とにかく
はしりだせばいいんだ
ってことはわかっている
さいしょのいっぽ
がむずかしいんだ
みにしみている
くっしんうんどうは
もうにじゅっかいもやった
なんとか
くだりのさかみ .... 
ずっとずっと子どもたちが熱
ついでに私も熱
私は時々暴れるから
お医者さんで
押さえられなくなったら飲んでね
とお薬をもらいました
お昼は脳を活発にするお薬を飲んで
夜は脳を休ま .... 
オレンジ色の猫
今街角にしっぽが消えた
夕暮れに
月が雲を見下ろして
雲が街を見下ろして
街は猫を探さない
オレンジ色の猫
誰も探さないその猫に
 .... 
ぼくは正義の味方だから
曲がりなりにも
今日できることは
今日やっておこう
と
向かいの大家さん宅に新聞を借りに行く
朝ごはんは?すませてきました
と
いつもの嘘をついて
縁 .... 
クラクションを鳴らせばきっと終わりだねさようならって何回言えた?
好きなものリストは危険 親指の少ない俺が魅かれてく首
「花冠」という名の車命遠くヘッドライトは壊れたままだ .... 
嗚呼、僕の恋人よ
働いて働いて働いて
僕のために
僕のためだけに
もっと働いて
できればデスクワークじゃなく
汗水流して
重い荷物を運搬するような
ツルハシで地面に穴をあけるような
 .... 
来る日も来る日も
欲しいだけの陽は降り注ぎ
水の恵みも充分受けてはゐたが
代はり映えのしない日々に
嫌気がさして
葉叢のなかの一枚が
ある日 ひらりと裏返つた
―決して気紛れでは .... 
あらしの余波だろうか
はたまた 世間のしがらみだろうか
木枯らしが 落ち葉といっしょに
チリと涙 芥とおもいまで まきあげて
足早に歩いていくコートをくすぐっていった
そして 今 スコー .... 
月が沈む
      呼吸を止めて惰性で滑り降りる
      しんとした
      虚空の直中
      廃墟の階段で
      草が揺れる
      
      .... 
  日を浴びて
  自分に水をやるように
  やがて枯れたら口を閉じ
  はるまで言葉を休めるように
  
   
すべてを失っても俺はピアノなのだ
鉛筆は言い出した
プラスチックの筆箱の中
いくらなだめても聞く耳を持たない
仕方なく握るところを鍵盤に見立てて
弾く真似をしてみた
もちろん音が出るわ .... 
馴染んでしまったと思う花には
堅い慰めもない
つりあう服の重さを測る腕から
立ち上がる枝先の葉は汚れて
歯軋りのような雨の終点
秋の朝にも 湿った壁が連なっている
戻った薄い光の束が落 .... 
春まだ浅い朝に摘んできた
ルビー色の甘酸っぱい宝石
籠をいっぱいにするより先に
ちっちゃな指と口の周りを
真っ赤にしてた
そんな美味しい歓声に
真っ白な砂糖をたっぷりかぶせて
ホウロ .... 
針水晶の雨に包まれゴスペル歌う 
目の前の風邪薬を
全部飲んでしまいたい
衝動にかられてしまったので
空を見上げました
ここは一晩中仄かに
白明るくて星のひとつも
見えやしない
虫の声なんかしないし
遠くに川の .... 
つらいきもちになったとき
きまって
おおきなふりこ
をおもいうかべる
そらまでとどきそうな
きょだいなふりこ
ゆっくりと
ただゆれているだけのように
みえるけれど
とおいかなたに .... 
私は
花びらが一枚足りないの
みんなは五枚なんだ
でもね
  一 
ずっと前、
私は小さな種でした
ほんとに小さくて、軽くて、やわらかかった
あの土と、この風が私を育て .... 
先日深夜のテレビでロックフェスのLIVEを観た
したら何かみんな長髪でグラサンかけて皮のパンツはいてて
ギタリストがソロの時格好つけつつ照れてた
ロックはほとんどもう俺をドキドキさせてくれない
 .... 
雨上がり
{ルビ水溜=みずたま}りには 
哀しい顔が浮かんでる 
ひょい と飛び越え 
曇り空の一日に向かって彼はゆく 
{ルビ仄=ほの}かな{ルビ灯=あか}りを 人の{ルビ間=あい .... 
雨の日は車走らせ
竹崎の港近くに
暮らす人に
会いに行きたい
有明の海の色が
変わる岬を教えてくれた人
晴れ渡る野上海岸
目をほそめ沖を見詰めて
夢を 夢を 夢を
語った
 .... 
夕暮れの町をポストに向かって歩いてく
人気ない目抜き通りへの道
工場の白い壁も
道路の白線も
うっすらと しぼったオレンジの色
何でもないのに突然
泣きたくなって
駆けだして
海へ .... 
銀色の風が
大地を鳴らしながら
通り過ぎてゆく
その音は
眠っていた自分の何かを
覚まさせ
体内を駆け巡る
灰色の雲が
大空を渡りながら
広がってゆく
その塊は
横た .... 
真夜中
雨の音で目覚めた
まだ家にはカーテンがないから 
部屋の中は 
街灯のオレンジ色で
隣に寝ているはずのおまえが
窓際に立って
そとを見ている
おまえのい .... 
わたしたちの
夜の
「わたしたちは
 夜のアスファルトに
 アルコールの溜息から順に
 音も立てずに
 わたしたちを、落としている」
を
体中で受け取って故意に .... 
毬栗が黄緑色に膨らんで
山の稜線を彩つてゐる
棘の一本一本は張りつめても
刺々しさはなく
光と風と大気に丸く包み込まれて
和んでさへゐる
さうしてなほも .... 
秋の日のひかりあかるき白肌の若木のごとき人のわらへり 
なまえもしらない
ちいさな
むらさきいろのはな
あしをとめて
そっとてをのばしてみる
はなしかけてみる
いそがしそうなあしおとが
ひっきりなしに
とおりすぎていく
ずかんをみれば .... 
九州のかくし財産ばってんのお{ルビ米=よね}婆さまぴらっと逝けり 
あいだ
について
よくかんがえる
わたしとだれかのあいだ
なりたいこととげんじつのあいだ
ぎゅっと
ねんどをおしこんで
かたをとることができたら
きっと
なんだかきみょうなかたち .... 
 もはやこれで最後というべきか、立ち並ぶ中古車。
看板のネオン。目に映るドブ川の泡。と、
おそらく強盗が捨てたジュークボックス。
はじけた泡から聞こえる、途切れ途切れのブルース。
片腕のアコー .... 
 
 
 
 
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