燃えたあとには
かわいた灰だけがのこる
開いた森に
自らに似たものが
点々と横たわり
その足跡のようなくぼみの
ひとつ、ひとつ、に
降りつもるものがある
それらがどのように
....
学校のかえり道
キミはいつも
あたしに
宿題をだした
それは
2次関数だったり
パズルだったり
次までにがんばって
キミはいつも
白い歯をみせて云う
理数系の苦手 ....
秋は
だれなのだろう
すずしげな顔をして
そのひとが
やってくると
しん、と
静かな音がする
みのりの秋と
ヒトはいうけれど
秋は
みのりなどではない
あまい ....
母は毎日サンドイッチに
海をはさんで食べていました
そうすればいつか船に乗って
父が帰ってくると信じているのです
花言葉は覚えていても
花の名前は忘れてしまう
そんな母でし ....
臨月でお腹の大きい妻が呼んでいる。
僕はいつもの公園で二日酔いの頭を抱えながら、
三歳の息子と遊んでいる。
繰り返し繰り返し
同じ砂山を作っては壊し作っては壊し、
何回作っても彼の作 ....
死に目に会えなくて
後悔してるなら
その数分前
まだ意識があった時に
電話すればよかったのに
できなかった
ここ数年
父に電話したことがない
理由は
ただ照れくさくて ....
朝方にゆったりとした気分で、散歩をしていると、
ようやく眼を覚ましている住宅地、その街並みに、申し訳そうに咲いている草花、入道雲、青い空、次々と目にはいり、通り過ぎていく、その時、僕は、朝の ....
猛暑だから
霧雨を受けると
気分が 良くなるの
微笑いながら
爽やかに
わたくしの 目の前を
通り過ぎて行った
あなたが
風邪を引いた
こんなに蒸し暑いのに
敢えて
蒸し ....
金星の風景的未踏の地に放られて
サラサーティーとか音姫の需要について
の論文をねそべってかいてる
紙が飛ばされて
それをおおげさに追っかけ
ホントは自分が
大声でそのことを笑っ ....
冷たくなった朝が
空から落ちてくる
何か理解できないものが
パジャマを着て街路を走り続ける
軒下で洗濯物が干からびている
風景になることも出来ずに
右手で覚えている ....
坂のある街は
景色の綺麗なところが
多い
シアトルもそう
リアス式海岸があり
流木が流れ
ちょっとフリーウェイを
車で走れば
そこは
緑に埋もれる
森また森
高台の高 ....
 
 
ゴールデンベアの
帽子を買った
父が好みそうな帽子だったので
贈ろうとしたけれど
もういないので
私がかぶることにした
ある日
エレベーターに乗る ....
大好きな
下弦の月が
浮かんでる
貴方と私
闇のこころに
今日、先生は優しかった
黒板に大きな
黒板の絵を描いてくれた
それから、ぼくらの名前を
ひとりひとり読み上げて
絵の黒板に
名前の絵を描いていった
校庭の先にある建物の方から ....
欠けて往く、
桃からみどりの昏さへと
消失している中で
君は誰にもいえない、と云った
ぼくにさへ
膚から、更々と
かわいた芳い香りが
鈍化する烈しさで埋められてゆく
その透間に眠りがあ ....
現在と
過去と
未来は
点のようでいて
じつは
球体の円周のよう
ではないだろうか
過去には生きられないが
過去は現在に続き
現在は
未来とつながっている
今を
....
ひとりきりになると
蝋をとかす匂いが
わたしの気道をふさぐので
雑踏をさがしに行きます
なんでもないふうにして
ポストへ落としたのだけれど
だけど、まだすこし
わたしの指 ....
くつくつと転がる
三層に重なった
植物地帯の上
久しぶりに再会すると
眠たくなる
だから入ることはできない
週末によく見る節足動物の背中
残暑の日光に照らされて
あれはもう ....
むかしジャイアンツの
王貞治選手が
七百五十六本目の
ホームランを打った
なんてことは
君たち若者は
知らなくていいことだけれども
ちょうどそのあたりに
同級生のお ....
むくむくと 湧き出るのは 入道雲と
相場は 決まっている
真夏なんだ
スコールなんぞ 当たり前なんだと 吠える声は
真っ暗闇に近い 雲の隙間と
アスファルトに 吸い込まれ ....
補修工事のライトにかき消され
お役御免となった橋の上の街灯。
真っ赤なタクトを持った指揮者によって
流れるばかりの車―ナンバーから始まり
彼らの相方に至るまで―あることないこと
吐いては飲 ....
しかめ面の空の下
排気ガスが充満する都市の片隅を
少年時代の自分が駆けて行く
らく書きだらけのノートを
大事そうに抱えて
裏通りの路地を縫って
山道を抜ければ
大人たちの知らない
....
あなたの心の橋を
渡りたい
どんなに高くても
どんなに長くても
どんなに揺れても
今しかない
今日しか見えない
あたしには
不器用にしか
生きられないから
渡るしかないの
あなたの処へ ....
あの日
会うはずだった
あの雨の日
血まみれのあたしを
あなたに見て
ほしかった
血まみれのあたしを
あなたに抱いて欲しかった
なんども
なんども
自分に問い返し
....
お休み、白い夢
あまい音楽のなかで
呼び出しのベルがどこまでも続いている
ぼくは、ねざめの黒い籠に
人びとが起きていくのを聴く
沈み込む星の胎と
平衡にあなたがほほえんでくれる
光の進む ....
森また森のハイウェイを何時間も 走り
高台の
道なき道をガタガタ進む
観たいと願ってやまなかった
あの風景があった
森の上から見える
広い河
霧に霞む
その先の緑
禁断の恋に落ちた
ふ ....
(てらてら笑うニンゲンはたいがい……)
ずっとむかし叔父のいった
そのつづきを思い出そうとする
(てらてら笑うニンゲンは)
(たいがい……)
(たいがい……)
....
もうすぐ キミの誕生日
あたしはその日 ひとりキミの誕生を
祝います
プレゼント選びは苦手だから
小さなショートケーキとビールでね
タイムの香りにつつまれて
キミの写真を横に
....
我が街の風景をスナップショットして歩く
日差しが夏仕様に変わり容赦なく照りつけ
避けるように自宅にこもる冷房を効かせて
イチゴシロップのかき氷を食べ腹をこわす
そんな情けない夏の始まりはリ ....
*
ビブラートに揺らぐ空の裂け目を
幻視の鳥が飛ぶ
*
明滅をくりかえすビル群が剥がれ落ちる
((NYという記号を描くその一点として わたしが燃やされる))
....
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