つらつらつららる
佐々木妖精

日常の八割は魔に刺されて足掻いているから
誰に殺されても文句は言えない なんて
みな息をするのに必死ですが
ばたついた手足は誰を殴ったか
答えよ

リンゴが木から落ちるのを見て引力に気付いたという逸話は創作だそうですが
まあそうだとしたら 雨が降ってくる時点で引力に気付くよなと雨の日に思いました

落下する雨粒や零れおちる涙で僕達は引力に気付き
舞い落ちる雪で浮力に 横殴りの雨で風力に気付く
跳んでも跳ねても着地してしまう耐え難い身の重さを重力と呼ぶと
それは責任転嫁でしょうか

頭上で身を寄せ合う雨雲 降ればつららであると分かります
弛まぬ雨乞いが形となり弛緩した夢想を射抜く愛のルサンチマン劇場 恋は戦争
なんてほざけばラブレターは常に矢文
果たし状

たらいが落ちれば笑いがとれる などとボケたこと考えてそう
浮力ある海へ行きたい

息継ぎ下手な魚がプカプカ浮いてきて
なんかパクパク喋ってんの
明滅する鱗は大なり小なり艶やかなのに
なぜか苦しそうなの


自由詩 つらつらつららる Copyright 佐々木妖精 2011-02-04 23:16:02
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