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水、の音をさがしている
  すっかり消えてしまった
   匂い、の足跡をたどれば

  猫が水をのむ

     舌が生きている
 手首から流れだす
   脈絡なく文脈もない
 ....
汽水域でしかいきられない乱反射は
椅子に座っても安らぎにはほど遠く
手から手と瓶のなか追いかけていた

 わたしの、わたし達の心は縛られることはない
 そんな風に真っ向から歌う事を忘れてしま ....
抉り取られた枝、から
予告もなく傾いていく
網が からめとる とられない
誰かの手紙が捨てられて
落書きばかりにうんざり

ひさかたの果実にうつつをぬかす
転がる、ひかり、分散、なつのひ ....
無口な口を縫いつけましょう
言葉は如何にも無粋ですから

帽子をかぶせた
 宇宙がかくれた
  はばたきながら
   地球は夕暮れた

だから、ね……

   蚊がうるさいよ
  ....
水面をうねり進むのは
中州と呼ばれているものだ
息継ぎもなく川を這う

その背で
菜花の黄が
もえている

微かにひかる

ガラス片
あれは
人の手から
逃れて
中州の鱗に ....
慄け優しい昼の日差しに
女の帽子の湾曲の叫びを
手を差し延べるのは誰だ

静かに発酵していく発泡と発疹
すべては突き刺さったアイスピック
それはそうだとしてなんでもない

バスが曲がっ ....
耳から咲いたうつくしい花の声たち
眠っているときだけ、咲く花がある
あなたはそれを観る事はないだろう

生きた証し、誰かの
言葉に耳を傾けた証し
母さんの声は咲いているか
愛しいあの娘の ....
雨風に家が鳴いているから
壁の写真を剥がして日焼けを数えて太陽を
探しています、乾いた唇が忘れた温度は

カップの欠けた縁みたいに痛覚を撫でる

破いて散らした写真の風吹は夏の嵐を
さら ....
何も誇るものはないというのに夏と
誇らしげに肩を組みまた来年と囁いた

飽きれるように笑って夏が歩みさって
中央通りの真ん中に蝉を落としていった
入道雲を墓に見立てて空に還してやれば
雲た ....
遠雷が鳴る あとかさき
かなかなひぐらし かなしんで

夏の報せ、がたくさん奪っていった
なつのせみはるのせみ黙っていった
遠野で踊るハタタ神、てをのばして

あの遠雷に帽子を被せたい
 ....
北の地を放浪しても
得るものは老いた馬の
澄んだ瞳だけだった

若駒とともに嘶いたが
そのように走れなかった

鞄をひらきぶち撒けて
夢も希望も熱狂も棄て
敗残兵なりに鞄は軽く

 ....
ひとりぼっち、の人は
ひとりぼっちの景色を

知っていて

遠くを静かにみつめている
たまに夜半の丘に立っては
叫んだり泣いたりしている

眠れば星雲の渦にまかれて
わからない ば ....
千鳥足で夜は歩き濡れた草の間に風と横たわる。夜は朝に焼かれていく。私は夜の肋を撫でて、その灰を撒きながら昼を千鳥足で歩いていく。また夜が芽吹き、我々は酒を酌み交わす。何度死に何度産まれ何度生きたのか、 .... 月夜の庭の物陰で土と溶け合い
消失していく段ボールの記憶よ

何が盛られていたのか
空洞となって久しく
思い返すことはないだろう
お前は満たされた器でなかったか
ある時は瑞々しい ....
フレームだけを残してフロンティアが
朽ちている、錆びたフレームを隠すように
蔦が這い、忘れられた、いろかたち

老人が指差す、そこが境目だと
フロンティアがあったと、かつての
開拓地を指し ....
早朝に薄くかかった霧に町は静止しているようだ。ビニールハウスは無防備に丸みのある腹を見せて草木もわずかに頭を下げて眠っている。

狭霧の中を電車だけが走っていく。

この外に動くものなどない ....
水道水にヒマラヤの岩塩を溶かして
瓶に注いでいけば四〇億年前の海だ

空っぽの冷蔵庫の唸りとぶつかる
海鳴りに耳を傾けている台所の
卓上の猫たちの我がもの顔
原始の海に釣り糸を垂らす
僕 ....
軒先に脱いだ靴が消えた
会社にばかり通ってる靴だから
会社に向かったのかもしれない
いや、しかし、通勤電車に嫌気が
さして旅に出たのかもしれない
文なしの旅先で困ってやしないか
いやいや、 ....
月夜の庭の物陰で土と溶け合い
消失していく段ボールの記憶よ

