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烏
私がタンカーを見ているのだ 私の
目の前には 海原がそそり立ち
桜の 老木の 肌も露わ
ひび割れた匙で抉ると嗚咽が漏れだす
轟音はずっと工場から
朝と夕 右の煙突を光が射抜いたあた ....
南部風鈴の音
風に乗せ
山越え
きーんと鳴る
見るも無惨なお前の笑顔
腕は白い
うちひしがれた隣に空が
はっついてる
いっときも目を逸らすな
言ったのに
泥のように夕日を沈 ....
浮かんでるのがレジ袋
鴉みたいだ
甘く重たい空の様子
大鯰の口いっぱいに砂粒を湛えてる
やがて切れ間からも火の手があがる
青いネオン看板の上に指がみっつ
鉄の焼ける臭いも混ざる
....
蛾が舞う
びいどろ焼けた肌
今日は木曜
粘性の雨
水あめ
甘い茎を廻る
二十ニ色の蛾
電信柱の骨
涙浮かぶ川ふたつ
中洲の向こう
ひとさらい
手も足も
舌の ....
空が死んだら
雨雲を睨む
水たまりの真横で笑う
水たまりがゲラゲラ笑う
スズメは驚く
懐く
本当に珍しい事
愛でては
水の際 熱さまし
大事に
大事に
玩具に灯した芥子色の
そっと切り立つ夕闇 ひと揺れに
やさしく頬張って
咀嚼した 嘶ぁた
沃土にけぶる童気が
か細い
....
真っ暗に点す
山霧の薄い鞠
電信柱を包み
無味な綿実を育む
粛々と夜を描けるなら
草露に浮かぶ涙も
からかえるのに
緑の看板が ぽつぽつと
糸を引く
小さ ....
ひっ掻き
傷 傷
水滴 水 そら
硝子の縁も
こつんと 鳴く
空
薄らぐ
高速バスのなか
6時をむかえ やがて
針は2分を示す
尾灯 ....
ニット
帽子
頬
十六の島に染められた子
遠景と 自動販売機から出た温かい缶を左手に
少女として佇む
移ろいゆくあなたが
ひとり勝手に 丁寧に動いている
遠雷と時報 ....
ハッカの花びらは
剥けて落ちるので青白く
外浪逆の上で
灯火の撒き餌になります
数滴
冷たい風にのって
持ち上がるのは
それは
大雪加です
見上げるほどに甘ったるい
葛 ....
可哀相な音がする
車も人も少な とぼとぼと
あなたの足でやって来る
歩いてんのは子供ら だろう
ぽつりぽつり
ジャージャー橋を
そしてぽつり と
歌の匂いをのせている ....
ふるい塗料で
世のなかに
送電線は雨や 風
紙粘土の鉄塔が
削り取られ
魚のように
崩れそうに
土草ミズ艸
田んぼ道の
泥濘む足元に
横たえられてら
目の前の ....
鉾田へ行きました
なぜか国道355で
湖を眺め
跳ねるように北上する道です
廃線跡の枯れ草が湖水を遮り
そのたびにキラキラとあかくて
スイフトとすれ違った先で
歌も聴けました ....
あんなに強い西日なのに
青空がしろい
硝子の影が枯れ枝をくわえて
排ガスにはたかれた欠片が歩道に転がる
少しずつ少しずつ
細いものから音も色もころしてゆく
風は大きく旋回している
....