操り人形
AKiHiCo

この祈りは誰にも届かないまま
虚空を彷徨いながら
静かに煙を巻き上げて
消えてしまった
最初から
そこには何も
存在していなかったかのように

誰かに見えない糸で操られ
無機質な感情だけが交錯する街で
私の心は独りきり
責め立てられて悲しい言葉が
胸のどこかを射抜く
悲しい程に凍った声で

私の何かが壊れてゆくけれど
今は笑顔でいなければならない
何があっても涙は流してはいけない
そう、私は心を殺した人形なのだから

操られていても
気付かない振りをして
今日もアスファルトの上を歩く
願いが叶うこともないのに
傷を隠しながら
綺麗な衣装を身に纏って
笑顔を振りまく
私は毎日誰かの人形

本当の私など
誰も必要としていない
そんなことくらい判っている
腕に脚に指に
見えない糸が今日も


自由詩 操り人形 Copyright AKiHiCo 2006-04-28 07:23:54
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