すべてのおすすめ
何のために存在するのか
そんな問いを無効にするため雪は降る
世の不条理と人間の不条理との
遠い血縁を否定するため雪は降る
雪の冷たさは仮面の冷たさ
雪の素顔のうごめきは
辺りを ....
誰もいない駅のホームで
私もベンチに座りながらいなくなった
目の前を横切る自動車たちも
時間の速力に負けてきれいに消滅していった
陽射しが背中から射し
線路越しに落ちる駅のホーム ....
霧によって大気が見え始める
霧は大気を着色するのだ
だが霧は大気に代替し空間に代替する
もはや大気も空間も存在せず
そこには霧があるだけだ
満たすということは
満たされたものを ....
私は会社に絶望していた。私は上司からパワハラを受けて、心に深い傷を負い、一時休職しながらもかろうじて復職した。だが、私に対する周囲の目は冷たかった。私は自らの受けたありのままの被害を幹部に ....
温泉に入ると
深く広々と湛えられたお湯が
私を首まで飲み込んだ
温泉の広さと深まりを前に
これが私の水位
これが私の容量
これが私の精神
これが私の闇
これが私の歴史
こ ....
鉄砲玉は小さく固められた
他人の罪によって表面を鍍金され
もはや己の言葉を発せない
鉄砲玉は撃ち出された
望まない相手に向かって
望まない高速で
引き金を引いたのは誰だ
引き ....
第二次世界大戦は未曽有の惨事で多くの人たちの心に傷を作った。単純に図式化すると、詩には二つの直行するベクトルがある。一つは、詩が実存や傷から垂直に表現されるベクトル。もう一つは、詩が言葉 ....
電車に乗ると山が見える
起きたばかりの汚れのない視線は
くっきりとした稜線を山と共に描く
この人の多い車内が
あの山の頂上へと静かにつながっていて
何物かが常に往き来している
....
詩の中に生活を持ち込むことを嫌う人は一定数いる。さらに、詩によって人生に直接触れることを嫌う人もまた一定数いる。詩は此岸の出来事を扱うものではなく、彼岸へと飛翔していくものだ、そう考える人は ....
雨の朝、地図は濡れて滲んでしまった。だが世界は何よりも詳細な地図。経路を一つずつ抜き取っては、オブジェを作り上げる。今度の地図は庭にしつらえられたオブジェであり、どんな雨が降っても壊れない ....
叫び声に満ちた夜だ
すべての距離が叫んでいる
だがこの叫びは全て
私自身の黙された叫びだった
闇がつぶれている
渦を巻いている
夜の風景ばかりが
激しく身をよじるが
私はも ....
真夏の炎天下に自転車をこぐ
すべては明るすぎて却って曖昧に
すべては熱すぎて却って柔弱に
こんな快晴の日だが
ひたすら過去の雨が私を打つ
水ですらなく重さもない
透明な過去の雨 ....
誰の号令だろうか
風景が停止したり開始したりを繰り返している
誰の合図だろうか
些細な感情の波に気付いたり気づかなかったり
社会的には「休暇」と名指されるこの期間
実際は「休暇」 ....
ここで石を降ろせ
お前の背負っている石は
他界への動線に満ちている
人間のつくった組織は
あかるい論理とうつくしい体系を
表皮まで張り巡らせているはずだが
その組織は必然のよう ....
私は庶民である。ごく普通のサラリーマンであり、その他大勢のサラリーマンと似たような暮らしを送っている。世の中の大多数の人間と同質な生活をしているということ。私はそこに平凡でありながら限りなく豊か ....
〈雨天から降ってくる雨という憂鬱〉
世界が世界一つ分狭まると雨が人々の庭に侵入してくる。
人は歩けない以上に歌が歌えない。
声は口に達する前に雨によって沈められてしまう。
電車が遠くを走ってい ....
戦場
辺りを見回すと曇った戦場になっていた
地図も何も持っていない
辿るべき道もなければ道を切り開く道具もない
振り返るとそこには文書の山があった
作り笑いをしている顔があった
と ....
〈Syrup16gを聴かなくなってしまった僕に〉
捨てられたカードが終わりのない落下を続ける。
捨てられたカードはまだ呼吸をやめない。
カードはもう要らないマニュアルだけあればいい。
自分を守 ....
毎朝電車に乗ると
犬も猫も狸もライオンも
色んな動物が一緒に乗ってきます
僕はさしずめ犬といったところ
動物たちは黙ったまま座席に座って
それぞれのしぐさと毛色とまなざしで
電 ....
泳ぎ方が分かりません
この組織にはいくつものプールがあり
それぞれのプールで異なった泳ぎ方を
しなければならないけれど
そして最後には
どんなプールでも泳げる
泳ぎ方を身につけ ....
