未 明
塔野夏子
AM03:09
開けるべき扉を失くした鍵が
中空で揺れている
意識に垂れ込める
半透明の暗い流体
AM04:23
中空の鍵は
かぼそい声で祈っている
薄紫の波が
幾枚か水平に過ぎてゆく
AM05:31
鍵は消え
鍵を失くした扉が
その向こうに満たす静寂
の中から
蜩
(
ひぐらし
)
が鳴く
自由詩
未 明
Copyright
塔野夏子
2021-09-09 11:13:34
この文書は以下の文書グループに登録されています。
夏について