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主の居ない壊れかけの蜘蛛の巣に
わざわざかかった薄茶の蛾
そこに光でも見えたのかい
でも人工的なものなんだよ
ごらん、あれが唯一のものだ
電線が張り巡らす中
四角い結界にみっしりと ....
題名は最期につけましょう
果たしてそれすら叶うか解らないけど
言葉として形を得れるか解らないけど
残したい
概念としての存在ではなく
きちんと具現化をして
たとえ
....
葉に翳る白桃の
香に透き通る憂い
青く伸びやかに
移ろう若き眼よ
白墨の粉に指を染め
唇は今日も弛緩する
午睡の夢に残り
紙の切れ端に
忘れんとする戸惑い
まだ熟れぬ実よ ....
時を巻戻すのは 解せぬ言葉
時を先送るのは 返せぬ欲望
消えない内に 証明したくて
見えない儘に 軸から外れる
隙間に伸ばすのは 足か手か
糧も枷も得られず 目眩き廻 ....
畳一枚に張り付いた背中
切れかけの電気が最後の瞬き
嗚呼…お前と心中しようか
死ぬ時は誰でも独りだって
そうは言っても寂しいんだよ
大きな揺れを期待してみるも
窓ガラスは微動だにし ....
卵が割れてまた割れて
中途半端がどろりどろぉり
二進も三進もいかない生
ハウスダストやカビたちに
あらゆる雑菌病原菌
もういいから寄生しなさい
変色するほど侵食して ....
癒着する襞の呟きに
「寂しからずや」
と夜が往く
薬指は今宵も夢を見れず
「あな哀し…」
と月に憩ふ
胎動することと
何ら変わりは無し
女が腐食してゆく
朝日に窓枠は枯れて
錆付いたカーテンからは
夜が死んだ匂いがする
炊き立ての白いご飯が
今日はもう仕方が無いんだよ
と生きる糧を与える
箸に摘めるだけの物を
....
蝶の軌跡は有刺鉄線か
剥れゆく皮膚を剥れるままに
見るもの見るもの
瞼を伏せ、視線を逸らし、
目を両手で覆いたくなるような
垢に塗れた赤黒いそれ
剥き出したままに
海の風が轟々と
悲鳴 ....
切り取られた空を
更に4分割してみると
あなた・わたし・からだ・こころ
世界がよく見えてきた
泳げる空と
沈んでゆく空
飲み込む空と
突き抜けてゆく空
ほら簡単
結局ね
私もあなた ....
彼女は飛んでいってしまった
灰色のコンクリートに
白い羽を数枚残して
夕日目指して飛んでいった
だめだよ
あまり高く飛んでも
あまり低く飛んでも
失墜する
ほらイカロスのように
大き ....
白い咽喉仏を
伝うものを見ずにはいられず
愛おしければ尚の事
枝葉の若いものは
根っこの存在を感じつつ
きっと知らないのでしょう
何を養分に今在るのかを
伝って落ちたものが
今は亡きも ....
棚に飾られた人形
一体全体何処も見てない
ガラスの瞳に溜まるのは
精一杯の誇りでしたか?
二十一歳の人型
一体全体何もしてない
粘膜の眼に浮かぶのは
虚勢を張った希望です
対峙 ....
月が回って溶けてゆく
オレンジ色の火花を散らして
バッハ『インベンション第13番イ短調』
堕ちて行くのは君の声か私の声か
螺旋階段の果ては無く
「何故手を離したの?」
折り重なる指と指
....
空に唸るは誰かの口笛
いづれの日にか朽ち果てる
転がる銀杏のお誘い文句
「さぁ選び取れ!幼子よ!」
静かに身を横たえて
排水溝が今宵のお相手
疾走する虚無たちよ
口笛なんぞは助けてくれな ....
サロメは報われない恋心を抱いていた預言者ヨハネの首を欲したが、
私は彼の腕を欲す。
その腕の白きこと蝋を塗りたるが如し。
繊細なる指から零れ出づるピアノの音色。
彼の全てが欲しい等とは言わぬか ....