ぎっしりとデスクの並んだ職場で、社員たちは互いに協力しながらてんでに仕事をしていた。データを入力したり、書類を作成したり、文書を印刷したり、メールを確認したり、同僚と打ち合わせたり。私は職 ....
隔離されなければならない 家族から 仲間から 社会から 世界から その場を乱したりするわけではなく 逆にその場に適合しすぎて その場を栄えさせ過ぎてしまうから この社会の網の目が勢いよく不気味に成長し ....
俺はこのどでかい建物の中で書類をいじくり
何か血なまぐさい争いでも起きるのではないかと期待していた
人と人とが心底憎み合うような
湿った命同士の争いを待っていた
ところがこのどでかい建物には
....
世界の外側
世界の外側に
もう一人僕がいる
あるいはそれは
何人もいる僕のうちの
たかだか一人に
過ぎないのかもしれないが
この世界の外側に
もう一人僕がいる
あの日君は ....
俺を呼ぶときは番号で呼んでくれ
58番、それでいい
今朝、こんなに立派な名刺が出来上がったが
所属と役職と名前と電話番号とメールアドレスと
全部要らないから
ただ使用済みの印刷用 ....
人々でできあがった柔らかな機械の中に
一つの緩やかな歯車として放り投げられました
皆さん幾つもの顔を持っていて
どの顔が本当の顔なのかわからない
結局本当の顔なんてどこにもなくて
....
給料が労働の対価だなんてとても思えなくて 一日が終わった解放感と 夕飯と入浴と睡眠が何よりの報酬で さらには空いた時間の読書や芸術鑑賞 その時間が空くということもまた何よりの報酬で 長いこと農業をやっ ....
沢山の人に読んでもらおう 色んな人に批評してもらおう そんなの傲慢じゃないですかね 特定の人にだけ読まれ ただ情報だけを提示し すぐさま廃棄されていくけれど 物事が機能するためには不可欠の言葉が世の中 ....
分からない仕事を先輩に教えてもらう
先輩が笑顔で丁寧に教えてくれる
その優しい笑顔にときおりのぞかせる厳しさが
先輩と僕との間の優しさを成り立たせている
担当の係員へと書類を提出す ....
10代の終わりころ、私はろくに人としゃべれない少年だった。ごく限られた友人と家族だけを相手に会話し、それ以外の広大な人の群れに対しては固く口を閉ざした。自分の言葉はすべて不適切であり、自分の言 ....
あおばさんの葉leafさんおすすめリスト
(164)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
朝の雪
-
葉leaf
自由詩
3
16-1-16
救い
-
葉leaf
自由詩
5
15-12-20
霧
-
葉leaf
自由詩
4
15-12-17
真実
-
葉leaf
自由詩
3
15-12-8
温泉
-
葉leaf
自由詩
4
15-11-30
鉄砲玉の唄
-
葉leaf
自由詩
4
15-11-6
戦後詩を現代に読み直す際の留意点
-
葉leaf
散文(批評 ...
4
15-10-29
通勤電車
-
葉leaf
自由詩
2
15-10-18
社会の中に生きる者として詩を書く
-
葉leaf
散文(批評 ...
5
15-10-12
雨の朝
-
葉leaf
自由詩
3
15-9-25
ゆがんだ夜
-
葉leaf
自由詩
3
15-8-25
過去の雨
-
葉leaf
自由詩
5
15-7-26
夏澄
-
葉leaf
自由詩
3
15-7-26
暴力
-
葉leaf
自由詩
4
15-7-25
庶民として詩を書くこと
-
葉leaf
散文(批評 ...
4
14-8-8
人へ
-
葉leaf
自由詩
6
14-6-11
戦場
-
葉leaf
自由詩
4
14-6-8
人へ
-
葉leaf
自由詩
2
14-6-5
通勤
-
葉leaf
自由詩
3
14-5-24
水泳
-
葉leaf
自由詩
3
14-5-11
種
-
葉leaf
自由詩
6
14-5-4
twitter
-
葉leaf
自由詩
2
14-5-1
水物厳禁
-
葉leaf
自由詩
3
14-4-30
世界の外側
-
葉leaf
自由詩
2
14-4-26
新社会人
-
葉leaf
自由詩
2
14-4-20
恐怖
-
葉leaf
自由詩
5
14-4-15
twitter
-
葉leaf
自由詩
2
14-4-15
twitter
-
葉leaf
自由詩
5
14-4-8
ふたつ
-
葉leaf
自由詩
4
14-4-6
責任
-
葉leaf
自由詩
3
14-3-31
1
2
3
4
5
6
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