何が盛られていたのか、空洞となって
久しく、思い返すことはないだろう
お前は満たされた器でなかったか
瑞々しい果実と野菜に陽の ....
苦しみの吐息に
吐息を返しては
沈黙を掌に掬い
いたわっている

理解は出来ず感じることしか出来ない
砂粒ほどの些細な重みが
僕に付着して堆積していく

払いのけることもなく
ある ....
とり忘れられ
赤々と熟れ過ぎた
トマトが、ふと
地に落ちひしゃげ
鴉が舞い降りた

赤い飛沫を舐めとるように嘴で何度も
つつき、カァァァァァァ、と鳴けども
人びとは潰れた野菜など気 ....
あるくとおく、流れ流れて
流されてきた弱さを恨むのか
水にとけた光に問いかけた
転倒した月日の果てしなさ

ただ勘違いしていただけだ

月日は数えるだけしかなく
切り売りして歩くお前な ....
前庭に鯨が打ち上げられて
砂が、チョウ砂が舞い上がれば
世界は揺れて空と大地は
ぐわぁんぐわぁんと回転しながら
遠ざかったり近づいたり

もしチョウ砂が黄砂のように
気流に乗るなら、あの ....
そろりそろりと剥ごう
皮をつつつ、と剥ごう
夜を剥いで朝を剥いで

私というものが
どこでもない場所で剥き出しで
死んでいる、或いは

台所で皮を剥がれた
剥き出しの野菜や肉に混じっ ....
おまえの手には
もう半ば潰れた
折鶴が死んでいた

折鶴がまた羽ばたくことを信じようとする
瞳に縋りつきたい誘惑、がある
だけど、告げなくては
いけないのだ、小さな手よ

おまえの手 ....
歌が、つたっていく

庭の忘れられたような手水鉢に
雨どいからひとしずくひとしずく

水はいつか溢れるだろうか

歌が
ひとの器から
溢れだすように

きくものをえらばない
染 ....
夏の夜に眼を閉じて世間を遠ざける
蚊取り線香の燃えていく匂い

いえ、あれは父が煙草を吸い尽くす音
いえ、あれは兄が穴を掘る遠い音
いえ、あれは舟に乗せた人にふる音

どこに行けばいいの ....
ただのみきやさんの帆場蔵人さんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水導- 帆場蔵人自由詩421-11-21
舗装路- 帆場蔵人自由詩821-10-28
夏至祭は終わった- 帆場蔵人自由詩521-9-2
巣ごもり- 帆場蔵人自由詩221-6-25
どこまでも春の日- 帆場蔵人自由詩421-5-15
もうバスが来るころだろう- 帆場蔵人自由詩521-4-24
たまゆら- 帆場蔵人自由詩12*21-3-6
あらしのよる- 帆場蔵人自由詩320-10-28
夏を慰撫する歌- 帆場蔵人自由詩3*20-9-18
かみなり- 帆場蔵人自由詩420-7-31
海への帰路- 帆場蔵人自由詩6*20-4-21
ひとりきり- 帆場蔵人自由詩17*20-3-7
夜の筆記者- 帆場蔵人自由詩6*19-12-30
虚舟・改稿- 帆場蔵人自由詩319-12-27
寂びる- 帆場蔵人自由詩319-12-7
ひかり、を- 帆場蔵人自由詩219-11-16
台所の海- 帆場蔵人自由詩319-10-29
靴が旅立った日- 帆場蔵人自由詩419-10-1
虚舟- 帆場蔵人自由詩5*19-9-16
悲しみもなく- 帆場蔵人自由詩319-7-28
夏の階に立ち- 帆場蔵人自由詩11*19-7-22
痛み- 帆場蔵人自由詩11*19-7-7
眩暈- 帆場蔵人自由詩7*19-6-25
剥き出し- 帆場蔵人自由詩8*19-6-22
鶴を折るとき- 帆場蔵人自由詩719-5-27
うたとみず- 帆場蔵人自由詩619-5-26
追憶を燃やす匂い- 帆場蔵人自由詩8*19-5-8

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