リューヌ 思い出して私との約束
おまえはどこに行ってしまったの
ある日突然いなくなった私の猫

リューヌ 何度もおまえの名を呼ぶけれど
私に答える声はもうないの
ただおまえに似た夜がそこに ....
{画像=081028104443.jpg}

種の起源を遡る
鯨にあるという地上の記憶のよう
身体の記憶に繋がる原初の記憶
納屋の藁束の上に横たわり
こころを拡げて探り当てる
目を瞑り腰 ....
 
僕と妻にとてもよく似ていて
そのどちらにも
似てはいない
それが彼なのだ

君はいったい
誰なの
と息子の目を見てそう問うと
不思議な顔をしてる

ふと思い出す
僕と妻は
 ....
夏までのあいだに、吐き出すだけ吐き出そうと思って、さまざまな詩にまつわるものをつくった。

そして、現状、いまじぶんがいるところが、丸裸になるようにしたのが夏でした。

丸裸になってしまえ ....
 {引用=副題:狙われた街/狙われない街}

こんな日はめったにないけど

たとえば
なにもかもが真っ赤に染まる絵のような夕焼けの日

空は思いのほかよごれてしまって
あるいは記憶のな ....
わたしの
両眼は野良猫なので、まれに
きみの影で化けている
部屋の隅で、まれに
息の根を止め損ねたあの子が見えるのだが

わたしの
言語は蛭
だったのだ、たくさんの日本語が
彼の血を ....
うさぎの眼 泣いてないよと 睨む{ルビ金星=ほし}

通学路 さようなら僕 吐き捨てて

明日から 殺してしまえ 皆悪魔

{引用=先生見てくださいこれが現実です。}
Nさんが日記で書いていた。Nさんが賢治について書いた批評について、批判があったらしい。某所のチャットで、「このレベルで留まれたのなら幸せだったんだろうけど」「賢治について書くなんて怖いものしらず」みた .... お弁当忘れてるわよ
という声が
10km先のパパの会社まで聞こえて

あ、まだ作ってないんだった
という声が
10cmしか深さのないママの口からこぼれた

私はひとり
ピラフを解凍し ....


昔、ひとりの修行僧がいた。彼は、心が完全に澄み、あらゆる悩みや欲望が彼を通過していき、何物にも動かされない境地を目指した。物事に動かされないようにと、彼はどんどん重くなっていった。瞑想や思索 ....
わたしの声帯から延びた
蔦が
ビリジアンの意地悪だった
集合体は頑丈で 瑞々しい
唇をつたって、ずるずると
出ていく
あのひとの唇をつたって
入っていく
 取り返しのつかない色
 取 ....
シャワーヘッドから
ほとばしる呪文で
昨日までの身体を
洗い流したら

有効期限切れの
プラシーボを
ペリエで飲み下して
街へはみ出る

手にした青が
全部フェイクだったから ....
某所で、
>意味がわからんと言っていた軟弱者が何人かいましたが、
>意味を伝えるだけなら詩なんか必要なないじゃん。
>詩は作者と読者の共同作業であるべき。
>僕が1から ....
容赦なく不機嫌であるまなうらにひろがる無数の鶏頭の赤

いちにちを作業療法すると言いビーズ細工にこめるかなしみ

いけないよ爪を噛む癖孤独癖マニュキア塗って待ち合わせしよ

右足をアンクレ ....
もう
ここは冬
になってしまった
日は短くなり
昼からすでに夜の気配がする

けれど迷い人よ
冬のせいではなく
この森はずっと昔から
喪服の切れ端のように暗い

鳥は言う
「さ ....
あんた

さけ

のみなはれ

のみなはれ

ってうたってんのか

千葉の空が高い

ツーストのゼッペケのハチの羽音みたいな排気音も高く


犬吠埼へ行った昔

犬は ....
今日 キミの夢を見た
もう居ないくせに
「いつも見てるよ」と言うのだ

薄曇の外光が窓から入り込んで来て
中途半端な空間を作るので
夢の端っこを掴んだまま手放そうとせず
意識が行った ....
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
指組みのように身体を絡めゆく 二人で今日の夜空をつくる



ひとつずつ舌でたどれば直列の熱に融かされてゆくビイドロ



「ねえ、君にアイスピック突き立てたらブラックホールができたの ....
 詩について少し少し考えていこうと思う。

 これが詩だ、と思われるようなことばのありようが、たとえばなにかどうか書こうとするとき、じぶんの内から浮かんでくるのではなくて、ことばのするすると勝手で ....
隣のおじさんが
動いている音
階段を上り
こんこんと何かを打つ
僕も一人でないことを知る
午前7時半から一言も
発言してない
午後5時7分前
心の中で今日も言い続けた
6時ごろ妻が帰 ....
この道を歩くと妖怪になれると聞いたので、来ました
噂の通り一升のお酢と一丁の豆腐を持って

幾つかのお寺が密集する間に、古びた町屋や商店が連なり
たまに覗く路地は、人がすれ違えないくらいの道幅 ....
 
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる

返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる

こぼれた文字の
貝殻をひろう
 ....
叱るつもりが
感情に身を任せ怒っている
自分の醜い姿に気づく

ひとは誰でも
誰かを叱ったり怒ったり出来ないはずなのに

自らの思いを通そうとでもするのか
声を荒げてみたり
ときは手 ....
今夜はブルーベリー酒で、一杯
甘ったるいお酒が好きです
そうして甘ったるいことばを吐く

大した意味などないけれども
わたしは甘ったるさを舌で転がしては
その中に辛さを味わおうとする

 ....
その1

熱帯雨林。カヤワラ鳥の鳴く声。
煮詰められた毒素の甘い匂い。
腰蓑の女王のはだかの胸、
重たげに吊り下げられたガラスと金属。

きみが持っていた聖書は
火に投じられた。
き ....
沸騰する赤い酒はきみの血で
かさかさに硬いパンはぼくの肉
どこもかしこも乾いていた
この世界も ぼくも もう ずっと前から

玄関には裸体の男をかたどったブロンズ像があった
防人のように居 ....
月を遠ざけるものを捜して
迷い込んだ森

薄紙で封印された
わたしを引き裂いて
生まれてくるものがある
皮膚がわたしを押さえつけていた
だから、だ

破りとられて流し続ける
温かい ....
ふらんちゃんと うらんちゃん
ふたりは なかよし
ふたりは けもの
ふたりは ふたご
にてない ふたご

ふらんちゃんは 元子役
うらんちゃんは アイドルくずれ

けれど あかるい
 ....
優しい光が降り注ぐ
穏やかに晴れた休日の午後は
微風に吹かれながら
静かに死にたいと思う

毎日が死に続けていて
こころはこんなにも穢れているのに
姿は透明のままで誰の瞳にも映らない
 ....
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