私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた

毎日々
ベルトコ ....
うわのそらに溺れる 鏨(たがね)を打ち込む

光沢のある表面に
一閃の傷をつける
堅固な光沢のある表面に
鏨(たがね)を打ち込む

切断する術は腕一つ
振り下ろす鉄槌の微妙な躊躇は
表面を滑り鏨(た ....
父は今日
返事をしなかった
話しかけても

目だけはじっと
私をみていた

まゆみだよ
わかる?

といっても
黙っていた

聞こえる?
と聞くと
うなずいた

声は ....
熱燗の、おちょこの横の
受け皿に
五匹のししゃもが銀の腹を並べ
口を開いて、反っている

いつか何処かで観たような
あれはピカソの絵だったろうか?
絶望を突き抜けてしまった人が
空を仰 ....
ソチ・オリンピックのテレビ中継で
上村愛子選手の姿を見て
ぐ…っと来た、僕は
少々涙腺を緩ませながら
隣に座る、妻に云った。

「攻めに攻め、金にも勝る、滑りかな」

数日後、シスター ....
わたしを生んだ
女をわたしは知らない

影も匂いも
どんな音を発するのかも
なにひとつ知らない



わたしを抱いて
わたしを褒めて

わたしを叱って
わたしを守って
 ....
斜面の彼方
架空の消失点に向かって
きみは加速する

ゴーグルに叩きつけては
後方へ飛び去る風が
喝采にも罵声にもきこえる
そのクレシェンドの頂点で

はるかに強く
心音をたたきつ ....
【透明なマグマ】


あれからというもの踏切が 透明なマグマだ
車を走らせていて
次第に車を減速させ
遮断機が ゆっくりと降りている
車と車の隙間を ゆっくりと歩いていた猫が  ....
ぎゅんぎゅんと花々の茎と茎との間を抜けて、背丈よりも低い峠をいくつも越えて、あのランナーはわたし。ふくらはぎ縮み、ふともも縮み、南風燃え上がり、握りこぶしほどの小さな山をいくつも踏んで、森の奥のか .... 奥行きがあるとはなんだろう

そこには私の視点ある
見えない眼球を通して

目が覚めたら3億年が過ぎていた
生まれたことを思い出せば
何が時間であるのかはわからない

向こう側に扉が ....
音は雪に食べられてしまい
部屋は
かえって生きものの息づかいでみちている

台所の戸棚のなかで
じゃがいもの芽が伸びてゆく
張りつめた胸の皮膚のしたを
薄くなった血がめぐっている

 ....
花が草が虫が獣が 生国を知っている 
潤いがたちこめて 生き物たちを通わせるのです。

人間のしでかす すべてのことは隙間だらけ
人の皮膚の隙間という隙間を ふるふると震わせる霧

穴ぼこ ....
2月3日 午後8時
そうだ、今日は節分ではないか!
豆まきをやらねば、と突然思いつき
子供達を呼ぶ

「ねえ、豆撒きやるよ〜。おいで〜。」
「豆撒きってなあに?」
「節分の豆撒きだよ。」 ....
ほんの数十年前
空がピンク色に染まった夜の日々
凜として生きていた正義の味方

正義の味方は美しく
正義の味方は気高く
正義の味方は清々しく

誰から後ろ指をさされることもなく
 ....
磨りガラスの向こうの公園で
外国人に話しかけられた
どうやら、フランス語らしいが
何を言っているのか分からない

家に帰ると母親が叫んでいた
ひとつひとつは意味のある言葉
けれど、つなげ ....
 私はかつて、「詩人はかくあるべき」という詩人像を強く抱いていた。詩人とは何よりもその否定性において優れていなければならなかった。それは現実を否定して彼方へと飛翔する者でもあり、伝統を否定して .... あの頃 何でも出来るような 気がした
怖いものなんて 何もないような 気がした

脅える存在を 排除するかのように
飛び跳ねていれば 笑って いられた

誰かの悪口も 聞こえな ....
黒いアイリスは
男の喪に服した女だ

ジョージア・オキーフが描いた
花の絵は
どれも女の顔に見える
花が儚く美しいという概念は
もしかしたら幻想なのではないか
もうこれ以上
対象に接 ....
新しい言葉を綴ることは
新しい土地を開墾するように
そこへ種を蒔くように描いてゆくこと

