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ひきはじめの風邪と
冬の雨
足元の雪氷
淡い恋をしています と
誰に告げよう
おわるために
生まれるわけではないけれど
指先をゆっくりと冷やす
雪氷よりも
はかないと 知 ....
モノクロームの記憶
あなたを待った 冬の陽だまり
夜の都市が浮かび上がるまで 何をあんなに話していたのか、
もう忘れてしまったけれど
ただ、一言で
胸いっぱい、嬉しかった あの頃
....
逢いたい、と
喉が呟く
けれど。
誰にあいたい、のか
わからない
私は一体だれを 忘れてしまったのだろう
あなたをなくした
景色の中で
私も風景のひとつとなり
日々を ....
葡萄の葉陰に{ルビ抱=いだ}かれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました
花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました
高い空
すうと流れる
赤 ....
ずみの花が咲いた
夜にかくれて ひとつ、またひとつと
ふくらんでは夢のようにひらく優しい花よ
ずみの花が光る
風を香らせ たわわに揺れる
蜜蜂達が 遊ぶ梢に
私も腕を拡げて 飛びたい ....
湯気に包まれた
身体から流れ 流れ落ちていく
私のすべて シャワーに溶けて
生まれ変わる お月さまのように
もしも このまま
魚になって
排水溝へ吸い込まれ
名もない海に
泳ぎ ....
夜をこえて 夜空を駆けて
眠るあなたのうでのなか 忍び込みたい
あなたの見るゆめ
金の砂漠 蒼の水底
耳をすませて
私にきかせて
ねむるあなたのそばにいるから
明け方のそら ....
朝か、もうすこしあとにおきだし
パンをたべ
仕事をし
お昼をいただいて
掃除や仕事をし
たいへんおなかが空き
夜ご飯を皆で囲んで
寝る前までに
いくつか日々のことをこなします
私 ....
ゆらゆらかげろう
玻璃の向こうに
柔らかき草萌ゆる
丘、ありて
音もなく 風渡る 景色に
あきもせず
遥かお山はぼんやりと 薄蒼く
頬杖つく
椅子の背は
しっとりと ....
白くうずめられた谷川へ
舞い降りる
まだ浅き春の 雪になって
私のほほにふれてください
いま
瞳に映る美しいものすべて
あなたのものに
やさしくふきぬける
風のよな
寂 ....
壊れた時計をなおしていたら
ふとしたことで けんかになった
あなたは時計をばらすのをやめ
きちんとねじをしめなおし
机にぽいと置いたのだ
わたしはそれを手にとって
いじくりながらそっぽ ....
傘もささずに駆け出した
胸に 弾む雨 あなたとの出逢い
秋は深まり ひだまりのぬくもり
やがて移ろい いつしかたよりは途絶えたまま
春を待つ 心に 訪れた小鳥のさえずり
この街 ....
若葉に抱かれ
ひっそりと眠る
ぐみの実
指で触れる
ざらりとした果実は
甘くて苦い くちづけ
次の春には芽吹けよ、と
その種子を天へ飛ばそ
春風よ
月の優しさを知る
アーモンドの
ほころんだ花びらを そっと波間にうかべ
遠い異国へ 運んでおくれ
涙色の伝説
その震える肩を包んでおくれ
歌えよ 鳥よ
闇をつらぬ ....
おなかのすくおと ぺこ、ぺこりん
からっぽの胃から
じわじわ かなしみが溢れ
ずずんと 体にのしかかる
ひとことごとに へってゆく エネルギ
ひとことごとに ふくらむ かなし ....
うるうると ながれては こおりにかえり
うるうると みたしてゆく
つちを かぜを
たちのぼる霧は
こおりをむすび
春待つ木々を
冬に還す
光 ....
寄り添い生きることができなくて
するり と ほどけた
朝がくる
あなたが静かに閉めていったドアを
あける こともなく
わたしは
夏風が木々をゆらし歌う
それを 見て ....
午後の陽射
見上げる、瞳
山吹色の世界で
あなたが 私に残した言葉は
今も 胸の中を響いています
遠く想う
あなたの生きる 街の風
あの日 藍色の翳りは
今も その胸の ....