増水の ために

すっかり 荒れはてて しまった

堤の かよって ゆく なかを

猫じゃらしを 噛み ながら

草ひばりの 音が ほそぼそと つづく

すすき野原を  ....
いつか
山の道をとぼとぼと
登ってゆく人影があった

あれは河童じゃ

そう言った父の
背中からもくもくと雲が立っていた

河童は
夏が終わると山へ帰る
そして勢子になったそうな ....
八月はしづかに
葉先からくれないに燃え
白い節くれだった骨になる
そのつつましさの中に
芽吹こうとする強い意志を隠しもっている
漂流する鳥たちは
わずかの間のよすがを求め
自らの骨のゆめ ....
 炭 酸 ペ ッ ト ボ ト ル の 蓋 を あ け れ ば





 名 前 の な い 星 た ち が 突 然 あ ら わ れ て





 天 ....
誰かが言った
「世界は蜜でみたされる」

私は夢見た
「世界がレモン水に沈んでる」

世界は今
一体何で満たされているの?

私は蜜より レモン水の方がいい
満たされるよりも
沈 ....
 むかし
 海に砂糖を入れたら甘くなるかという事を
 思ったもんだ
 発展した技術屋かなんかが
 科学的に
 科学的に証明したのでつまらない
 詩人が持つことを許されたピースが
 また1 ....
まだ誰も手入れをしていない花壇に芽生えた
幼いクローバーの透き通る葉
働き終えた男たちが
その角ばった手で
その角ばった心で
その柔らかな葉を千切り捨てて
去っていった
二度と見返ること ....
買い物帰り
荷物を抱えて歩く坂道
アスファルトの照り返しに
ため息をつきながら
歩いていると

先の方に
とてもよく似た後ろ姿があった
ひとり
ふたり
足の運びも同じで

似て ....
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く


九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
 
 
寝台車の匂いが
掌にする
腕はまだ
距離を測っている
残されたものを集めると
骨の近く
きしきしして
初めて靴を買ってもらったときの
恥ずかしい喜びしか、もう
いらない
 ....
我ガ大日本帝国ハ戦争ヲ永久ニ放棄スル。
国ノ交戦権ハ、コレヲ認メナイ。
他国ニヨル攻撃ニ対シ、武力ヲ以テ当タル行為ハ全テ禁ズル。
ソレニ依ル国土ノ喪失、又ハ国民ノ生命ノ喪失ヲ、国民ハ甘受セヨ。
 ....
ため息の瞬間は
一度落として再浮上させる
ギアチェンジのようだ
うまくいかない
何度もギアを入れ直す
あなたは
うまくギアが入らないねと
やさしく言う
うまくギアが入ると
ギアが入っ ....

コウちゃんはプチ家出中
あるじのいない暗い部屋には
ただ
散乱するユニフォーム

ことの起こりはこうだ
高校生のお弁当タイム
コウちゃんは
意気揚々と開いたらしい
すると

 ....
私たち 午後には散文を開いてエレクトロニカにする どうしても、というなら黒人霊歌でもいいわ だけど、こうして眼を閉じるわね 表通りのニレの木に(嗚呼、もうこんな時間)絹のつやをした鴉が居る 美しい眼を .... うれしかったこと

悲しかったこと

楽しかったこと

辛かったこと

今日の箱を
棚の奥にしまい込んでくれる
夜の暗闇

どこに置いたかなんて
明日になれば
きっと
 ....
老廃物と手をつなぐ
せつないから
死んでるようだ
見たものが
足元で花になり
ピアスでしたね
初めてのプレゼントは
初めてでしたね
はがれていったのも
見送ることは時々
見送ら ....
窮屈そうな
言葉たちをほどいて
その向こうの空を見る

いつかのため息もほどいて
その向こうの青空を見る




さよならさえも言えない
あの人は
何と戦っていると言うんだろう ....
滝壺に棲むさかなの家は
とても深いところにある
若者たちが浮遊している滝の上流
老人たちが沈黙している滝の下流
ちょうどその真ん中にさかなは棲んでいる
若者にも老人にもなれずに
さかなはい ....
授業の間、生徒がノートをとりつづけるだけの
つまらない教室の窓の向こうにS山があって
半世紀かけて、削りとったそこには
これまたつまらない工場と採掘現場の跡が残る

どんよりとした曇り空。ワ ....
{引用=



空を
ただよい
流されていく
やわらかな白を
ばら色に染めながら
闇に墜ちていった日

あなたは秋の夜になった




 星座があなたの中をさまよい
 ....
炎昼を赤子の声で鳴く蝉や

誘蛾灯十枚の爪かかりけり

泳ぎきし手足を埋めて砂の城

真夜中の汗つま先へ到達す

扇風機ふいに大きく頷けり

蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
わたしは新参者だから
とにかくにっこりと会釈する
「こんにちは」
と声をかける
するとにっこり
が返ってくる
けれどもそれは
返ってくるばかりで
声をかけるのはいつもわたし

それ ....
油蝉の断末魔に
ふりむくと
老婆がひとり
まどろんでいた
石段にひろげられた紙の上に
硬貨をひとつ
投げてやった
老婆は顔を上げると
おれの目を
じっと見つめた

あくる日
老 ....
青くてすごく激しい魚を
まな板に乗せてばちんと
首を刎ねた
何の通告もなしに
首も胴体も捨てた
血の匂いがあたりに漂って
ハイターをぶちまけた
心残りは無かった
安美錦
アミニズム
あれはクビライ・ハンの来襲だったのか
心技体
やおろずの神々に祈りを捧げ
丸い土俵の上にあるものを
観音菩薩。弁天様。
ご利益いかばかりであったとしても
女人禁制
 ....
朝のように 夜のように
当たり前に 僕はいよう

ワビのように サビのように
心に沁みて いたいよう

空のように 風のように
当たり前に 僕はいよう

眠りの中に落ちていく ....
砂丘に洗濯機
ウィリーは素朴
上手に筋肉
そのまま届きそうになり
春子、帰宅
ジャングルジムから
人の匂い
道路は名前
生きることは
重力の淋しい過程である
という前提にたつと
 ....
保険に入ったのですね。では、行き止まりは危うくないとでも云うのですか。

あなたは、諸島の話を聞きたがる。前ばかり向いているから。条件を覚えていない。
この半分が、電極のあわいで踊っている かた ....
景色が歩いている
わたしではなく
まるで時のように
目をつむれば
色をうしなって
古い景色が歩いてくる
錯覚していた
わたしはこの世界を
歩いてなどいなかったのだ
異なる温度、異なる
基準、で。



噛み合わないままの送信箱の
中の、哀しい記号たち。




今日も行き場を失くして、
スプートニクの遥か上

不思議な磁力 ....
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