{ルビ烏=からす}と{ルビ鳩=はと}は向き合い
静止したまま じっと {ルビ睨=にら}み合っていた

空から舞い降りた一羽の白鳥
両者の間に立ち{ルビ嘴=くちばし}を天に向け
広げた翼はそれ ....


昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた

「 おいしいかい?
  結婚してみて、どうよ・・・? 」

と買ってきたコンビ ....
{引用=赤い木の実の瞳から
流れる涙は止まりませんでした}


身体の悪い妹に
この冬はどうにも寒すぎて
コンコン、コンコンと
咳を繰り返すたびに
雪が降り積もります

それでも妹 ....
「港は蒸気に包まれているよ
倉庫番の男はカモメに餌をやってるし
横縞シャツの丸太腕の男達は
朝から晩までせわしなく働いてくれる
一日中海の見えるベンチに坐り続ける老人は
二十年前に、船で出た ....
大人だってたまには
思いっきりお菓子を買いまくりたい
大人のお菓子屋さんには
ちゃんとグリコのキャラメルだってある

大人のグリコのキャラメルには
おまけに
ひとつだけ詩がついてくる
 ....
いっぴきのむしけら

どこからまよいこんだのか
へやのなかをあるいている

へんおんどうぶつのおまえだから
まふゆのさむさにうごきもにぶい

かんたんにつかまえて
ちょっとち ....
チェジはかわいい
あたしたちの街の中では世界一の女ということになっている
かわいいの次元を越えた、とマイカは言い
スヌーピーの鼻をへし折るかわいさ、とハイリは言った


チェジの腕はいつも ....
たとえば
カーテン越しの陽だまりに
できるだけぽつんと
たよりなく座ってみる

時計の針の
こちこちという音だけが
胸にひびくように
明るみの中で目をとじる

いつの日かお ....
見たことのある大人の
さらりとしたもうお帰りなさいの言葉が
肌の羞恥で
ぽた、
と、密かに融けた夕方5時


ええ
子供はわざと赤
のち、黒でした、その速度を把握でき ....
一段と冷え込む夜こそは
君のその名に相応しい

張りつめた空気
静かに降り注ぐ光に
映し出される{ルビ現実=オモテ}

打ち放った声
遙か彼方に吸い込まれ
暗く広がる{ルビ現実=ウラ ....
学校には開けることのできない
扉がありました
旧校舎の階段の裏のあたり
七つの南京錠のかけられた扉でした
錠のひとつひとつに一匹の蜘蛛が巣をかけていて
人の手を遠ざけて 日曜日になると
し ....
詐称猫は今日も星の名を騙る

彼女はあの有名な

『賭博猫』とも友達だったが

いつも騙されてはひどい目にあっている。

彼女は僕と話すときは

不思議なものを見るような目で
 ....
最初に巨大なテーブルが在つた。
テーブルこそは原初の者である。

テーブルの一辺は三千{ルビ阿僧祇=あそうぎ}四千{ルビ阿僧祇=あそうぎ}であつて、
其の対角線は五千{ルビ阿僧祇=あそうぎ}、 ....
アライグマに石鹸をわたしたら
小さな手をちょこちょこ動かして
とても楽しそうにしていた

まるまるとした石鹸は
みるみるうちに小さくなり
無数の泡だけを残して
アライグマの視 ....
・友人に朗読してもらったある言葉の声紋を録音し、砂丘に転写する。

・注射器を用い、採血の要領で言葉を採取する。採取した言葉は試験紙に浸し、色の変化を見る。

・マンガの吹き出しで、使えそうな ....
・知らない人にとりあえず「桜庭くん」という名前を付けておく

・今持っている財布からあるだけ硬貨を出し、製造年順に並べる。

・「異人館」と書かれた建物に誰がいるか想像する

・花瓶を壊し ....
・手頃な袋に「胃袋」と名前をつけてみる。

・「浮遊」という生物に鎖をつなげて飼い主になってみる

・愛猫のあくびの回数を数えるためだけの一日をつくっておく

・友人に会う時の挨拶を「によ ....
きみは船長で
ぼくは車掌だった
二人でずっと
夕日のようなものを見ていたけれど
夕日だったのは
きっと僕たちにちがいなかった
海にも線路にも続くことのない
ロープでできた乗り物を最初に降 ....
腹を空かした豚が
がつがつと餌を食べていた
すると私は嬉しくなる
砂利を、固い砂利を食わしてあげたい
実際のところ奴等は
口から火花をきれいに飛ばすのだ
そして私は砂利を拾い集めている
 ....
東京の郊外住宅地のとある公園のブランコに座っていると、ひとりの娘が走ってくる。顔つきが白く凍っている。「どうしたの」と声をかける。「追われているの」といって振り向いて娘は一瞬のうちに助けを求める期待の .... 呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった

呑んだくれた ....
夜になると
考え事が増えて
朝も考えているけど
いつでも
今から
考えることができる
たくさんの雪の
物憂げなテレビニュースに押されて
僕は
やらなくちゃいけないことを
考える
 ....
  

