「お前をつれていくことはできない」
とネコは言った
「お前はこの旅に耐えることはできないからだ」
と言った
「それほど過酷なのだ」

凛とした目で遠くを眺めるネコ
何かを決意した ....
おまんが目覚めたのは桜咲き誇る春であつた。
おまんの目に{ルビ呉葉=くれは}の顔が映つたときは、
こゝがあの世と云ふものであらうかと思つた。
さうではない、こゝはこの世だと気づいてなほ、
おま ....
乱れた裾をからげて、
少女は細い山道を下る。
淡く青い春の匂いが満ちている。
その春の匂いに、
突然あまく重苦しい香が入りまじり、

 こむすめ。
 こっちに来い。

声の主はと探せ ....
白い
湖の上に立って
寄り添いながらじゃれては離れる
二匹の犬を見ていました
灯台の麓では、おじさんが夕暮れの写真を取っています
私に気づくとレンズが光りました


孤独が

 ....
月曜は、月がよろこぶの、
自分の日だ、って、
新月でもないのに、
月が飛んでいく。

二時ごろ、
線路に立っていると、
へんなかたちの電車が止まる。
車内は奇妙にあかるくて、
気がつ ....
私の口から
猫が生まれる
喉の奥にひっかかって
息苦しい

気付いていたのだけれど
最初それは
小指の先ほどの石だった

幸せな日常を過ごすたびに
大きくなって
ある日
喉まで ....
裏も表もないよ
毎日つまらないね
何してても
つまらないね
何も面白いことなんかないね
どんどんなくなるね
お茶飲んでビール飲んで
音楽聴いて映画観て
歌って踊って叫んで恋して
やっ ....
自らの愚かな手で
目の前をさえぎる沼を
つくり出してしまった時は
でくのぼうとなって立ち止まり
かけがえなき友の背後から吹き抜ける
風の言葉に耳を澄まそう

私は木になりたかった
幾 ....
ごらんよ。あれはスイカズラだよ。
雪の下でいまも青い あの葉は
あれはスイカズラだよ。

忍冬とも言うんだよ。あれはスイカズラ
雪の下でも青い葉だよ
あれはスイカズラだよ。

夏の初め ....
一限目 数学
 ただ何事も無かったかのように
 男は黒板に数式を書き足していく
 黒板がすべて埋まると消して
 再び数式を書き始める
 数人の未成年がノートに書き写していくが
 誰も男の背 ....
やがて、それはゆっくりと始まる

誰も気付かない視点の高さ
から、夜は上昇していく
もう僕らは沈み込んでいる歩幅
もがくよりも深く落ち着いたリズム
呼吸はあちこちで燻っていて
平面に広げ ....
奥さま方が集うカフェで
俺はスプーン片手に乱心する
ウェイトレスを人質に取り
一人ひとりの乳頭の色を聞き出す
この変な嵐が過ぎ去った後で
井戸端会議が厳粛なものになればいい
俺は今日このカ ....
ぼくはずっとロバと一緒にくらしていました

その子は優しい目をしていて

いつもぼくのおなかに鼻をくっつけて眠るのでした

ぼくらは仲良しでした

ぼくがさびしいときロバは
 ....
わたしの田舎に

とうとうコンビニができてしまった

もう
これで
この町も終わってしまった

二十四時間
煌々と国道を照らす
白い光は
人々を堕落させるためのみに
輝く

 ....
部屋の中で素振りをしていると
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる

シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていた ....
(ぽとり)

点滴1本3時間

(ぽとり)

ペンとノートがあったら詩の一つでも書けそう
だけど悲しい詩になりそうだから書かない

(ぽとり)

透明なビニール容器から
半透明 ....
 そのむかし、とーっても若かった頃、何を血迷ったのか「仲間を作ろう!」と決心したことがあった。「やっぱり仲間といえばバーベキューよね」と数少ない友人に頼み込み、仲間集めをしてもらった。私はとても頑張っ .... そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で

蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
さいとういんこさんのお腹は大きい
大きく膨らんでいる
さいとういんこさんの子供が大人になる頃
僕はもう59歳だ
それまで生きているかどうかわからない
生きているつもりもないし
自信もな ....


