雨の奥から曇の淵へ
音は光の手を引いてゆく
白は降り さらに
白は降り
ひとり ひとつの場所にしか
響くことのない色があり
胸の苦しいけだものとなり
冬の川を ....
小さく洩れるアナタの声
頬をつたうアナタの涙
そして、愛がまた溢れる
一人の旅人が、小さな舟で、川をくだり、終には海へとやってきた。
舟の上には、本と、万年筆とノート、わずかな食糧、そして旅人に似つかわしくない、毛足の長いつやつやとした毛布がのっている。時計は ....
クマゼミの 鳴き声を 知りたくて
クリックした ユーチューブ
便利な時代に なったもんだと 言いながら
しーしーしーを 聞いている
皆で 秘密の鬼ごっこを しているみたい
そんなに ....
いつまでも黒光りして回ってる
レコード盤の中心に
赤い心臓は、脈を打ち
酔いどれ人の頬は赤らむ――
週末の仕事を終えて
駆けつけた、朗読会の夜。
再会の朋と麦酒の入ったグラスを重ね
泡まじりの一口目に「ふうぅ…」と、一息。
不惑の四〇歳とやらになって間もない朋は
司会者 ....
人間であることを返却する前に
再び人間となることを予約しておく
すばやい林檎の色に待ち伏せされては
夜道を歩く闇の物思いにかすかに混じっていく
滲んでくる朝と縫い合わされるために
人 ....
海に裏切られ 花に批難されたら
枯葉にも笑われる生き様
ヒューっと 大きく豪勢な車が
目の前を風のごとくに走り過ぎようとするよ
ハンドルにしがみついた女の人
なぜ ....
押しくら饅頭カタギを気取る馬鹿
自動筆記で遺書したためている
フラワーデザイナーの看板が雑草に埋もれていた
こころは洗濯できるものだろうか
いつもその時どきなりの
こころで生きれるように
できるものならば
天気の良い日に
やさしい風の中に
干してみたいものだ
彼女が日記を閉じるということを知ったとき、わたしはロンドンにいた。初めて彼女の日記を読んだときに、いったいぜんたいどこにいる人なのかわからない日記で、それは遠い国にいらっしゃることだけはわかったので、 ....
葉を落とした蔦は陰鬱な妄想
囚われた家も人も沈黙を叫ぶかのよう
十一月は開けっ放しの箪笥
風や霙しか仕舞われていない空の空
冬は心の真中から始まる
だがものごとの始まりは不明瞭
....
山の神舞 蝦夷神の生き残り
桓武天皇の御世
たいらげられた蝦夷の神
神社(やしろ)は倭の神の依り代のため
彼らは神社(やしろ)を知らなくて
ご神体ははやちねさん
早池峰神社の鳥 ....
いつも 羨ましいと 思ってた
いつか 欲しいなと 願ってた
願いが 叶った 七年目
ラッキーセブン の ストライク
流れる涙 玉のよう
溢れる心 波のよう
花の 好きな 母 ....
歩きつづけていればいつも風のなかにいられるのに
立ち止まればいつも後悔ばかりあふれ出す
そんな思いを振りはらいながら地下鉄の駅まで
強い日差しに照らされて歩く
明け方に見た夢のなかで傷つけ ....
暖房や裸のイヴの息遣い
遠ざかるボイジャーニ号蓮根掘る
アカシックレコードでモテるコツさがしている
勿論 エックスの部分に 過剰反応する私は
昨日 WEEK ENDを UPした トコロ
嗚呼 高校時代から 抜けきれて ないんだわねぇ
なんて 呟きながら
今にも 降りそうな 空を 眺 ....
五時間半のパートも毎日つづくと
腕も、足も、腰も痛くなって
お風呂上がりにはからだじゅうに
星を貼って、寝ます
星は、
ツボとよばれるからだの黒点に貼るから
いくつか貼ると
わたしのか ....
今日も僕はお金で孤独を買う 旅費を払って一人旅 他人に与えていた心身の隙間を 旅先の風光がかわりに埋める 本を買って一人で読書 まっさらな自分に活字の苗を植えていく お金で連帯も買えるけれど 連帯は自 ....
せんぷうきが ゆっくり 室内を見回し
ざわざわ うなじを撫でる。
そとはかんかん照りで
けさ干した毛布がベランダで揺れる。
さっきから
赤い目をしたコバエが、しつこく小指にとまるので
....
箱を眺めると ポークカレーと銘打っており
何やら 有名なシェフも 映り込んで いる
ふむふむ、普段は ビーフが 定番なのかは 知らないが
アタシは 肉じゃがも 豚肉が 定番で ....
膝掛けや捺印の無き借用書
後悔ばかりの走馬灯が見える
過ぎ去ったものの影を追わないで
思い出の名前を口にしないで
あの日を小瓶に閉じ込めないで
銀の魚は
網の目をくぐって
すべるように消えるもの
手から手へと渡ってゆく ....
膝下五センチのスカート丈
三つ折りの白い靴下
おかっぱに切りそろえた髪
私は校則通りの平凡な中学生
ふくらはぎ下までのスカート丈
伸ばしたままの靴下
パーマがかかった茶髪
そう、あな ....
今さら遅いと思います。
最後の話は
富ヶ谷の空
まぁるく描かれた
ジェットの雲
五色の輪のことでした
その話をした刹那
一〇歳の僕は
テレビから飛び出して
庭に駆け下 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512