マフラー巻いて早足で歩くと汗ばむのに
カーディガンだけで信号待ちしてると肌寒い

そんな
三月の風に腰のあたりを撫でられながら
住宅街の隅の小さな公園のベンチで
悲しいふりして煙草をふかそ ....
長かった戦争も終わり
とばっちりをくった君の街でも
ようやくガス管の再整備が終わったらしいと
遠くの街のテレビから流れる異国の言葉を耳にして
何故涙を流しているのか
自分でもよくわからない
 ....
高らかなファンファーレ!
はんぺんは白い
はんぺんはふわふわ
はんぺんはおいしい
男も大好き
女も大好き
そんなはんぺん
もしもはんぺんが座布団だったら
失恋した時には抱いて寝て
お ....
今ぼくの猫が

顔を洗っています

今日は雨が降るのでしょうか?

ぼくの飼っている猫の名前は

虎吉となにかありがちな名前でした

でも凄く可愛いです

人間から見れば

 ....
 こんな所に 靴を置いていったのは誰だ?―
道路脇の藪の中に くたびれた革靴が転がっている。
そこに一台の霊柩車が止まり、棺桶の中から少女が現れる。
彼女は靴に足をすべり込ませたが、いささか大き ....
男は速度を
なくした
それは
止まる
ことだった
男は欲した
口に言葉
手に文字
そして
生きた
自治区
と呼ばれる
区域の
辺境の村で
男が再び速度を
手に入れたと ....
はしっこの村にはな
働きもんのじさまと
ばさまが住んでいた

お日さまよりも早起きで
毎日、一汁一菜の粗食
いろり端にはやかんが
チンチンと湯気を上げ
窓辺には四季折々の彩 ....
片足だけ靴履いて
レプラコーンに会いに行こうよ
どこにも続かない道を
どこまでも行こうよ
                                 (喪失の物語)


彼女の胸には心臓がなく
代わりに小さな箱が埋まっていて
願いを唱えながら手を入れると
どんなもので ....
ふと気がついたら
わきの下にゼニゴケが生えていた
不快だけど放っておいた
ゼニゴケにだって生きる権利があるはずだ
そう思って耐えようとした
すると何日かして
あごの下にも
乳房の下にも
 ....
人が減って
電車は軽くなる
「達磨さんが転んだ」

象の鼻をのばしたような
雪原の竜巻
「達磨さんが転んだ」

西の惨事を
引用しないで済ませてごらん
「達磨さんが転んだ」

 ....
身に覚えのないことで
なぜか{ルビ矛先=ほこさき}はこちらに向いて
誰かの荷物を背負う夜 

自らの影を路面に引きずりながら
へなへなと歩いていると
影に一つの石ころが浮かぶ

理不尽 ....
 
いってらっしゃい、と
みおくる
いとしいひと
あなたをおもう

そうして
かさをほします

さんがつのゆきは
ひがゆるむまでに
きえてしまう

あかし を おる
しろい ....
地球上に私の居場所はない
でも居場所くらい自分でつくれると思った
でかい大陸は無理だったが
ちいさな島をつくるのはそんなに難しくなかった

島をつくったとたん流人たちがやってきた
できたて ....
何が残っていただろうかとポケットをひっくり返す
というのは私の好きな詩人がすでにやったことの二番煎じなので
これはまずいと思い
何が残っていただろうかと自分を裏返す

粘膜
血液
脳漿
 ....
戦争に行きたいと
妹は泣いた
誰かを殺めたくて
仕方ないと言った
兄ちゃんを殺していいから
お前は戦争に行くな
と宥めて
固い指切りをし合って
その日は一緒に寝た

明くる日
妹 ....
カミキリムシに噛み切られている
僕は薄い紙になっていて
手も足も出せない
手足が出たところで
噛み切られるだけだけれども

昨日までの厚みは
どこに行ってしまったのだろう
でき ....
 私はつかまえた。それからほっぽらかしにして
待つ事に↓死ぬまで鉄仮面をかぶり続ける男に
まつわる詩を。
 どれくらい経ったのだろうか。すでに
男は餓死していたが、小脇には たった今
帰還し ....
春の陽射しに 
紅い花びらが開いてゆく 
美しさはあまりに{ルビ脆=もろ}く 
我がものとして抱き寄せられずに
私は長い間眺めていた

今まで「手に入れたもの」はあったろうか 
遠い真夏 ....
ワンフレーズ、呟き、この感覚

『狂気は映写され』て

また同じくして死に至らしめられる

テレビジョンたちの群はそろそろ消えた頃か

地平線で風向きが変わった

『いる、いらない ....
ヘリウムを
胸いっぱいに吸い込んで
あなたの街に
飛ぶんだ
飛ぶんだ

川をこえて
ビルを
入江を

ほら
雪めいた季節が溶けて
あなたに
春の雨が降る

今年は
ちょ ....
あなたの愛と 私の好きは
いったい
どこが違うのだろう

あなたの
愛 はやわらかい
私の 好きは
とげとげしてる

あなたは
愛 で包み込む
私は
好き で武装する

ふ ....
雨が降っていました。春のくせに、冷たく。雪の方が暖かい。漂いながら。
雨の一滴にこころは惹かれますか?ではゆきのひとひらには?ゆるやかなものに惹かれるのはなぜだろう。でも、場合によっては激しい連続に ....
美しい人  あなたは話します 私は聴きます  美しい人 
あなたは歩きます  私は歩きます  あなたは話します 
私は聴きます
美しい人
 

美しい人  私はあなたに郵送しました  あ ....
冬になると
海水が凍って
氷の白い泥が海に溜まる
その中で薄くはった
産まれたばかりの流氷は
波の寝返りにあっさりと壊され
お互いを削りあい
まるで蓮の葉のような
角の取れた丸い薄い氷 ....
「私がおばさんになっても」と森高は歌った
ついこの間のことのようだけど
もう十二年も前の話だ
その年に僕らは結婚した
つまり、僕らが結婚して既に十二年たった
ということだ

僕は一度、交 ....
白について
考える

 白といえば
 我が家の飼い猫
 うどんこ

 呼び名は
 うどんちゃん

にゃー

 彼は
 ある朝
 国道を
 横切ったら
 そのまま
 戻 ....
とてつもなく怖いものだけど
限りのなく優しいもので
そのうち意味すら解らなくなって
またある時意味を噛締め
涙を流す

でも今
意味の解らないままの人が増えて
当たり前のこととなって
 ....
きみはぼくの知らない
とおくを見つめて
あの道を
背すじのばして
進んで ....
昨日ひろったきれいな小石

たとえば人は
磨かれる前の宝石の原石のようだということ
未完成なままの美しさを知っているから
そっとしておいてください

そんな 淋しさ



 ....
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