昭和44年3月、神田駿河台の山の上ホテルの一室で父とふたり。曇った窓ガラスを掌でふくと、夕闇の学生街に純白の椿が空から無数に落ちてきた。近所の氷室さんちのおじいさんが丹精込めた庭に咲く八重の、あの白い .... 春の雨になりたい

あたし 春の雨になりたい



あなたはすぐに 春の砂にまとわれて
その嵐の中に {ルビ荒=すさ}ぼうと揺する

小さなオルゴールの中に
こころ を 忘れてきた ....
 木に登った 景色が見えた
 君の街並が海岸に沿って大きく左にカーブしている
 僕は時間のことを忘れた すると本当にこの世界から時間は無くなっていった
 ここの眺めは最高だ まだ昼ご飯を食べてな ....
 センター試験 前日の夜
 僕は父と試験会場である医大を下見しにやって来た
 白の車をただっ広い駐車場に止めると車から降りた
 大学内は無人だった
 外は手足顔が凍てつくほど寒く 僕は思わずフ ....
ぶわっと大きな風が吹き
桜のはなびら宙に舞う
私の中を
ぐるぐる回って
静かに地面に落ちていく

私は走る
皆に抜かされないように
ひたすら走る
走る
淡いピンク色のグラウンド
 ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる



季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
ひとつぶの声・ひとつぶの水
{引用=
祈る人は知る
自らの歌が
ひとつぶの声であることを
自らの祈りが
ひとつぶの声であることを

橋を離れ
その下の暗黒を離れ
いまや大河の様 ....
犬小屋の中でお父さんとお母さんが
おままごとをしています
春の陽が一番良く当たるお庭で
せまいね、と言いながら
それでもきれいな身なりで
プラスチックの食器を並べていきます
  きょう、の ....
飛ぶ鳥から抜け落ちた羽根が
地面に墜落する運命に気付かず
いつまでも空を飛び続けていることがある
これを残鳥という

猟銃で撃たれた鳥の
飛び散った大量の羽根が
そのまま鳥の形をして飛び ....
君に対する僕の心は

ほとんど愛で


蝋燭たてとか

傘たてとか


ドアノブとか

靴べらとか


そういうものに

僕はなりたい


 ....
ロマンチックなんていらねーよ

ささやかな秘密もいらないんだよ

全貌を早く耳打ちしてくれよ

パズルのピースの上に俺は立っているんだ

あんたが完成されてくれ
 ....
灰いろの街の つましい
空をめくり やせた銀の鳥を
調達する 雨の歌の
粉をまぶし 油であげて
こりこり 食べる
朝刊から目を離さずに
気の無い空返事
それは。あなたの得意技

わたしが何を考えていようとも
お構いなし

空気のような存在

親しすぎる関係の果てに待ち受けるのは
そんな空虚さだ ....
6時15分
目覚まし時計が鳴る
たぶんあの世とこの世の間にいるみたいな顔をして煙草を吸う
それから秒針がちかちか聞こえだす
引力に引かれるように瞬速で作業着に着替える
タオルと靴下を2セッ ....
駅弁だ!
駅弁を買っているんだ!
恋に敗れた俺は今、駅弁を買っているんだ
一つの恋という列車が終点に着いて、俺はこれから
新たな恋へ乗り継ぎする
その前に駅弁を買っているんだ!
駅弁を食っ ....
保育園の窓の外では
世界童話全集が産卵をしています
孵化したばかりの童話は
粘液で汚れしかも鋭い牙があるので
先生たちがきれいに拭いて
牙を一本一本抜いていくのです
暴れて困るものはダンボ ....
らあらあとぱすた茹でたる貴方見て 愛してるよ と言ってみただけ
 
送信ボタン押せずに今日が過ぎて行く保存メールが一件増える
 
大好き と言われ抱かれているけれど 愛している とは言わぬ二の ....
遠くで呼んでいる
{引用=
また
もうひとつの朝
祈る人は いつものように目醒める
いつものような 川の歌
いつものような 川沿いの歩行
いつものように
滞りなく
祈る人の一 ....
じいちゃんがさつまいもをくれた
出掛け先のスーパーから買ってきたらしい
袋にゴソッと入っているそれは
確かな温もりがあって
半分に割ってみたら
ホクホクのアツアツが
つまっていた
 
 ....
夕暮れ誰かの輪回しが
カラカラカラと泣いていた
知らない少女の影法師
カラカラカラと泣いていた
だあれもいない街の角
人恋しいと泣いていた

街の広場の古井戸が
カラカラカラと泣いてい ....
また忘れそうになる

朝のほんのわずかな時間だけ、星が猛スピードで動く

いつ死んでしまってもおかしくない

でも、いま死んでもいいと思える朝方の奇跡が起こる

落っこちるのならこちら ....
今日の日の出の時間は五時二十七分
これから毎日一分毎に日の出の時間が早まって一月後には日の出の時間が五時になる。それでも一番早起きのお日さまは四時二十五分、それより早起きする事は無い。一般的に昼 ....
さよならというやまいを
君と生きよう
ふたりが
気付かない夕暮れを

公園の遊具は
動物の姿で
昨日もそこにあり
明日も

なんてゆるやかなさくらの空

さよならというやまいを ....
四月の一日から友人夫婦の修羅場に呼び出され
よくわからないままに俺も怒鳴ったり泣いたりして
俺なんてなんの関係もないのにね

かえりみちで
ずいぶん簡単なことで幸せになってしまえるひとた ....
私は小鳥。

ぴぴぴ
ちちち

天使のような歌声だと
よく言われるけれど
妖精のような小さな体だと
よく言われるけれど

私、本当は悪魔なのよ。
「かわいい」だなんて言われ飽きた ....
      恥を忍んで、昔書いた連作詩篇を投稿しようと思いま
      す。一九九七年から翌九八年にかけて、「歌う川」と
      いう総題のもとに十七篇の詩を書きました。今回はそ
     ....
脳梗塞と宣されて頭を下げることと
発見されなかった腫瘍に訴訟を起こすことに貫く
この世界に適合していたという家族たちのあくまで肯定的な評価は
死ですら自ら取り寄せなければならないという
自立の ....
フ と目の前に綿毛が飛んでいたので

ク とつかまえて離して見ると

それはチカリと赤い血の玉で

もう一度握ってはなすと

{ルビ捩=よじ}れてつぶれて菱形のいのちに変わった ....
亡霊を手に指揮棒を振るう老人の
ずれ落ちた眼鏡に映っていた。
風が鳥を離さないと同様に、鳥もまた
風から離れようとしなかった。
「魂のつがい」と題された音楽が聞こえた。
風の鳴らすシンバルと ....
 その少年は、少女で動いていた。
 少年のどこかに少女が埋めこまれている。
 少年はときどき吐き気がする。
 そういうとき、たいていそれは夜だけれど、砂浜を思い描く。すると、少女が少年の砂浜を歩 ....
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