっとよ
そんな話を彼女にしたら
彼女の耳の中には海があると言った
....
見上げれば星屑が眩ゆすぎて
さすらえば闇が深すぎて
若いぼくらは歓喜で眠れなくて
そんな国があった
言葉でもなく指きりでもなく
確かめ合った
赤い木の実を食べて
甘い草の根をかじ ....
古い家の
納戸の隅とか仏壇とかに
小さな暗やみがいっぱいあったけれど
おばあさんがいつも座っていた
土間につづく台所にも
深い暗やみがあった
その暗がりに何があったのか
覗いたことも ....
コップに水を満たす
ごくり
夜のなかにひろがる
水域
遠い水を飲みこんでは吐き出す
夢のそとへ
背泳ぎで渡る
水が満ちる
遠くまで水が満ちる
とう ....
星をひとつもらった
夜空がすこしだけ暗くなって
そのぶん
ぼくの夜が明るくなった
きみに手紙を書く
いくども書き直したので朝になった
星のことは書かない
ぼく ....
夜ごと
小さな星から星へ
色とりどり
おはじき遊びのようでした
きいんと澄みわたった音がして
そのとき
宇宙は大きな円盤でした
まわるまわる輪廻転生
虫から花へ
花から虫 ....
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(11)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
虫の季節
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yo-yo
自由詩
7
12-8-20
紙の家
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yo-yo
自由詩
21
12-6-25
一瞬の夏
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yo-yo
自由詩
11*
08-7-17
しおざい
-
yo-yo
自由詩
15*
08-3-28
電車
-
yo-yo
自由詩
26*
08-3-7
つくつくぼうし
-
yo-yo
自由詩
23*
07-8-17
きみの国を探している
-
yo-yo
自由詩
12*
07-8-10
夏は、山の水が澄みわたるので
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yo-yo
自由詩
16*
07-7-6
水域
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yo-yo
自由詩
9*
07-6-29
ぼくの星
-
yo-yo
自由詩
19*
07-4-20
ナイトクルージング
-
yo-yo
自由詩
10*
07-3-31
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