自由を描くことは難しい
だれも自由の光をみたことがないから
それでも描こうとする

愛を定義す ....
コレクションガラスビーズと君の息


雪の朝椿ぱさりと飛翔する


ふゆのよる星を逃がさずこおるみち


炭燃える唇染めたり溶かしたり


君が来る手紙が谷に落ちてゆく

 ....
聞き耳を立てていた

厳しい言葉の迫る気配に
責める言葉の
迫る気配に

聞き耳を立てて
いた



口裏を合わせていた

障りのない言葉をえらび取り
結論付けない ....
僕が読む僕の詩
君が読む君の詩
僕が読む君の詩
君が読む僕の詩

同じ詩はひとつもない
同じ気分もひとつもない
過去は戻らない
明日は今日やって来ない

狭い世界
井の中 ....
返答の無いアドレスと番号を、消去する。

その行為はまるで

ボタンを押すというよりも

深い穴の井戸に

ふたをするのと同じ・・・。

反応が無いということで

何に対し/誰 ....
なくした財布の、行方を思う。。。

キャッシュカードは無事か?

免許証は?保険証は?

自分を表す記号の行方を

ただただ思う・・・・。

小銭入れの十円玉と

百円玉・五円 ....
きさらづあたりの
すずもりたけやぶ
南無阿弥陀仏の
證成寺(しようじやうじ)

しよつしよつしよつじやうじ
しようじやうじの庭(には)は
たぬきあつまり はらつづみ
つきよに 和尚(を ....
背骨を震わせる雨は上がり、軒下の猫は子を舐める。

都市に流れる網の目の血管は下に、下に。皮膚を潜っ
て深く。地球は幾度、吐こうとする。

閉ざされた、大勢の人が並んで歩くノイズの重なりは
 ....
ふしぎな生きものが対岸におりましたので
わたしは急いで脱ぎました

なるべく丁寧に急いで
わたしはあらわになりました


しかしながら
湯茶の用意が整っておらず
先方はやや訝しげ ....
そいつは道の真ん中に転がっていた
雨の日だった
合羽を着て自転車を漕いでいたので
私の視界は悪い
遠くから黒い物体が見えた時
壊れた黒い雨傘だと思った
もっと近づくと
黒い長靴に見えた
 ....
見得ないモノなんて 信じなくったって イイ
そう 教えられて来た

例えば 甘い 言葉ならば
幾重にも 話術をかけて

そう

ケーキの上に 乗っかった
あまーい あまー ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
【_私の履歴書_】- 泡沫恋歌自由詩37*14-2-21
うわのそらに溺れる- 北大路京 ...自由詩514-2-21
鏨(たがね)を打ち込む- ……とあ ...自由詩14*14-2-21
父は今日- Lucy自由詩22+*14-2-20
ししゃも- 服部 剛自由詩21*14-2-20
選手宣誓ー或るスキーヤーの涙ー- 服部 剛自由詩6*14-2-20
雪月花- 千波 一 ...自由詩714-2-20
ノーマルヒル- 村田 活 ...自由詩4*14-2-20
【紫】ほかならぬむらさき_オムニバス三編- るるりら自由詩24*14-2-20
筋肉賛歌- 片野晃司自由詩714-2-20
扉を開ける- 佐藤伊織自由詩514-2-18
じゃがいも- はるな自由詩12+14-2-15
【霧】生国______- るるりら自由詩20*14-2-12
節分_in_アメリカ- 夏美かを ...自由詩26*14-2-4
蛙の快楽- ……とあ ...自由詩14+*14-2-4
バベル- 自由詩27+14-2-4
詩人像の転換- 葉leaf散文(批評 ...314-2-4
あの頃- 藤鈴呼自由詩3*14-2-2
閉経- そらの珊 ...自由詩24+*14-1-30
新しいノート- 梅昆布茶自由詩27+14-1-30
かわいいおまんじゅう- ふるる川柳6*14-1-29
放射冷却- 千波 一 ...自由詩614-1-29
最小必要限度無限大- ichirou自由詩3*14-1-29
無音- 梓ゆい自由詩114-1-29
胃潰瘍- 梓ゆい自由詩214-1-29
たぬきばやしがきこえる- ……とあ ...自由詩6*14-1-29
「彼岸の鐘」- 宇野康平自由詩3+14-1-29
対岸- 千波 一 ...自由詩614-1-29
【_どこへ_いった?_】- 泡沫恋歌自由詩20*14-1-29
チョコレートケーキで乾杯- 藤鈴呼自由詩2*14-1-29

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