眠りたい太陽は
徂徠する雲に翳り
口を得れば脚を失うだろう
無理に開いた胸には

寛容ねと謂う
君の眼差しに
愚鈍さを隠せずに朽葉色に染まり
消してあげる 蝋燭を
口角に気 ....
さみしい唇が
のどに鈴を付けて
歩くたび揺れて鳴く

顔迄這い上がる地熱はゆらゆらと
蒸せかえる
濡れたアスファルトの匂い
空は墨青を垂らして


飼育箱の中は授乳室であった

 ....
食後に飲むはずだったビタミンが
テーブルの上で醗酵している
その熱で君の言葉は燃え尽きてしまった
僕らはたくさんの窓や部屋を投げあって
ぶつけあって、お互い
何となく傷ついてる
夏 ....
札幌の市街地は
徐々に西から山影に入ってゆく
ほら
人魚たちの棲息する台地のようじゃないか
あの
東市街地は
あかるい
薔薇色に浮かびゆき




  ここは
  穏やかな漁 ....
独りだとときどき
夜空と自分の境界線が分からなくて
不思議
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです

夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
 ....
朝食の
トーストとコーヒーの間に
そのものは存在する
点々と どこまでもつづく血痕を
追え
賢者の道よりもまず先に
なすべきことがある
埋められた{ルビ蹠=あなうら}
ますます増長する ....
帰り道は
ひとつの
冷たい時代でした


足音ひとつのアスファルトを、両側から
音も無く包んでいた夏野菜の畑
あ、それならば、と


或る母の或るひとつの手に
直 ....
たったひとつの日没で
子供の左の手の中の
逆さの野の草の束からすんなりと
午後の初夏は落ちてしまい
子供の左の手は
無数の落胆のうちのひとつとして
野の草の束を、用水路 ....
かんぬしまちの
おさななじみだったおねえちゃん
がみこさんになったとき
ぼくのこころは
ふ ってはずれて
べっくうさんやのほうに
ぷかり ぷかり
とんでった


  きれいだったん ....
帰ろう
と何時でも君は言うので
何処へ、とは聞かない
ヘッドライトが線になるまで
ただ通り過ぎるように

覗くことをしない
触れるなら静かに
斜めになった窓から
射し込んでくる光が
 ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
荒野- Monk未詩・独白1205-5-30
おまん瞠目(おまんとくれは、その参)- 佐々宝砂自由詩205-5-29
春紅葉(おまんとくれは、その弐)- 佐々宝砂自由詩3*05-5-29
Lake_Champlain- 月山一天自由詩12*05-5-29
月曜の夜- ピッピ自由詩505-5-28
台所にはシリアルとかつお節とコーヒー豆が散乱していた- 初代ドリ ...自由詩2*05-5-28
つまらない日々- チアーヌ自由詩605-5-27
羊雲を仰いで- 服部 剛自由詩14*05-5-25
秘密だよ- るるりら自由詩705-5-25
授業- たもつ自由詩805-5-25
遠浅の日々- 霜天自由詩1505-5-25
やけくそカフェ- 守山ダダ ...自由詩305-5-24
ロバとぼく- Kj自由詩7*05-5-24
コンビニ- 北村 守 ...自由詩605-5-24
素振りなら負けない- たもつ自由詩1605-5-24
やっぱり悲しい詩になってしまう- ベンジャ ...未詩・独白15*05-5-24
私はバーベキューが嫌いです- 初代ドリ ...未詩・独白5*05-5-23
夏について- 塔野夏子自由詩26*05-5-23
さいとういんこさんのお腹が大きい5月22日- いとう未詩・独白1505-5-23
自戒- フユキヱ ...自由詩705-5-23
ビオトープ- フユキヱ ...自由詩805-5-23
過ぎていく- たもつ自由詩605-5-22
__(精神を安定させてくれる徒然書き)- 「ま」の ...自由詩4*05-5-22
夜空の境い目- クリ携帯写真+ ...9*05-5-22
或る夏の理由_「風の通り道」- 藤丘 香 ...自由詩33*05-5-21
存在- 岡部淳太 ...自由詩4*05-5-21
独裁- A道化自由詩1205-5-21
単なる夕刻- A道化自由詩905-5-21
しらやまさんのこと(1)- AB(な ...未詩・独白705-5-21
帰宅- 霜天自由詩705-5-21

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