練菓子のなかの干あんずを探るように
俺はストゥーパのなかを探ってみた

縞瑪瑙がひとつ布に包まれてぽつんとあった
そんなものだそんなものなのだと
以前誰かに聞かされてはいたのだけれど
俺は ....
明日がある
と貴方が言ったので
私はすこしだけ淋しかった

いつだっけ
明日がどこにあるの
と尋ねたら
東北東
と答えたのよね
貴方は

どこからくるのか知らないけれど
明日は ....
月の夜
わたしは犬と話す
板張りの部屋で
椅子に座り
大きな犬の頭を撫でながら
大きな窓から差し込む
月の光は優しく
犬とわたしを包む
指先に犬の体温
もくもくの白さに
うるさいぐらいに蝉時雨
目をつぶれば 見えてくる
オシロイバナで化粧した
チョコレート色した 天使達



         とうみつの甘さ
         シャ ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった


わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ

美しい光

いつつ
むっつ

美しい光

けれどもそこ ....
仕事中の脳味噌はとてもヒマだ。
だからビスを締めながらあたしは考える。

一日に24時間あるわけで、A勤かB勤の場合は8時間拘束、
AB勤は16時間拘束、C勤かD勤のときは12時間拘束。
通 ....
ある日、仕事を終えて
更衣室のロッカーを開くと
取り付けの小さい鏡の下に
お守りのようにぶらさげていた
5センチのくまのプーさんが姿を消していた

プーさんは
うまくいった日も
へまを ....
あっというま夜が暮れた
走り出したい

すべて断ち切って
踏みしめる大地も
漂う風も
いらない
夜が
あれば
みどりに腐った冷酷非情の都市よ
海底に眠り死を死んでいるルルイエよ
今こそ浮上せよ

われら人類の歴史は今日
終わりの序曲を奏ではじめる
狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードが
ネクロ ....
見上げている空にも
今ごろ風が吹いているのでしょうか
雲がゆっくりと
あるいは形を変えて

あのやがては消えていくものたちのように
わたしももっと強くなりたい
俺は「ありがとう」と言った。

朝起きてからずっと目の焦点が合わなくて俺は窓を開けて空は高曇りで
ノーテンキに雀が鳴いていて医者に電話をかけたら予約がいっぱいでど
うしてくれるんだ何か起きたら ....
燦々sunとおひさまサン
散々な夏とならぬよに

なつ なつ なつ なつ いけサマー

きサマとおれサマ どなたサマー

ゲコ ゲコ ゲコ かえるサマー

いるいるいるいる いるかサ ....
なぜ
こんなに
落ち着くのか

このグラデーションが
この雰囲気が

僕の心を優しくつかみ
一時の安楽に
導く
左からきた電車の窓に
私たちの姿が
映る

映る

あなたと
私との距離は

そうか
こんなふうなのか

それは
なんだかとても自然な
風景のようで

まるで
あなた ....
あたりまえだ

タイマー設定してたのだから

だが羽根がとまったとき

そこにわずかに情感が生まれた

羽根はぴたりととまらずあいまいにゆらりととまった

一般的に動いているものが ....
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした

花はバラ色
空は空色
木々は緑

図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
 ....
歌いたい歌はもう歌われた歌ばかり




聞こえないものを聞き取る見えぬ耳

自民党巨人牛肉米国貴様

手と足をもいでもできるウォーゲーム

憲法にない奉公で自衛隊

台風よ ....
十代のころ
風呂で毎日肌を磨いていた
それは
白蛇のようになまめかしく
女というものは
綺麗であるべきもの
愛されるために生きるもの
それだけでよかった

なのに
酷いのですよ
 ....
全ての人に大切な愛だって
手に入らないこともあるじゃない
適当に感動して一日を潰した私
何もないのに無理やり泣いて
声が枯れたら
また日が暮れた


同じように過ぎていく時は
数 ....
ふりつもる夜の殻が
ふみしめるたび
かわいた音を立てて
砕ける
名前を思い出せない花の香りが
密度を増した湿度となって呼吸を
奪う
夜の果てにたどりつく
手っ取り早い方法は
眠りなの ....
駅を出たら
あれあれ
困ったぞ
駅前のコーヒーショップは目一杯
こりゃダメだ
ハイヒール蹴立てて
走れ走れ
歩いて8分の道のり
すぐにバテました
なんでこんなことしちゃったんだろうな ....
夏の暑さがまっすぐに降り注いでくる。この
暑苦しさの中ですべてを腐敗させて、振り返
ることのない心を育ててゆく。流れる汗の臭
いとともに、空気が汚れてゆく。この世の混
沌を測るものがないのなら ....
夏にゆうれいがいなくなってから
夜はとても蒸し暑くなって
何だか過ごし辛くなった

ゆうれいを捜しに
ときどきぼくらは心霊スポットに出掛けるけれども
工事中にたくさん人の死んだトンネルにも ....
カタカタと軋んだ音をたてて 五線譜の上に
吐き出されていくのは あの夏のことでした

紙杓子で掬ったあかい金魚を手放したのは僕

とっぷりと暮れた空にあめが降りつづいている
何処かに傘を忘 ....
蹴った石の音が
朽ちながら
からから、石を乾かしてゆく
腕に抱くものが欠けている
そっと、歩行の動作に紛れて探れば探るほど
空間は何処か冷静だ


石は乾き果て
気が付けば音も、 ....
第一章 権利

 君をみたす酸素分子はさだめられた方角を見失うとき、霧となる。池のおもてで朝日が砕かれてゆくのを、君は燃える指でなぞる。どこまでが記憶なのだろうかと、問うこともしない。背後にあいた ....
髪の乱れを気になさるな。
血濡れた衣も気になさるな。
そなたは美しゅうござります。

この身はすでに腐り果て
ところどころに穴ひらき
覗く腐肉に蛆が這い。
しかあれど
まなこはかっと見 ....
スペースシャトルの打ち上げが映っていた
アトムや鉄人28号の時代から ずいぶん経っているのに
いまどきロケット噴射とは なんて野蛮なイメージだろう
ぼくは未来からきた人のように かんがいぶかく
 ....
きれいにいきること
ゆめをひきつけること
赤い靴とおどりつづけること


 と
  こ
   と
    こ
     と・
       ・
        ・
      ....
あくびと同時に何か言った

瞬間何をいったか解らなかったが

「死ね」

と言っていた

自分に向かってだ

死が入ってきた

いかん



左目の少しうえの

 ....
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