もう自分の場所に
やすらぎがあるので
という理由で
前に進むことを停めた友へ


アガー整骨院は
久茂地交差点の近くにある
それは痛いという意味なので
痛くなったらおいで ....
空が晴れてたらそれでサイコー
自転車 ペダル 
甲州街道沿いを走るうー

ヒュー
冷たい風が
懐かしいぜ
排気ガスのにおい

おい!
どんどん行こー
どんどんウィコー

線路 ....
引き出しのなかでちいさな人が読むおおきな人のつくる天体





鱗粉を撒く蝶々を姉が追いその鱗粉を舐める妹


珈琲の苦さも世界のおしまいもかみさまのサディスムだからごめん ....
隣のクラスの美少女が
休み時間に
ざわつくしじまのなか
窓際のぼくの席までやってきて
ぼくの手をにぎり
これが
永遠のかたっぱしよ
と微笑んだ

美少女はそのまま
開け放した教室の ....
鉄橋の側で三十分間立っていた。
三十分前は十二時だった。三十年前も。
三十年前はなかった鉄骨がピーンと伸びていた。
甲斐性のない俺の影は砂鉄のように交わった。
磁力に音はなかった。音はなかった ....
何かをめざして
のそりのそりと
地面をはいつくばり
首を寝違えでもしたのか
大空を見上げるそぶりを
見せることもなく
のしりのしりと
あるときはあぶら汗をにじませながら
あるときはうれ ....
「終わりなき日常」という言葉。ぼくが東京で学生をしていた
10年ほど前によく聞いた言葉。
ゆうべ見た映画の中で貧しさの中で生きるママさんが
生きてるってことが夢みたいなの
なにが現実かもうわか ....
白百合の季節ではないから
梅の枝を切ってきた
山の梅だから
きっと白い花が咲くだろう

ほんとのことをいえば
白い花はあんまり好きじゃない
私が好きな花は深紅の彼岸花で
それも墓地やな ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
翼を広げた白鳥- 服部 剛自由詩7*06-1-17
「結婚」についての考察- 服部 剛自由詩15*06-1-17
雪うさぎ- ベンジャ ...自由詩6*06-1-17
「アトランティス」- プテラノ ...自由詩3*06-1-17
大人のお菓子屋さん- ZUZU自由詩506-1-16
いっぴきのむしけら- ベンジャ ...自由詩4*06-1-16
チェジ- ピッピ未詩・独白1006-1-16
Lesson- 落合朱美自由詩40*06-1-15
融ける帰路- A道化自由詩10*06-1-15
弓張り月- 朱華自由詩5*06-1-15
学校- 刑部憲暁自由詩206-1-15
詐称猫- 昏(ヤッ ...携帯写真+ ...7*06-1-15
蓋天宣夜- 佐々宝砂自由詩306-1-15
アライグマと石鹸- ベンジャ ...自由詩11*06-1-14
賢クナラナイ頭ノ使ヒ方(其ノ五)- ななひと自由詩106-1-14
賢クナラナイ頭ノ使ヒ方(其ノ四)- ななひと自由詩206-1-14
賢クナラナイ頭ノ使ヒ方(其ノ三)- ななひと自由詩406-1-14
乗り物- たもつ自由詩706-1-14
博士の夢- プテラノ ...自由詩1*06-1-14
パリへの逃げ道- 殿岡秀秋自由詩306-1-14
海に出るつもりじゃなかった- 佐々宝砂自由詩17*06-1-13
冬空- 石川和広自由詩6*06-1-13
連音/ほうげんふだ- AB(な ...自由詩806-1-12
あの川のむこうに- 馬場 こ ...自由詩206-1-12
【mix&remix】かみさまのサディスム- ピッピ短歌1006-1-11
永遠のかたっぱし- ZUZU自由詩706-1-11
鉄の- プテラノ ...自由詩4*06-1-10
はいまわり- 七尾きよ ...自由詩2*06-1-10
終わりなき日常- 七尾きよ ...自由詩6*06-1-10
白梅- 佐々宝砂自由詩11*06-1-10

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