重ねあう肌のあたたかさに
見いだそうとするもの
胸の奥に秘めるもの
真新しかったスーツに
シワもめだってきて
某寂無人のかかとに踏まれた
つま先が疼く
こんなはずじゃなかった ....
仕事でヘマをして
渋い顔で始末書を書き
残業の書類の山に囲まれ
気がついたら午前0時
職場のソファーで
目が覚めた日曜日
さえない朝帰りの道
降り出した雨に
傘も ....
扉がある、光がある、ギリシャ風の彫刻の陰で眠る娘の右手には剣
が握りしめられている、見ろ、開け放たれた窓の向こうに広がる暗
い森を、降りしきる雨を、ピアノ線のような銀色の雨を、雨がうる
さいので ....
泳ぐ空どこまで行っても泳ぐ空
水平線こえた世界が知りたくて
木漏れ日よそこに私はおりませぬ
麦藁帽編み目の数の夕まぐれ
思い出に暮らすが我が生きた証
いつの日か小さい緋鯉 ....
果物を持って歩いていこう
どこに歩いていくかは知らない
ポケットに入らないこのでかい果物
手に持って歩こう
どの国から輸入されたのか
どの船に積まれてきたのか
フルーツよ!
....
まだぎらつきはしないけれど
充分に
強烈な熱を発散しはじめている
五月の太陽
日暮れがきて
それはすこしだけかげりはじめて
万緑は
急速に輝きを失ってゆく
気温が下がる
夜の ....
芝桜の花は直径2センチほど
ハート型の花びらが5枚
葉は芝生のようにつんつんとしていて短くて緑色
花の色は濃いピンクや薄いピンクや紫、白、薄い青、など
その背の低い小さな花が
わらわらと ....
数年前に買った銀色の灰皿
他にも試したことはあるけれど
結局またこれに戻ってしまうんだな
吸殻が4本も入ればいっぱい
筆箱は大きいほうがいい
そんなにたくさんのペンを持ち歩くわ ....
パパpapaなんでトトロ
はあーうーってゆうか知ってる?
アウ タ コタン (アイヌ のコトバ)
隣 の 村
はあの世のことを言うけど アウ とは 会
....
あなたの
世界
雨、雲、結晶、ガラス、幽霊、伝説、本、ランプ、鏡、
音楽
畏れ、死、夢見心地でいること、愛を知らないこと、愛を憬れていること、目を閉じること、天、光の筋、ひとり、止まった ....
帰ろうとしたら壊れていた
自転車
サドルが遠く 曲がって
きっと人ごみに
押されたのだろう
かたちあるものは壊れていく
いつから
怖くなくなったんだろう
父の記憶も
それに似 ....
目の前はすべて
煙に覆われていた
幾層も掻き分けた向こうに
握った拳を突き上げた人影が
腕を下ろすとこちらへ歩いて
すうっ と
わたしの内側に入った
*
....
長い間
「 わたしなんて・・・ 」
と{ルビ俯=うつむ}く影を
地に伸ばしていた
ある晴れた日
緑の{ルビ掌=てのひら}をいっせいに振る
背の高いポプラ並木の道で
ふと ....
あまりに天気がよかったので
夫と息子と
公園に散歩にでかけました
そこは臨海公園だったので
たくさんの釣り人が
みどりがかった海に糸を垂らしていました
うれしそうに釣り人を観察して ....
暗がりのなか 痛みを見つめる
舐めとるように
呑みこむように
ひとつの静寂と
ふたつの静寂を
片目は聴く
雨が近づいてくる
羽をひろげ阻む
丘に棲むけだもの
....
たこの入ってない偽物のたこ焼きを
俺たち、食べ続け
成犬になるまで幼犬を
俺たち、育て続け
そのあとはライブハウスで
ヒトデの数を愛と間違え
隣の人に怒られている
ロック、俺たちのロック ....
あわいにたゆたうスポンジ状の光。向かい側では何を喋っていたか。蝶のトケルマデ、またいで、くらんで、主人公たちにルビをあてる。
後ろの正面に泳いでいる黒衣も、また、体制を整えている。寝返りを打つ度の痛 ....
病院の最上階の病室の
眠れぬ夜に少年は
夢で作った絵具で
誰も知らない絵を描く
空は大きなキャンバスだ
ひとりでさびしい少年は
空にたくさんの友達を描きました
父親を知らない少年は
....
目玉磨きは今日も目玉を磨いてる
キュッキュッキュッ
キュッキュッキュッ
黒い目玉に茶色に緑
青い目玉に疲れた赤目
毎日毎日忙しい
夜になると
こっそり瞼を押し上げて
せっせせっ ....
会いたいよ
たとえ君があたしを忘れてても
思い出したくない過去にされてても
最近ね、すっごく君を思い出すんだ
話なんかろくにしたこともなかったのに
写真のように
鮮明に
でもね ....
初夏の光が交差する
花と蝶とが見つめあい
互いを助け
互いの生を大きくさせる
初夏の光が交差する
空と海とが向かいあい
互いを求め
互いの存在を尊ぶ
初夏の光が交差する
人と ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
いつかの駐車場猿から
手紙が届いた
こっちはなんとかやってるよ
そっちと比べて数が多いから
多少大変だけどね
僕は淹れたてのコーヒーを飲みながら
何度かその手紙を読み返 ....
ねえ、ねえ、ねえ、
ねえってば
こんな感じに甘えたのは
あなただけ
生きることの大切さと
初夏の清清しさを教えてくれた
忘れられない優しい笑顔
こねこのように
ベッドの ....
通勤バスの車内
後部座席から眺める
まばらな人々が
眠たげな朝
( 昨晩わたしは、{ルビ尖=とが}った爪を、切っていた。)
人さし指をのばし
四角いボタンを押す
....
卯の花と牡丹と金盞花
目の下の黒いくまと日焼けのしみと
赤茶けた髪の毛と手の皺の灰と
磨いた鍋底と花の終わったシクラメンと
藤とシャガとあやめと
終わってしまった菊桃と枝垂 ....
君と
ほくろの数を数えあった
自分の知らないほくろが
背中に5個もあった
ただそれだけで
背中に重みを感じた
単純な話
そんな些細なことを教えてくれた君を ....
野良犬を見かけなくなって寂しいだとか
犬の糞を踏まなくなって嬉しいだとか
駅前の駐輪場はどこも整備されてきて
雪崩れを起こして倒れなくなったなとか
そんなことにふと気付くことがある
数年前の ....
現代詩フォーラムというところに
詩みたいなのを投稿しているが
まあ、その、あれだ
ポイントシステムのことだ
始めは何だろうと思ったが
今でもよく分からん
自分が読んでいいと思ったや ....
蔓の先はしがみつくあてをもとめている
ひょろひょろと風にあおられるのも策略
つるりぬるりと小鉢の中を逃げ回る里芋を
こどもの箸が突き刺す
突き刺すのだ!
もとめるかたちはとがっている
....
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